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腰痛に対する評価・アプローチ


C-I Baseballの評価・アプローチの発信を担当する須藤慶士です。

臨床では評価を大切にしております。評価が確かなものでないと原因に対するアプローチをすることができません。
局所評価だけでなく全体の評価を行うことも大切です。
臨床での経験を元にした評価とアプローチを発信していきたいと思います。

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■はじめに

腰痛に対する病態・動作はこちらを参照してください!

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次回以降はトレーニングです。

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腰痛はプレー中のみでなく普段からの姿勢や動作でも起こることが考えられます。

ですから、腰痛でリハビリを開始する際は、

アライメントや動的な評価のみでなく、普段の意識していない姿勢や立ち上がりなどの何気ない動作も評価する必要があります。

小・中学生は学校の椅子の高さが合っていない場合も考えられます。

普段使用している椅子の高さや、座り方を確認しておきましょう!


■評価

■姿勢

|立位


姿勢評価は色々な視点で評価することが大切です。

姿勢評価が苦手な方は、骨盤・胸郭の2箇所から評価していくといいでしょう。

骨盤の傾きや胸郭の形状で腰部へのストレスが変化します。

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腰痛の場合、腰椎の過度な伸展が見られます。

過度な伸展が見られる場合、体幹前面の筋力低下だけでなく、他部位の影響も大きく関わってきます。

他には腸骨の挙上・下制・前後傾の左右差があることで体幹の屈曲・伸展・回旋に大きな影響が出やすくなります。


骨盤の傾きを靴でわざと調整した例を挙げると、

右腸骨下制しているだけで動作が行いにくくなります。
体感していただけるとわかりやすいのですが、左足は靴を履き、右足は脱いだ状態を作りましょう。

その状態で、

屈曲すると、腰椎は左側屈しながらの動きになります。
伸展も同様の動きが見られます。

この際、右腰部は伸張ストレス、左は収縮した状態になるので緊張しやすくなります。

回旋(骨盤右回旋⇨左回旋)をすると、右回旋は大きく動き左は回旋量が少なくなります。

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骨盤・腰椎の位置は上行性・下行性に波及しますし、足部からの影響も大きく関与しますので胸郭・骨盤の位置・高さ・向き・股関節・膝関節・足部の状態はチェックしましょう。


|臥位


腰部の緊張が強い場合、臥位で腰部に隙間が見られます。

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この場合は腰椎の過度な伸展ストレスが加わり腰椎分離症や筋筋膜性腰痛症など起こる可能性が高まります。

臥位で腰椎前弯が強くなる原因

●腸腰筋の短縮・タイトネス(トーマステスト)
●大腿四頭筋のタイトネス
●臀筋の筋出力低下
●腹筋群筋力低下
●腰背部の筋肉緊張

などが考えられます。


プレー中は骨盤前傾位が多いため、股関節前面が硬くなりやすいことが考えられます。

疼痛を引き起こしている原因がどこにあるのか姿勢を変えてひとつずつ評価していくことはとても大切です。


|トーマステスト


腰椎前弯が強い場合、腸腰筋のタイトネスが考えられます。

トーマステストは評価にも・ストレッチにも使えます。

ストレッチで行う場合は、下肢をベッドから下ろして下肢の重みを利用したストレッチが良いでしょう。

骨盤後傾位・腰椎後弯させながらですので腰部への負担は少なく伸張できます。

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|ブリッジ


ブリッジは肩甲上腕関節から股関節までの可動性・柔軟性を一度に評価できます。

腰部にストレスがかからない状態では胸郭・股関節の伸展が見られ、綺麗な半円を描いたように見えます。

ジュニア世代に多く見られるのは、

腰椎前腕が強く、股関節伸展がない
胸郭の伸展がなく、足部の方に移動してしまう

これらのようなブリッジでは腰椎に過度なストレスが加わり、分離症などを起こしてしまう可能性があります。

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|座位


立位と座位の違いは、

●支持基底面
●重心
●下肢(足部構造、膝・股関節の状態、骨盤位置)

