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第34回「第99回高校サッカー選手権を振り返ってみた。」

こんちゃ!どうもいったーです。
先日1月11日に第99回高校サッカー選手権決勝が開催されました。
と言うことで、今回は、「高校サッカー選手権決勝を振り返ろう」
<決勝 山梨学院vs青森山田レビュー><今大会印象に残ったチーム>

を書いていきたいと思います。

高校サッカー選手権にのめり込んだきっかけ

 正直、僕自身の感覚として高校サッカー選手権を詳しくチェックするようになったのは、大学生になってからのような気がします。特に地元大分の高校が勝ちあがるわけでもなく、だいたい青森山田が話題の中心で、サッカーのスポーツとしてのエンターテインメント性よりも高校生の3年間のドラマ性に比重が置かれた放送で、純粋に楽しめないと冷めたスタンスでした。

大学進学と同時に上京し、友だちのそれぞれの出身地のスター選手や強豪校の話を聞くと学生スポーツ(大学サッカー、大学ラグビー、大学野球、高校サッカー、高校ラグビー)が身近に感じられ、興味を持つようになりました。
 また今大会は無観客試合ということでTVerでオンデマンド放送があったことも興味を引く一因になったかもしれません。

今大会はコロナウイルスの影響から開催すら危ぶまれましたが、何とか無観客ということで、開催にこぎつけました。無事にクラスターも発生せず、全日程を終えることができ、スポーツイベントも入念な準備を行えば、クラスター発生は防げると証明できたので成功と言ってもいいのではないでしょうか。

<決勝レビュー>山梨学院vs青森山田(2-2PK4-2)

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 最高の決勝でした。まさに死闘です。下馬評の構図通り「攻める青森山田vs守る山梨学院」となりましたが、山梨学院が先制点をゲットしたことがこの試合を面白くしました。先制点となったミドルシュートもレベルが高く、予めシュートを打つイメージが出来ていなければ、あのトラップからシュートまでの速さは出すことが出来なかったでしょう。

やはり青森山田の同点ゴールはロングスローから生まれました。パターン化されているニアでフリックし、セカンドボールを拾いシュート、ゴールとなりました。詳しくは別回でロングスローについて書きたいと思います。

2点目も同様に、右サイドからの攻撃でした。青森山田を相手にするチームは自陣に引きこもるために、サイド攻撃が有効的な手段となります。大会通じてサイドで“違い”を生み出していたRSB内田陽介のクロスも素晴らしく、合わせたMF安斎楓馬も入り込むタイミングも完璧でシュートも完璧でした。

 守備だけではなく相手陣地にも勇敢に攻めなければならなくなった山梨学院は攻撃の核である#10野田武留がワンチャンスをものにし、同点に追いつきました。簡単そうに見えるシュートですが、ボールスキルの高さが詰まっており、落ち着き浮かしてコースを突きました。

決勝は延長戦(20分)→PK戦ということで、DFラインを押し上げられないほど消耗しており、専守防衛になっていた山梨学院が失点するのは時間の問題かと思いましたが、懸命のクリアやブロック、GK#17熊倉匠を中心にゴールに鍵をかけました。

 青森山田にとってDFラインを下げ、ボックス内のみを守る山梨学院を攻略することはかなり難しいミッションとなり、有効打を見つけられPK戦に持ち込まれました。
 結果は皆さんご存知の通り、GKキャプテン#17熊倉匠(山梨学院)の活躍でPK4-2で勝利した山梨学院が11年ぶりに優勝、2度目の全国制覇しました。
守備をベースとしながらも勝負所で得点できる強さは、素晴らしかったです。

試合ハイライト

<ハイライト>

<PK戦ハイライト>

決勝のサイドストーリー

また、それぞれの中心選手であった#7安斎楓馬(青森山田)とGK#17熊倉匠はFC東京U15 深川でチームメイトであり、その関係性も注目されました。延長戦に入り、青森山田#7安斎楓馬が脚を痙攣させた際に、山梨学院GK#17熊倉匠が脚を伸ばしてあげるシーンや、PK失敗した安斎楓馬を慰めるシーン等、感動するシーンが何度もあり、ぐっときました。

