2023年6月26日の日記
「最近どう?」
慣れた手つきでフォークにパスタを巻きつけながら言う。右手が1回転する度、パスタの山が一まわり小さくなり、麺がするするとフォークの刃先に吸い込まれていく。金属製の皿がカタカタと音を立てる。オリーブオイルの滴るパスタが絡まったフォークはまるでハニーディッパーみたいだ。
一人暮らしのときはパスタ料理ばっかり作っていた。なんてったって、量の調整が容易だし、味付けのキャパが広いし、複雑な調理手順を必要としないし、後片付けが楽、以上のことからパスタ料理は一人暮らし料理の定番中の定番だ。
鍋に水を張って火にかけた瞬間に、もうパスタ作りの工程の半分以上は終わっている。むしろそこにたどり着くまでが一番時間がかかる。水を張って沸騰しさえすれば、あとはもう手が勝手にパスタを作っている。
もうここまで来たらあとは茹で加減の調整だけ、アルデンテにするだけ。
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社会という釜茹で地獄の中で生きていくうちに、外側にまとわりつく余計なものがそぎ落とされていったり、目に見えないけれど着実に変わっていくものがあると思う。適度に自分の芯を残したまま、どんなソースにも絡むことができる人間になれれば、こう、人生も"チュルっと"いけちゃうのかもしれない。
最近どう?パスタ巻いてる?
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