通学路の蕎麦屋 笑いを捕らえよ!#8

どうやらこのシリーズも真面目モードに入ってきてしまったようなので、ここで流れを戻したい。

お笑いスイッチ装填!エンジン異常なし、スイッチをONにする!

待ってください軍曹!真面目スイッチが切れていません!

なに!?このままだとまずいぞ!どうにかならないのか?

もう無理です、軍曹!このままでは…うわぁぁああああ!💥

…ふぅ。十分笑いモードに入っていた。

僕は中学校に入ってから電車で通学している。

通学とは不思議なものである。

毎日同じ道を通り、同じ道で帰る。

ある時は友達と、ある時は独りで。

成人して、様々な思い出が集結した通学路を再訪したとき、どんな気持ちになるだろう。

ふとそんなことを考えたりする。

ところで、僕の通学路の途中に蕎麦屋がある。

その蕎麦屋は、毎日通っているのにも関わらず、寄ってはいけないので一回も入ったことがなかった。

誇らしげな看板の隣には、光り輝く蕎麦がショーウィンドウに並んでいる。

僕は、その店構えから高級店だろうと勘ぐっていた。

ある休日、その蕎麦屋で親と昼食を取ることになった。

中に入ると御座敷に案内され、あつあつの緑茶が出され…

とシュミレートしていたのだが、扉を開けると券売機がこちらを見て「いらっしゃいませ」と機械じみた声で言う。

僕はすっかり騙された気分になった。

勝手に妄想していただけなのだが。

1年以上通っている道で、ずっと高級蕎麦屋だと思って見ていた。

目を凝らせば、外からでも券売機が見えたし、御座敷もなかった。

その後。

看板からは威厳がなくなり、ショーウインドウの中の光り輝く蕎麦も、光を失っているように見える。

思い込みによって見え方が変わる。

思い込みによって不遇な目に遭っている店が、あなたの近所にもあるかもしれませんよ。


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