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2023年10月16日の日記
ガソリンスタンドの前を通りかかるとモワッと鼻に刺さるガソリンのかおり。肉体と精神の成長にいまだ嗅覚の発達が追いついていないので、子どものようにガソリンのかおりがすると思わず鼻を利かせてしまう。
子どもはガソリンの匂いが好きだ。ガソリンに対して"危険なもの"という認識がまだない頃、日常生活の中でおよそ嗅ぐ機会の少ないあの独特な重ったるい匂いに、子どもたちはなんとなく意味もなく惹かれていたものだ。
遠くにお出かけするとき最初に立ち寄るガソリンスタンドで、開けた窓の外から車内の私を舐めるようにどろりと匂ってくる。エンジンをとめた車、ガソリンが滔々と注がれる音がしている。まさに今からここではないどこかへと行く、その儀式みたい。
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社会人になって何年か経つけど、未だに海に誘う勇気も車もない、そして今のところ願望もない。自動車なら僕の白いので許してよ、贅沢な話だ。
仕事で社用車に乗っている。よく利用するガソリンスタンドはセルフ式でなく店員さんが入れてくれるので、ガソリンの匂いを嗅ぐこともない。ただエンジンが満たされるのを車内でラジオを聴きながら待つだけ。何にもワクワクなんぞしない。午後も仕事をするための、それこそ儀式みたいなもんだ。
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