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大手vs個人

【SHIATSU TALK #20

みなさんは「大手」と聞くとどんなことを思い浮かべますか?
対照的に「個人」または「個人事業主」と聞いてどんなイメージを持ちますか?
どの業界にも、この二つの構図が成り立っていて、どこかライバル関係のような印象を持たれる方も多いでしょう。
今回は、我々指圧業界における「大手」と「個人」の関係性、そして個人事業主としての考え方をお話ししていきます。

ここがすごいぞ大手企業

いきなりですが、ファミレスって行ったことあります?

どこかのお坊ちゃんやお嬢ちゃん、もしくは皇族でもない限り一度は行ったことありますよね。
そう。街に必ずある”あのお店”です。

僕も最近よく行くんですよ。
以前、まだ結婚もしていない頃はお金にも時間にも余裕がありましたから、いろいろなレストランや飲み屋さんに行きました。
でも今は4歳と1歳の子供がいるので、必然的に外食の回数も少なくなってきます。
でもたまには外食がしたい!そんな時、助かるのがいわゆる”ファミレス”なんです。

昔は何も感じませんでしたが、子供ができるとファミレスのオペレーションの素晴らしさを痛感します。

まず、子供連れがお客さんの大半なので、子供の大きな声や鳴き声に対して気を使いすぎることはありません。ベビーチェアや子供用のグッズは必ずありますし、そのための席の間隔が確保されています。子供が喜ぶメニューも豊富です。飽きないようにおもちゃもついてきます。お水や食べ物をこぼしてしまっても店員さんが慣れた手つきで対応してくれます。入口には悪魔的なガチャガチャだってある。

味だってかなり美味しいし、どこで食べても安定している。値段も比較的リーズナブル。
うちのような30代ファミリーにはかなり助かる存在なわけです。

対照的に個人のお店にファミリーで行くとなると、多少リスクがあるんです。
子供用の椅子がないところだってあるし、あってもお店が狭くて身動きができなかったり。子供が喚けば静かに食べたい他のお客さんに気を遣ってしまう。飲み物をこぼした日なんかジーザスこの上なし。
初めていくお店であれば、味が美味しい保証はありませんし…。
やはり、お店によってクオリティの差が生じてしまうのが現状ではないでしょうか。
行きたいお店は山ほどあるんですけどね…。

そもそも「ターゲットが違う」と言われてしまえば、それまでなんですが、ファミリーに対しての戦略だけにしても、大手の資本力やオペレーションは流石の一言です。個人店には間違いなく真似ができません。

そして、どこに行っても同じ味、サービスが楽しめる。これってすごいことですよ。働く人によって能力は違うはずなのに、かなりの確率で一定水準以上のものが提供される。これが大手の強み、”マニュアル”の力なわけです。

頭のいい人たちがトライアンドエラーを繰り返し、”マニュアル”はできていくわけですが、この”マニュアル”という言葉に対して、我々個人事業主は、あまりいいイメージを持たないような気がしています。

なぜなら、企業のマニュアルとは誰でも一定水準のサービスが提供できるオペレーションであり、常に”最高”のサービスを提供したい職人気質な個人事業主のアイデンティティーとは、対極にあるものだからです。

では、このマニュアルという概念を我々のような個人事業主は、どのように考えればいいのでしょうか。

大手と個人の違い

マニュアルやオペレーションという概念を我々の業界に落とし込んで考えてみましょう。

まず、ショッピングモールや駅ビルなどによく見られるような、大手マッサージチェーンは問診から施術・次回予約の取り方まで、ある程度のマニュアルが存在します。

僕も勉強のため、大手チェーンに施術を受けに行きますが、誰が担当しても、ある程度指摘するところは一緒で、次回予約を促すタイミングも同じなんです。技術に関しては、すごい下手な施術はされないけど、すごい上手な施術もされないという印象です。(あくまでも個人の感想です)
しかし、万人受けするような内容にはなっているので、平均点に近い施術はしてくれます。

対照的に、個人事業主にマニュアルは存在しません。一人で商売をしている場合は、情報を共有する必要もないですしね。施術の技術に関しては、一言で言えばピンキリ。とても上手な人もいれば、「お前まじか」的な下手くそもいらっしゃいます。

