揚げた数は四十個以上。
昨日は甥っ子と姪っ子が実家に遊びに来ていたので母から晩御飯のお誘いがあった。
もちろん断る理由もないので喜んで参加しますと返事を返した。
手ぶらで行くのも悪いので隣町の駅前まで行ってコンビニでローホルを二つ買っておいた。
家でゆったりと過ごしているうちに夕方になったので出かける支度をした。
最近は運動不足を解消するために歩いて実家に行く事にしている。
車だと十分もかからないが歩くと三十分以上かかる。
六時半に手土産を持って家を出た。
歩いて行こうというのは妻の提案である。
私も普段はほとんど車頼みの生活なのでたまにはいいかなと思う。
問題は私の歩く速度と妻の速度の差で、彼女の歩みはかなりゆっくりである。
時おり歩を緩めて側に行くが気が付けばまた距離が空いている。
それでも妻は全力で歩いているのでフゥフゥと息が荒い。
まあ、急ぐ必要もないのでテクテクと実家に向かった。
何だかんだで四十分くらいかかって到着。
実家は少し勾配のある坂に建っているのだが、妻は疲れすぎていて登るのが辛そうだったので手をつないで引っ張っていった。
実家に着いてまずは仏間で線香をあげる。
祖父と祖母に挨拶を済ませてから居間に行くと父と甥っ子が楽しそうに話していた。
姪っ子は寝室にこもってゲームをしていた。
私は手土産を渡して早速台所に立った。
昨日の献立はコロッケだった。
大好物なのでうわぁ嬉しいと言うとさっそく揚げていこうかと母が言う。
自宅では揚げ物をほとんどしないので私がやると立候補した。
コンロには大きなフライパンが据えてあり油がチンチンに温まっていた。
設定温度を170度にして衣のついたコロッケを鍋に滑らせる。
シュワーッと油がまとまってじわじわと揚がっていく。
カラリとキツネ色になったら鍋から引き揚げて新聞紙の上で油を切る。
付け合わせのキャベツは刻んであったのでそこにコロッケを乗せて完成。
とりあえず十二個あげて一回目終了。
父から乾杯するぞと言われたので着席してビールで乾杯。
昨日のおかずはコロッケとゴボウとベーコンのサラダ、レタスのサラダ、鯛とサーモンとイカの刺身、玉ねぎのスープと大ご馳走だった。
いったん乾杯してからビールを片手に残りのコロッケを揚げた。
母のコロッケはみんな好きなので揚げる端から無くなっていった。
全部で四十個以上揚げてからひと段落したので座って父とお酒を飲んだ。
そのうちの弟も仕事を終えて合流したので賑やかさが増した。
甥っ子は大きな仕事をやり遂げた後らしくその話ばかりしていた。
姪っ子は通っている看護学校の事を愉快そうに話していた。
いつまでも子供だと思っていた二人が社会に出ると思うと感慨深いものがあった。
みんなでワイワイ言いながらご飯を食べるのは何とも楽しかった。
大食漢の兄はコロッケを五個ペロリだった。
食後にみんなで食卓を片付けて弟がお土産に買ってきたケーキを食べた。
さすがにお腹いっぱいになったのでご馳走様をして父と少しだけまじめな話をしておいとました。
満腹での帰り道は腹ごなしにはちょうど良かった。
帰宅して時計を見ると二十三時前だった。
妻に今日は楽しかったねと言うとそうだねみんな元気そうでよかったと言っていた。
ああ、楽しい夜だったなぁ。
笑顔でお酒が飲めておしゃべりができるのはシアワセである。
さぁて、今日は妻との二人ご飯。
ニコニコの笑顔が見られますように。
何作ろっかなー。
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