が、異なります。

骨盤・体幹の評価を行うなら座位で行いましょう。

臥位では体幹はベッドに固定され安定しやすいので、骨盤・下肢の評価が行いやすいです。

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姿勢評価は、姿勢の特徴を考慮して行うようにすると評価の結びつきがみやすくなります。

そして姿勢の特徴が動作に現れてくるので動作分析の前に必ず姿勢評価を行いましょう。


■動的評価

|前屈・後屈


前後屈での評価ポイントは、

●重心移動
●骨盤の移動
●骨盤の前後傾
●股関節の動き

です。

重心移動
前屈時の重心:後方へ
後屈時の重心:前方へ
骨盤移動
前屈時:後方へ
後屈時:前方へ
骨盤の傾き
前屈時:後傾方向へ
後屈時:前傾方向へ
股関節の動き
前屈時:屈曲・内転・内旋
後屈時:伸展・外転・外転

色々な方向から観察することで動きの特徴が見えてきます。

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上記の動きがあることで腰部へのストレスは軽減します。


では、腰部へのストレスが増大するときはどのような場合でしょうか?

重心移動をさせないようにした状態で前後屈を行うと明らかな代償動作が見られます。

下のスライドの写真左は台から踵のみを出して前屈時に後方への重心移動を抑制し、写真右は台から足趾を出して後屈した状態です。

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通常の前後屈と比較すると重心移動量の違いがよくわかります。

通常の前後屈時では、骨盤・腰椎・胸椎での動きが見られますが、重心移動させないようにした状態では、骨盤・胸椎での動きが制限されるため腰椎での動きが大きくなり、それにより負担が増大します。

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|側屈


側屈時のポイントは、

●骨盤のSWAYが大きすぎないか
●脊柱全体で側屈できているか
●過度な腰椎伸展が起きていないか
●脊柱の回旋(カップリング動作)

前額面での側屈は、

写真左は骨盤の左側への移動がなく、下部腰椎での側屈が見られます。
写真右は骨盤が右側へ移動し全体で側屈しています。

ここで大事なのは、

どちらの動作が良いか悪いかではなく、目的としている動作に対して動けているかです。

骨盤のSWAYが必要な時とそうでない時があるので、ポジションや打撃動作を把握し、選手の動的評価を行い選手に合った動作かどうかの評価を行いましょう。


例えば、

写真左の右側屈の動きでは、打撃のフォロースルーを行う際、骨盤のSWAYを出そうとすると腰部にストレスがかかり腰痛リスクが高まります。

この動作ではステップ脚で踏ん張りSWAYしないフォロースルーが身体にかかるストレスは少なくなります。

選手の動的評価に対して、プレー時の動作が合わなければ疼痛を引き起こしてしまいます。

選手がどのような動作をしたいのかを確認しましょう。

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|回旋


体幹回旋時のポイント

●体幹と骨盤の捻れ
●肩甲帯
●骨盤の動き(前後傾・挙上下制・回旋)
●足部・足趾

もうひとつ回旋時のポイントはその捻れが良いのか悪いのかです。

回旋しすぎている場合もあります。

回旋時の評価は
骨盤に対して胸郭(肩甲帯)がどう動いているか

臨床で多いケースは、骨盤(腸骨)の高低差(脚長差)です。
高低差があることで、回旋量の左右差が見られます。

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重心移動が行いにくい場合は可動域を出すためにストレッチを行うのではなく、重心移動を行いやすくするエクササイズをしてみましょう。


■重心位置評価

|PUSHテスト


重心の位置を確認するテストです。

姿勢から視診で重心を評価するだけでなく、外力を加え、どのあたりに重心があるかを確認することで動作時の身体の特徴と一致しているかどうかを確認する評価です。


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