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第25回「アーセナルvsエバートン<マッチレビュー>君の名は希望。PL第14節」

こんちゃ!どうもいったーです。
 久しぶりの土曜の夜中のゲームということで、翌日は休日でしたし、リアタイしたグーナーが多いかと思います。にしても、まだまだトンネルの中です。今回は少しばかり、トンネルの出口が見えてきたように思えます。
プレビューにて触れたように、前々節のマクニール、前節のウォルコットの活躍、今節のシグルズソン→ミナのセットプレーと相手選手の活躍が予言のように的中して複雑な気持ちです。

 試合開始前には、BLM(Black Lives Matter)に対して賛同するジェスチャーとして片膝をたてて、右手を挙げるポーズをとっています。PLでは同時に人種差別に反対の意を込めて、No room for Racismという運動も進めています。先日のチャンピオンシップ(イングランド2部)のミルウォールがBLMポーズの際にブーイングを行ったとして批判を受けました。それに対するリアクションでこのゲームでは、エバトニアンからはBLMポーズで拍手が起きました。素晴らしい行動だと思います。

チーム紹介

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ホームチーム:エバートン(愛称:トフィーズ)
監督:カルロ・アンチェロッティ
フォーメーション:4-2-1-3(4-1-2-3)

アウェイチーム:アーセナル
監督:ミケル・アルテタ(元エバートン10番キャプテン)
フォーメーション:3-4-3(4-2-3-1)

プロローグ

 アーセナルは前節vsセインツで10人になりながらも、何とか勝ち点1を取ったというもう、かつての貫禄は見る姿もありませんでした。これで6試合2分4敗となりました。vsスパーズよりもvsバーンリー、vsバーンリーよりもvsセインツと試合内容は徐々にですが前進しています。

 一方、エバートンは序盤首位に立つものの、失速していました。そこにOMFハメスが重なり、いつものエバートンかな?と思わせました。しかしながら、上位対決となったvsレスター、vsチェルシー相手にクリーンシート(無失点)を達成し、2連勝と、自分たちの価値を改めて証明しました。CFドミニク・カルバート・ルイン(以下DCL)が絶好調でリーグトップの得点を稼いでいます。果たして、彼は得点を重ねることはできるのでしょうか。

前半<アーセナル>

〇ビルドアップの形、ダビルイスの存在の大きさ
〇SBティアニー×LWBサカの鉄板コンビ

 CBマガリャンイスが前節退場したので、vsウルブスで頭部を負傷したCBダビ・ルイスが得意の3バックのセンターで復帰しました。彼の持ち味である縦パスや、サイドへの長いボール、相手DFラインの背後を突くボールなど様々な球種を用途によって使い分けることが出来ます。

 その良さが出ていたのが、12分と19分のプレーです。(12分は以下図)

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CBダビ・ルイスは①縦パスを刺せるポイントを探りながら、自身の前にスペースがあると認知したうえで、ドライブ(=スペースにドリブルで運ぶプレー)をして前進させます。

②相手もほぼノープレッシャーだったので、マーカー同士の間を狙いながら相手陣内10mまで運びます。

③その間に、前線のLWBサカとLWGウィリアン、CFエンケティアが交互にポジションチェンジをして、エバートンRSBのホルゲイトとCBミナの中間スペースを攻略にかかります。CMFドゥクレが察知し、ケアしようとしましたが、CBダビ・ルイスの高速縦パスには反応できず、PA脇を攻略できました。

 26分にはSBティアニーとLWBサカのコンビネーションは上記のシチュエーションのみならず、他のプレーでも随所に見ることが出来ました。下図では、WGウィリアンがサイドに張ってSBホルゲイトをピン留めしました。また、SBティアニ―もCMFドゥクレがポジションを離れていたことを認知するとともに、インサイドに入ったLWBサカのランニングも見逃しませんでした。

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 ここ数試合サカのフリーラン、オフザボールはアーセナル攻撃陣を活性化する唯一と言っても良いアクションです。他選手は足元でボールを要求することが多く、受け手も周囲のアクションがないために、攻撃が滞ってしまう状況が生まれてしまいました。

前半<エバートン>

〇両WGが仕掛ける1on1が実った先制点
〇王様ハメス不在を全員で埋める

 怪我人が続出しているエバートンは用兵に関して不安がありました。SBコールマン、ディーニュが負傷離脱した影響からCBもこなすことが出来るホルゲイト、ゴドフリーがSBを務めることになりました。彼らは忠実に守備はできますが、サイド攻撃に厚みを加える役割としては不十分でした。加えて、王様OMFハメスも負傷離脱しているために、まず、ボールを預けるポイントが不在でした。

 そこでアンチェロッティ監督が考えたのは、WGを活用することでした。1on1に絶対の自信のあるWGリシャ―リソン&イウォビを起用し、基本的にはタッチライン際に張らせていました。最終的な目的としてCF ドミニク・カルバート・ルイン(DCL)にPA内でボールを預けることです。エバートンは執拗なまでのサイドからのドリブルで仕掛けて、クロスという形で先制点をゲットしました。(以下図)

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エバートンは、WGイウォビが何度も仕掛けて、抜いてからのクロス、抜ききらないクロスとチャレンジし続けた結果が実りました。

 一方アーセナルはCBルイスはニアでボールに触れられなかったのか。WGウィリアン、LWBサカはドリブルに対して果敢にボールにアタックできなかったのか、ボールへの執着という点で改善の余地があるでしょう。