PK失敗の悔しさを胸に早稲田大学に進学する#7安斎楓馬には大学サッカーで大暴れしてほしいです。

これまで<決勝>山梨学院vs青森山田の感想を交えたレポートでしたが
次から今大会印象に残ったチームを紹介していきたいと思います。

<今大会印象に残ったチーム>

〇伝統の堅守がベースの山梨学院高校(山梨)
〇この世代の“王者“青森山田高校(青森)
〇高体連屈指の技巧派集団、昌平高校(埼玉)
〇九州の雄“赤い彗星“こと東福岡高校(福岡)

山梨学院高校(山梨)

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今大会成績:優勝
vs米子北(1-0)
vs鹿島学園(1-0)
vs藤枝明誠(1-1PK7-6)
vs昌平(1-0)
vs帝京長岡(2-2PK3-1)
vs青森山田(2-2PK4-2) 
 全国大会優勝経験があることは知っていたものの、その強さを知ることになるのは大会が徐々に進んでいってからでした。
 県大会から全国大会準決勝まで僅か2失点に抑え、堅守をベースにしたチームでした。GK#17熊倉匠CB#3一瀬大寿を中心としたブロックは見事で、規律とソリッドさがありました。

GK#17熊倉匠は類いまれなキャプテンシーを発揮し、PK戦では何度もストップし、チームを救いました。
CB#3一瀬大寿は1on1での強さ、空中戦の強さが際立ち、その強さは攻撃面でも生かされ、初戦vs米子北ではロングスローから合わせ、決勝点。

攻撃陣では#10野田武留が機動力を生かしたドリブルや視野の広いパスを前線に供給し、決勝での先制点となるミドルシュートを決めた#11広澤灯喜が輝いていました。

近年のトレンドでもあるロングスローを取り入れたセットプレーも魅力的でした。前述通り、CB一瀬大寿がターゲットとなり何度もチャンスを作りました。ピンチでも大崩れしないしぶとさや結束力が強かったです。
大会通じてしぶとさ、がむしゃらさを表現し、守備の美学みたいなものを見せてくれ、巧さが追及されるようになった状況に一石を投じるかのようなチームでした。

延長戦やPKを総力戦で乗り切り、交代カードの豊富さという点では層の厚さが見受けられ、交代選手もすんなりとゲームに入りこめたことからも日頃の監督のマネージメントも素晴らしいのかなと思いました。

青森山田高校(青森)

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今大会成績:準優勝
vs広島皆実(2-0)
vs帝京大可児(4-2)
vs堀越(4-0)
vs矢板中央(5-0)
vs山梨学院(2-2PK2-4)
 泣く子も黙るこの年代の王者・青森山田。今大会も優勝候補筆頭という呼び声が高く、決勝まで、期待通りの勝ち上がりであったと思います。(※途中でロングスロー論争等ありましたが、、、)CBでキャプテンの#5藤原優大(浦和レッズ内定)、2年生ながら#10を背負うMF松木玖生、今大会得点王#7安斎楓馬、攻撃に厚みをもたらした両SB#3タビナス・ポール・ビスマルク#2内田陽介ら豊富なタレントを擁し、他校を圧倒しました。

CBながら高い得点能力をみせた#5藤原優大は今大会最高のCBであったと言えるでしょう。対人守備も苦にせず、空中戦も負け知らず、攻めてはvs堀越での得点シーンを生み出したロングフィードと攻守揃った現代的なCBでした。青森山田は中高一貫校であり、全国中学サッカー大会も4連覇を成し遂げた際のボランチとして#5藤原優大は出場していたようです。青森山田を知り尽くす彼なくしてここまで進むことはなかったかもしれません。

基本的に青森山田を相手に高い位置からプレスをかけ、がっぷり四つに組む、真っ向勝負を仕掛けるチームはほぼ存在しません。大多数は自陣に引きこもり守り、セットプレーの“ワンチャン”を狙います。その際にカギになるのが、サイドからの崩しでした。そうした側面からRSB&LSB内田陽介、タビナス・ポール・ビスマルクが質的、数的優位の“違い”を生み出し再三チャンスを創出しました。特にRSB内田陽介は強肩を活かしたロングスローから3得点、クロスから3得点をアシストし、今大会、青森山田を引っ張る存在でした。

