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色のある世界で君を見ていた【17時のお風呂場】


長い爪に憧れて、初めてちゃんと伸ばすことにした。
買ったばかりの黄色いマニキュアを試しに塗ってみる。まるでクリームイエローといったところ、ああ、私には全く似合わない。肌から黄色が浮いて、おもちゃの爪みたいに安っぽかったけれど、好きな色だから気に入って写真を撮った。


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プロフィール帳でよく見かける、好きな色はなんですか?という項目。私の好きな色は、ぜんぶだ。逆に嫌いな色がない。
というより私は、色という概念そのものが好きなのだと思う。


世の中には生まれつき色を認識できない人がいる、ということを知ったのは私が中学生のときだった。

おれ、ほとんどのものが白黒に見えてるんだよね。だからほら、持ち物も全部、白か黒ばっかり。

カラフルな絵本みたいなものを見せられて、浮かび上がる数字を当てるあの検査に意味があることを、私はその日初めて知った。私が当たり前のようにこなしてきたそれは、彼にとってはとてつもなく難しくて、そして本人も、そこで初めて自分の見れる世界が他と違うことに気づいたと言う。

美術の授業でデザインした彼の作品が好きだったけれど、思えば、使われている色は偏っていて、青や黄色はコントラストで判断できるから使うけど、ピンクや赤なんかは違いがわからないから、絵の具が余るんだよ、と笑いながら話していたことを、私はたぶん一生忘れない。



深夜、ふと思い出して久しぶりに、中学の卒アルを取り出してみた。15歳のときと何も変わらないと思っていた私は、あの頃見ていた景色はもうどこにもないことを実感させられる。

当時ならパッと目についていた君を、見つけられなかったんだよ。

今の私の目に真っ先に飛び込んできたのは、あの頃なんとなく目を引いていた子でも、何かと話題で目立っていた子でも、君でも、親友でもなくて、こんな子いたっけ?と思うような、話したこともない、名前もすぐには出てこない子だった。月日が経って少しだけ大人になった私は、誰に対しても真の意味でフラットな目線で見れるようになったから、単純に「この人知らない」という気づきがあるのみで。

良くも悪くも、私は変わってしまったのだろう。好きなものも大切にしているものも変わっていないと思っていたけれど、実際変わらないものもたくさんあるのだけど、そこには15歳の私が見ていた世界はまるで無くて、色のない、透明な「思い出」がアルバムにはおさまっていた。



似合わないのは黄色だけじゃなくて、長い爪そのものだ。
お風呂を出たら切ろう。極端な私は、きっと、ピアノを習っていた頃みたいにうんと短く切ってしまうのだろうな。



おわり



あとがき
現在時刻17時過ぎ、お風呂に入りながら書いています!
これを習慣にしたくて、17時のお風呂場と名付けてみました。お風呂が面倒で嫌いな私なので、noteを書く習慣と一緒にお風呂に入れたらなあと考えたわけです。(三日坊主になる可能性大)
こんなこと書いて欲しい、あんなこと書いて欲しい、などなどありましたら、ぜひコメントによろしくお願いします。感想も嬉しいので、一言でも大丈夫、いい感じやん!と言っていただけるだけで泣いて喜びます。
ちなみに黄色のネイルはもう剥がれてしまったので、また新しい色に変える予定です。
「色」には私にとってたくさんの大切や好きが詰まっているので、またそれについても詳しく書こうと思います!





ここまで読んでいただきありがとうございました。


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