大手と違って人間性と施術内容に、癖が強い方が多く、お客さんと施術者の合う合わないが比較的強いようにも感じます。
しかし、相性が合った時のシンデレラフィット感は半端ではありませんし、一生ものです。
なんか飲み屋さんともよく似ていますね。

次に資本力。大手は資本力がありますので、出店する場所も駅前やショッピングモールなど人が集まりやすく、入りやすい場所にあることが非常に多い。

人材も豊富なため、急な予約でも比較的対応してくれるでしょう。料金も比較的安価です。

しかし、新規は多いと思いますが、リピート率に関して『?』なのが難点なのかなとも思っています。(あくまでも僕の感想ですからね)

さて、個人はどうでしょうか。高い家賃を払っていくことは困難ですので、住宅街や駅から少し離れた場所、ビルのテナント等のわかりにくい場所での出店が多くなります。
ですので、新規をガンガン増やしていくというスタイルではなく、一定数の常連さんを確保して、単価を高くし、リピート率を上げていくスタイルになっていくかと思います。

ここからもわかるように、大手と個人では、オペレーションにかなり違いがあるんです。

大手に勝つために必要なこと

マッサージや整体屋さんがコンビニよりも多くなっている現代において、我々のような一個人事業主が大手に対してどのように戦っていけばいいのでしょうか。

そのヒントは、前回のnoteでお話しした”センス”に繋がります。
どこの業界でも個人が大手と同じことをしていたら必ず負けてしまいます。

先ほどもお話しした通り、資本力が違いますから。

ですので、”大手とは違うこと”を行なっていかなければ、群雄割拠の業界で生存していくことはできないと僕は思うんです。

個人がやらなければいけないことは最低限、以下の3つです。

①安くない料金設定
最近は少なくなりましたが、「60分¥2980」のような料金設定は、大手にしかできません。個人がこんな安い料金で施術をしてしまったら、一体何人施術をすればいいのでしょうか。
ですので、ある程度の料金設定をすることが大事です。
少なくとも10分¥1000を基準に考えないと、個人で続けることはだいぶ難しいと思いますし、円安で物価も上がってきている昨今、この基準からもう少し料金設定を上げていくことをお勧めします。

②クオリティの高い施術内容
僕は、いつも行く飲み屋のカウンターでこんな質問をよく受けます。
「駅前の大手のお店ってどうなの?」
これに関しては、僕は答えの雛形を用意していて、
「疲れを癒してほしい程度なら安価のところでも平気だけど、何か症状があるときは国家資格を持っている個人の治療院に行ったほうがいいですよ」
と答えるようにしています。

やはり我々は、症状を良くしてなんぼ。
もうこれに関しては、施術の結果で勝負するしかありません。
常に100点に近い施術ができるように努力するしかないんです。

③独自のスタイル
あなたが気になるお店があったとしましょう。
まず、何をしますか?
僕なら、まずネットで検索します。ホームページをチェックして、そのままSNSアカウントがあるかチェックします。どんなお店なのか。値段はどのくらいなのか。しかし、一番気になることは”どんな人がやっているか”ではないでしょうか。

やはり最終的には”人”にお客さんはつくものです。
お店は経営者の人柄が出ます。
人柄とは、その人のバックグラウンドから滲み出る雰囲気です。
是非、施術や知識以外でもバックグラウンドを活かしたスタイルを確立してほしいと思います。
ここが、大手と差別化できる一番の重要ポイントですからね。

価値を提供する

最後に、今回のお話で大事なことは、”価値を提供する”ということです。
自分自身の価値を提供して、初めてお金という対価をいただくわけですので、
「なんでお客さんが来ないんだろう?」と、もしあなたが思っているとしたら(あなたに技術がしっかりあるとして)商品の価値をターゲットに提供できていないからに他なりません。

ターゲットを明確に設定して、上記の3つを意識しながら自己投資をし、価値を伝えられるように努力する。もうこれが真理なんだと思うんです。

やはり真理は常にシンプルなような気がしています。ライフイズシンポー。ではまた。


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