野中 しおり(しおりん)

公立学校の英語教師を早期退職したあと大学院に進学し研究者の道に進みました。海外の教育に…

野中 しおり(しおりん)

公立学校の英語教師を早期退職したあと大学院に進学し研究者の道に進みました。海外の教育について研究しています。小学校から大学まで様々な場で教えた経験と各国での調査をもとに雑多な記事を書いています。

マガジン

  • 日常の小さな物語

    日々の生活の中で心に残った小さなできごとを綴っていきます。

  • なんとなくモヤモヤ

    日常感じる小さな疑問、何となくモヤモヤすることを綴っています。

  • 放課後のメモリースケッチ

    教員時代に書いた学級通信をもとに実践を振り返りながら教育について考えています。

  • 遠い日の心象風景

    日々の中で遠い日の記憶がふと浮かんでくることがあります。時についっす実前のこともあります。そんな心象風景をとりとめもなく綴っています。

  • 旅のスケッチ

    旅で出会った小さなエピソードを心象風景とともに紹介します

最近の記事

私の出版体験 2 

前回の続きです。 プロモーションの大切さ 本は出版しても読まれなければ意味がありません。できるだけ多くの人に読んでもらうためにはプロモーションが必要です。プレスリリースや献本、SNSでの発信、さらに個人での「宣伝」も重要であると実感しました。 出版から数週たった頃、地元のタウン誌から連絡がありました。私のことをタウン誌に掲載したいので取材させてほしいというのです。プレスリリースの効果だと思います。取材など受けたことがなかったのでびっくりしましたがお受けしました。そして翌

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    • 私の出版体験 1

      個人的な体験ですが参考にしていただけることがあれば嬉しいです。 はじめに 2年ほど前に単行本を出版しました。自費出版です。それまでに共著を含め研究書は何冊か出していましたが、それらを手にする人は限られています。単著のものでも学位論文を書籍化したものだったので友人に「読んで」と言うのはためらわれました。興味を持たれないと思うからです。家族だってあまり興味を示しません。 だから多くの人に気軽に読んでもらえるような本の出版することは長年の私の夢でした。 その夢を実現するチャン

      • 3分という時間は・・・

        ぼくはカップ麺が好きだ。お湯を注いで3分待てば美味しいうどんやラーメンが食べられるなんてすごいと思う。たった3分だよ。考案した人を尊敬しちゃう。 ところで、麺が出来上がるまでの3分はすごく短い気がするけど、自分の思いを伝えるとしたらどうだろう。特につらい体験を伝えるには3分じゃ足りない気がする。 5月1日に熊本県で行われた水俣病の被害者団体と環境大臣との懇談会。患者団体の人たちが話している最中に時間になったからってマイクが切られちゃったみたいだけど、なんでそんなことしたん

        • 今も世界のどこかで

          「ベトちゃんとドクちゃん」 下半身がつながった結合双生児として1981年にベトナムで生まれた兄弟です。ベトナム戦争中に米国が大量に使用した枯れ葉剤の影響が障害の原因と指摘されています。 1988年に日本赤十字社の支援などを受け2人はホーチミン市の「ツーズー病院」で分離手術を受けました。手術は成功しましたがベトさんはその後重い脳障害を抱え、2007年に亡くなりました。一方、ドクさんは高等職業学校を修了し、ツーズー産婦人科病院の職員となります。2006年に結婚し双子の男女を授か

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        • 日常の小さな物語
          161本
        • なんとなくモヤモヤ
          57本
        • 放課後のメモリースケッチ
          171本
        • 遠い日の心象風景
          18本
        • 旅のスケッチ
          107本
        • ノスタルジック京都
          10本

        記事

          緊急対応にもお伺い?

          私が初任教員として赴任した学校の校長は何かにつけて教育委員会に「お伺い」を立てる人でした。相談があって校長室に行くと「委員会に聞いてみないとわからない」と言います。「あなた自身が判断できないのですか?」とつい聞きたくなりました。 校長の姿勢は教頭にも影響していました。ある日の放課後、学校に爆発物を仕掛けたという電話がありました。生徒は部活や委員会等でまだたくさん残っています。生徒をすぐに避難させなければなりません。職員室は大騒ぎになりました。校長が出張で不在だったので教頭が

          緊急対応にもお伺い?

