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ドイツと全く関係なかった私がドイツに正規留学した話

留学に至るまで

私は25歳まで全くドイツとは縁がなかったのだが、あることをキッカケにドイツに猛烈に興味をもち、28歳で渡独、その後、なんとなく流れでドイツの大学に入学。その後、苦労の末にどうにか学士と修士を取得した。卒業したのは、なんと37歳の時だった。

25歳の私に何があったのかというと、単純なのだが、ドイツ人の彼氏ができたのである。ただそれだけなのだが、モチベーションがグイーッと上がった。それで、急にドイツ語をNHKのラジオ講座で勉強し始め、都内のドイツ語教室にも通った。

2年ぐらいドイツ語を勉強したが、レベルはA2ぐらいだった。日常会話もままならないレベルである。でも、愛は強し。若さの勢いで、後先考えずにドイツに旅立った

留学中

ドイツで初めの1年間は語学学校に通った。しかし、授業料が高い!貯金はなくなる一方だ。そこで思いついたのは、「そうだ。学費が無料の大学に入ればいいんだ!ビザも長くもらえるし。」なんとも不純な動機だ。

幸い、ドイツは大学の入学試験がないシステム。高校卒業の学歴と、ある程度の語学力を証明できれば、入学は割と簡単だ。私は日本の大学を卒業していたが、他の専攻を勉強しようと思って、いきなり修士課程には入らず、もう一度学士課程でゼロから始めることにした。主専攻は「ドイツ語・ドイツ文学」で、副専攻は「英語・英文学」にした。

その後の苦労は筆舌に尽くし難い。ドイツの大学は「入学は易しく、卒業は難しい」システムだから、勉強が大変なのは当然だ。ドイツ人にとっても大変なのだから、ましては、語学のハンデがある外国人にとっては、なおさらだ。

例えば、「来週までにこの本を読んで、まとめて来い」と毎週1冊の本を読まされたり、テストでドイツ語の新聞記事を英語に翻訳させられたり、現代ドイツ語だって難しいのに、中世のドイツ語を暗記させられたり。発表とレポートはもちろんドイツ語。初めは講義のドイツ語も全く理解できなかった。同じ試験は2回しか受けられない。2回落ちたら、退学だ。そのプレッシャーたるや凄くて、夜はよく悪夢を見た。

でも、人間とは面白いもので、難しければ難しいほど、やる気に火がついた。最後までやり遂げて、攻略したくなった。初めはビザ目的、もともとは愛を追いかけてきたのに、ふと気づいたら、卒業することが一番の目的になっていた。

8年間勉強し続けて、苦労の末に2011年に修士課程を卒業できた時は、本当に嬉しくて、涙がドドーッと出た。

そして今

修士課程卒業の学歴を得られたおかげで、今の大学での仕事に就くことができた(日本語教師)。自分では天職だと思っている。「好き」と「できる」が重なっている領域だ。それだけでなく、学生の気持ちもよく理解できる教師になれたと思う。

そして何より、あの苦労を乗り越えられたという経験と自信が宝物だと思う。長い間がんばって、一つの目標を追いかけたので、持久力には自信を持てるようになった。

結局、あの時の追いかけていた愛の方はダメになってしまったが、別の宝物を見つけることができた想定通りに行かないから、人生って面白い。「人生に無駄な経験なし」というが、なかなか日本にいてはできなかった貴重な経験ができたと思う。


#やってみた大賞

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