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ハリネズミの願い(2016)

ハリネズミの願い(2016)

作:トーン・テレヘン
訳:長山さき

おすすめ度:★★★★★

臆病で気難しいハリネズミが、ヒキガエルやクマ、その他多くの動物たちを自分の家に招待しようとさまざまな考えを巡らせる、短い59章からなる物語。
とても読みやすく内容も興味深いが、このハリネズミの気難しさ・ネガティブさは他の物語ではなかなか見ないレベルだ。

この本は、一見子供向けの童話ではないかという期待をさせる外観ではあるが、大人向け

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注文の多い料理店(1996)

注文の多い料理店(1996)

作:宮沢賢治
評価:★★★★★

宮沢賢治の短編集。全部で9作の童話が収録されている文庫本を読んだ。

この間、ふと昔からずっと有名な作者の小説も読んでみたいという気になって、宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』を読んでみてから、すっかり彼の作る話が好きになってしまった。
彼の作る話ももちろんだが、特に言葉選びや比喩表現がとても好きになった。
透き通るような、きらめくような、うっとりするような言葉遣い。

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賢者の書(2009)

賢者の書(2009)

作:喜多川泰
評価:★★★★★

この本には、できるだけ早く出会いたかった。
がしかし、まず今出会えたことを感謝したい。

主人公サイードは、ある時祖父から、人生の成功のために必要なことを学ぶため、9人の賢者を探す旅をするように伝えられ、賢者の書を譲り受ける。
賢者の書の中には何の文字も記されていない。
出会った賢者からの教えは、パズルのピースとしてサイードに与えられる。
賢者の書の表紙にある枠に

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ドグラ・マグラ[上](1976)

ドグラ・マグラ[上](1976)

作:夢野久作

評価:★★★★☆

日本三大奇書の一冊とだけあり、内容は一朝一夕では理解しがたいものだった。

この作品を初めて読んだのは大学2年か3年のころだった。その時は序盤で早々に心が折れた。

そこから7年ほど経った今、ようやく上巻を読み切ることができた。
読み切ったと言うだけで、内容がしっかりと自分の中に落ち着いたかと言えば自信がない。

そんな茫漠とした頭の中にも、印象に残った部分が一

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緋色の研究(2015)

緋色の研究(2015)

著:アーサー・コナン・ドイル
訳:深町眞理子

評価:★★★☆☆

Kindle電子書籍で拝読。

序盤にあったホームズとワトスン博士のやりとりが良かった。
謎につつまれたホームズの生態を分析しようとする博士の努力が読んでいて楽しかった。
中盤から終わりまではずっと一つの事件に関しての話だった。
事件のことになるとホームズの発言がややもったいぶりすぎと感じた。
そのせいで物語のスピード感が急に遅く

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