昌平高校(埼玉)

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今大会成績:ベスト8
vs 高川学園(2-2PK8-7)
vs京都橘(2-0)
vs創成館(3-0)
vs山梨学院(0-1)
 プロ入り内定4人を擁して今大会に臨みました。高校サッカーでは珍しいレベルのテクニカルでショートパスを志向するチームで、高体連屈指の技巧派集団です。育成年代では両立が難しいと言われている、「勝利」と「個々の成長」という二項対立バランスよく成立させているような印象を受けました。

 特に、#10須藤直樹は名門鹿島アントラーズに内定しており、憧れの選手はロナウジーニョです。稀代の10番のようなアイディアを具現化できるだけのボールスキル、トリッキーなドリブル、キック精度が高かった印象です。注目されていただけに厳しいマークで恐らく本来の力を最大値発揮できたとは言い難いでしょうが、ちょっとしたプレーの端々からも上手さとセンスが滲み出ていました。

 また1回戦vs高川学園(山口)(2-2PK8-7)では、執念や泥臭さという部分を見せてくれました。1点目、2点目ともに自ら仕掛けてゴールに繋げた姿から「自分がチームを救うんだ」という強い気持ちも見て取れました。

 #6柴圭太は、163㎝と小柄ながらも、デュエルで臆することなく闘えており、豊富な運動量を活かしてピッチのいたるところで顔を出し、印象に残っています。

前回大会も準々決勝で敗れ、今大会こそはと懸ける気持ちが伝わってきており、勝ち進んで欲しかったですが、山梨学院(山梨)(0-1)に敗れ、前回同様、準々決勝で跳ね返されてしまいました。

東福岡高校(福岡)

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今大会成績:3回戦敗退
vs桐蔭学園(2-0)
vs作陽(2-0)
vs矢板中央(0-0PK1-3)

 やはり東福岡と言って印象に残っているのは、第94回大会優勝のシーンでしょう。壁が後退し、直接FKを決めた第94回大会決勝vs国学院久我山(5-0)あのゲームは王者という言葉がふさわしかったです。またプロ選手を多数輩出する名門です。

 今大会も伝統的な4-3-3(4-1-4-1)をベースとするアタッキング・フットボールは破壊力抜群でわくわくさせてくれました。3回戦vs矢板中央(0-0PK1-3)で惜しくも涙を流すことになりましたが、#10上田瑞季#11遠藤貴成を中心に右サイドの連続して複数人数が連携する攻撃、クロスの質と素晴らしかったです。

 また、1年生時から活躍しているレフティの#7青木俊輔は現在では珍しくなった利き足と同サイドのウインガ―でした。左足を中心としたラン・ウィズ・ザ・ボールのセンスを感じ、スピードに乗った際のボールスキルも見事でした。

 福岡県新人戦準決勝vs九州国際大付属(1-1PK7-8)とPKで敗北し、連覇の記録を途絶えさせてしまいました。今回も矢板中央に封殺され、エース格3人が連続失敗ということで大一番での勝負強さという点では、少し劣っていたのかもしれません。しかし勇敢に攻め続ける姿勢に心動かされました。

福岡県予選は飯塚、九州国際大付属、筑陽学園と難敵ぞろいですが、また全国大会で勝つ“ヒガシ”が見たいです。

最後に、、、

水を差す形になりますが、青森山田高校の黒田監督にはがっかりさせられました。選手が闘志あふれるプレーで110分間やり切った最高の決勝でしたが、教育者としての不適切な振る舞いが残念です。

〇ロングスローワーにボールを意図的に渡さない行為
〇ロングスローの際に相手スローワーを意図的に邪魔するかのような行為。
〇ピッチへの唾吐き行為

これらの3つの行為は選手がやってもアウトですし、まして模範となるべき大人がやるのはいただけません。高校サッカーの監督はスポーツ面もさることながら教育者としての一面もあるはずです。また、近年黄金世代を築き始めた名門青森山田の監督として名を馳せているのに、品格に欠ける行為でした。最後にモヤモヤしてしまいました。

とにかく最高の決勝と、見応えある選手権をありがとうございました‼

それではこのへんで、、、

ばいころまる~

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