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投球障害肩の評価とアプローチ


C-I Baseballの評価・アプローチの発信を担当する須藤慶士です。

臨床では評価を大切にしております。評価が確かなものでないと原因に対するアプローチをすることができません。

局所評価だけでなく全体の評価を行うことも大切です。

臨床での経験を元にした評価とアプローチを発信していきたいと思います。

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■投球障害肩の評価


投球障害肩の評価は肩関節の評価に加えて、体幹・下肢のアライメントの評価も必要です。

なぜなら、肩関節は体幹に乗っている浮遊関節なので体幹・下肢アライメントに影響されやすいからです。体幹・下肢のアライメントや機能低下があると肩関節も機能低下を起こし障害率が高まります。

ですから、体幹・下肢を評価することはとても重要です。

投球障害肩の評価は、体幹・下肢のアライメントや機能評価を行ってからでも良いと考えます。

■投球障害肩フローチャート

●Early cocking pain
●Late cocking〜Follow through  pain
●投球障害肩評価一覧                        
  ・腱板損傷
  ・肩峰下インピンジメント
  ・前後上方インピンジメント
  ・SLAP
  ・上腕二頭筋長頭腱炎


臨床では医師が診察時にテストを行っているのでリハビリをする際は確認するためにスクリーニングで評価を行うのも良いと思います。しかし、痛みを出すことはあまり良い事ではありません。その後のリハビリで緊張してします可能性があるからです。

臨床では疼痛を引き起こすかもしれない評価は行う意義や理由を考えてからにしましょう。


|Early cocking pain

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Early cockingで考えられるのは、腱板損傷肩峰下インピンジメントです。肩関節外転する際に損傷部位に疼痛が出現します。

まずは下垂位外転抵抗テストを行ってみましょう。陽性ならば腱板損傷、陰性なら肩関節外転45°での抵抗テストです。Hawkinsも良いと思います。

アライメント不良や、肩甲胸郭関節・体幹・下肢が不安定だと腱板機能が低下していることが考えられます。

外転抵抗テストで陽性の場合肩甲骨の下方回旋や動揺が起きていないかを確認しましょう。

肩甲骨の動揺がみられたら、肩甲骨を固定したり、座位で行うなど工夫が必要です。

肩甲骨固定 陰性⇨肩甲胸郭関節の機能低下

座位 陰性⇨下肢・骨盤の機能低下


|Late cocking〜Follow through  pain

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Late cockingからBall release、Ball releaseからFollow throughは加速がかかる事で肩関節に大きなストレスが加わります。

前・後上方インピンジメントや、SLAP(superior labrum anterior and posterior lesion)が考えられます。

前上方インピンジメントはHawkins、後上方インピンジメントはcrank testを行います。

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                      *病態・動作分析から抜粋

これらを組み合わせて総合的に判断しましょう。(後のスライドで一部のテストを紹介します)


上腕二頭筋腱長頭腱は関節唇を引き剥がす力が加わるのでLate cocking以降もSpeed test や、yergason's評価を行い上腕二頭筋長頭腱にストレスがかかり過ぎていないかチェックしましょう。



■投球障害肩評価一覧

ここからは評価方法を動画をプラスして、細かいチェックポイントを解説していきます!

  ●腱板損傷
    下垂位外転抵抗テスト
  ●肩峰下インピンジメント
    45°外転位抵抗テスト・Hawkins
  ●前後上方インピンジメント
    Crank test・HERT
  ●SLAP
    Anterior Slide test・Yergason 
    Compression Rotation test・ Biceps Load Ⅱ test
  ●上腕二頭筋長頭腱炎
    Speed test・Yergason 


|Early cocking 腱板損傷・肩峰下インピンジメント

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Cocking動作は選手により異なるので投球動作をチェックし、肩甲骨・上腕骨の位置に合わせた評価が必要です。



|Late cocking〜Acceleration 後上方インピンジメント・腱板損傷

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|Early cocking〜Acceleration 上腕二頭筋長頭炎

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|Follow through 前上方インピンジメント

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|SLAP Test

SLAP損傷はいくつかの評価を組み合わせて総合的に判断します。ただし、他の病態と合併することがあるので、重症であると判断したら、医療機関へいち早く紹介することが良いかと思います。

|Anterior Slide test

肩甲骨固定し、肘を外側から肩関節内転外旋するように抵抗をかける


|Biceps Load Ⅱ test

選手に肘関節屈曲してもらい、セラピストはそれを止める


|Compression Rotation test

肩関節に向けて肘から圧をかけながら、他動的に肩関節内外旋


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■アライメント評価

●体幹・骨盤のアライメントが崩れていると肩関節の位置は崩れる
●アライメント評価してから肩関節評価を行う

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