一撃必殺の右足、シグルズソン→CBミナ

 追加点は前半終了間際に生まれました。左 CKをニアに走り込んだ195cmCBミナのヘディングで、すらされて失点。セットプレー時のゾーン&マンマークの併用の弊害が出たように思えます。プレビュー通りの展開の失点で泣きたくなります。あ、ちなみにアーセナルは、珍しくPKをもらい、WGペペのキックで前半で1-1に追いついていました。

後半<アーセナル>

〇ハブとしての役割ウィリアン
〇君の名は希望。ガブリエル・マルティネリ

 アーセナルは、後半に入り、選手交代で布陣を少しいじってきました。ターニングポイントがWGマルティネリの復帰です。

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(71分以降の布陣)4-2-3-1の布陣となり、ウィリアンがWG→OMFになりました。彼の役割は、サイドとサイドをリンクさせるハブのような役割でした。様々な門(相手選手と選手の間)でボールを受けて、逆のサイドにつなぐように促すパスを散らしていきました。

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 72分の連続のプレーではOMFウィリアンの良さが詰まっていました。特に下図の際にOMFウィリアンは、パスが来た方から遠い足(左足=利き足ではない)でトラップという、基礎中の基礎ですが、当たり前にゴール前の局面で表現しました。そのため、相手が強く寄せてきても視野が確保され、次のプレーへの移行がスムーズでした。

※シュートを選択し、枠には飛ばせませんでした。左サイドのLSBティアニーはフリーで準備が出来た状況だたために、悔やまれます。

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 WGガブリエルのPLは約10ヶ月ぶりの復帰でした。彼は大変、エネルギッシュでオフザボールの際も足を止めません。加えて、守備にも勤勉に参加しているため、チーム全体の活性化にも繋がります。

 19歳と若いですが、自身が求められているプレーとチームの足りないプレーをしっかり理解し、実行に移している姿はベテランのようです。19歳で膝の大怪我ということですぐに結果を求めるのは酷であり、回復には悪手です。継続的にプレーさせ、徐々にプレータイムを伸ばしていくべきです。とは言え、特大のポテンシャルを秘めているので、期待せずにはいられません。なぜなら、「君の名は希望」ですから。

後半<エバートン>

〇SB/CBゴドフリーの活躍
〇CF DCLの高さを活かしたロングカウンター

 SBゴドフリーの活躍には目を見張るものがありました。対峙したWGぺぺ、WGサカはドリブルやランニングに優れているため、簡単な相手ではありませんでした。もともとCB出身ということからも1on1で負けることも少なく、決定的なプレーをさせませんでした。攻撃でも、深い位置までのランニングでクロスという展開までは作れませんでしたが、WGリシャーリソンといい関係を築きながら、後方支援を怠りませんでした。SBディーニュがとはまた違うキャラクターのため、復帰しても試合展開によっては、SBゴドフリーが起用されるかもしれません。

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 DCLはPA内での動き出しが秀逸でワンタッチのフィニッシュ、打点の高いヘディングで得点を量産してきました。彼の長所はPA内だけではなく、攻撃の基準点ということからもチームに大きな貢献をしていました。
 顕著だったのが、63分のプレーでした。(以下図)

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 DFラインのビルドアップで詰まったと、判断したらシンプルに最前線のDCLに向けてラフなボールを蹴り込み、プレスを回避します。シンプルながらもDCLの長所である、高い跳躍力を活かしたGKからのキックでした。WGリシャーリソンは、DCLが競り勝つことを見越して、先にスペースへのランニングをスタートしていました。

 DCL(187cm)vsホールディング(188cm)とほぼ同格ながら完璧に競り勝ちました。空中で止まっているかのような長い滞空時間は、彼のヘディングでのゴールが多いことを裏付けるのかもしれません。

「結果」
エバートンvsアーセナル (2-1)

得点者:EVE:’22ホールディング(OG), ’45ミナARS:’35ぺぺ(PK)

エピローグ

 結果だけ見ると、またも1-2と黒星を喫したアーセナル。しかしながら、徐々に攻撃の精度は上がってきています。何がしたいクロスなのかが分からなかった3週間前でした。そこから進歩が見てわかるように、どんなサイド攻撃がしたいのかが表現できていると思います。ラフな放り込みもなくなり、グラウンダーの速いクロス、ハーフレーンを攻略したラストパス、カットイン等、来週のvsチェルシーでは期待できるかもしれません。

 問題は、長年言われ続けている、セットプレーの守備です。vsバーンリーでもニアにいいボールを送られ、OGから失点でした。ゾーンとマンマークの併用ですが、走り込む選手がフリーの場面が目立ちます。セットプレーに関する守備について知識がないので、シンプルですが目の前のボールに先に触るという気概を見せてほしいです。

次のゲームはvsチェルシーとロンドンの覇権を懸けた血戦になること間違いありません。
締めは、このチャントで締めたいと思います。(※動画はボスのインタビューからのありがたいお言葉。)

”One Team in London.♪ 
“There is Only One Team in London♪.”
“One Team in London.♪”
“There is Only One Team in London.♪”
「ロンドンには1つしかチームはねえんだよ。」
「ロンドンのオンリーワンはおれらさ」
「おまえらは、石油に買われたよそ者さ。」

今週はミッドウィークのゲームがないので、余裕があれば、
「20-21アーセナル選手名鑑~MF編②~」更新したいと思います。
まずは、大分トリニータJ1最終節vsサガン鳥栖を書きます。(たぶん)

それではこのへんで、、、

ばいころまる~

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