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2021年10月28日の日記

 東へ東へと走る電車の車窓から、北の空へ飛んでゆく飛行機を見た。薄雲がかかる澄んだパステルブルーの寒空に、雲よりも白い鉄の塊が悠々と浮かぶ。
 飛行機はさらに北へ北へ。やがてそれは、大きな水色の画用紙につけられたわずかな傷痕ほどの大きさになって、どこまでも続く空が見えているだけになった。

 異国にいる友人に、誕生日おめでとう、というメッセージを送った。時差の都合で、今ちょうど日が変わるという頃合を見計らった。私が電気信号に変換した言葉は、飛行機なんかよりもずっとずっと速く、見果てぬ海を幾つも超えていくのだ。

 短い秋が始まろうとしている。ツンと背筋が伸びるような、あの秋から冬にかけての朝の匂いを、思い出したい。

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