          女性の活躍を阻むものは女性の中にもある

          30代のとき在外教育施設の派遣教員に応募しました。私はすでに結婚して子どもが2人いました。夫は高校の教師ですが、私が在外派遣に応募することには賛成していました。派遣者は家族同伴で赴任することが原則なので、配偶者は退職するか休職するかのいずれかを選ばなければなりませんでした。夫は休職に何のためらいもなく、私が赴任することになったら喜んで主夫をやると言っていました。 市の書類選考と面接を通過後、県の教育委員会で面接が行われました。面接官は3人おり、1人は女性でした。女性面接官が

          女性の活躍を阻むものは女性の中にもある

          親しみの行為がハラスメントになることだってある

          放課後の部活動が始まる時間でした。サーカー部の生徒が職員室に体育倉庫の鍵を取りに来ました。学校内のカギはすべて職員室のキーボックスに保管されており、生徒が取りに来たときは近くにいる教師が確認して渡すことになっています。「サッカー部ですが体育倉庫の鍵をお借りしに来ました」職員室の入り口で生徒はそう言いました。礼儀正しくてきちんとした態度です。 すると近くにいた教師がこう言いました。「おぅ、サッカー部か。よし、鍵がほしけりゃそこで一曲歌え」生徒はびっくりした様子でした。教師はに

          親しみの行為がハラスメントになることだってある

          教頭先生の「毛布作戦」が助けてくれた

          「子持ち様論争」がSNSを賑わせています。親がわが子の病気や学校行事などで仕事を休んだり早退することに対して子を持たない人からの不満が噴出し「論争」となってようです。私も仕事をしながら二人の子どもを育てましたが、仕事と育児の両立はやはり大変でした。特に子どもが病気したときは夫と私のどちらが仕事を休むかで言い争いになることもありました。そんな中で忘れられない出来事があります。 娘が小学校1年生の時でした。風邪をひいて熱もあったので学校を休ませました。でも教員の私は午前中にどう

          教頭先生の「毛布作戦」が助けてくれた

          授業は気軽に見せ合えるのがいい

          ある学校で授業を参観する機会がありました。中学校の英語の授業です。授業をするのは5年目の若い先生です。ふと、私が中学生だった時のことを思い出しました。 担任の先生が道徳の公開授業をやることになりました。当時は40代のベテラン男性教師です。県内の先生たちを集めて研究会を行うようでした。前日は教室を念入りに掃除し、掲示物もきちんと貼り直すなど生徒たちは準備に駆り出されました。生徒として私は何か特別なイベントが行われるような雰囲気を感じていました。 さらに公開授業の1週間前、担

          授業は気軽に見せ合えるのがいい

          手をつなぐ高齢者

          高齢者の連帯を呼びかけているわけではありません。文字通り手をつないで歩く高齢者のことです。日本では小さい子どもや若いカップルが手をつなぐことが多かったですが、ある程度の年齢になると減ったように思います。海外ではよく目にしたのですが。 今は違います。手をつなぐ高齢者をあちこちで見ます。夫婦かもしれませんしそれ以外の関係かもしれませんが、いずれにしても手をつなぐ姿に私はほのぼのとしたものを感じます。 手をつなぐ理由のひとつに転ばないためというのがあります。作家の阿川佐和子さん

          牛に引かれて(惹かれて)。。。

          最近しきりにテレビから聞こえてくるCMがあります。「資料請求で〇〇牛が当たる!」というものです。生命保険のCMで、資料を請求した人に抽選でプレゼントを贈るというのですが、なぜか牛肉が多いです。「松阪牛」や「米沢牛」「神戸牛」など高級和牛です。ほかにも「近江牛」や「宮崎牛」などもあります。 牛肉がもらえたら私だって嬉しいです。ましてや普段あまり口にできない高級和牛が当たればなおさらです。でもプレゼントの品として牛肉が多いのはなぜなのでしょう。他のものでもよいと思うのですが、生

          牛に引かれて(惹かれて)。。。

          目の前に突如現れた巨大な黒猫

          大阪駅近くのビル群の中を歩いていたら突然ブラックキャットが現れました。胴長の猫です。思わず足がすくみましたが、しばらく眺めていたら親しみが湧いてきました。目印としても役立ちました。

          目の前に突如現れた巨大な黒猫

          だいじょうぶだよ、ぼくのおばあちゃん!

          ステキな絵本に出会いました。 大好きなおばあちゃんが「いろいろなことを忘れる病気」になっちゃったらぼくはどうしたらいいんだろう。おばあちゃんと過ごす中でぼくが見つけた答えは。。。 わずか数ページの絵本です。本文には認知症という言葉は一度も出てきません。でも、認知症を理解するためのヒントがたくさん詰まっています。作者は認知症の第一人者である医師の長谷川和夫さんです。自らも認知症となり2021年に亡くなられましたが、認知症に対する理解が深まればという思いから亡くなる3年前にこ

          だいじょうぶだよ、ぼくのおばあちゃん!

          ぼくが訪ねた四国八十八カ所のあるお寺

          家族で四国に出かけた。お遍路さんをたくさん見かけたよ。ぼくたちはお遍路をしたわけではないけど、せっかくだからと鳴門市にある第一番札所の霊山寺(りょうぜんじ)というお寺に行ってみた。 霊山寺の仁王門 本堂。釈迦如来を祀っているんだって。 奥にあるのが弘法大師(空海)を祀る大師堂 多宝塔はすごく立派だった。かたちがすごく気に入った。 600年くらいの歴史があるらしい。 大師堂の近くに放生池と呼ばれる池があって、大きな錦鯉が泳いでいた。池の中に5体の稚児像があったけどみん

          ぼくが訪ねた四国八十八カ所のあるお寺

          室戸岬にて

          室戸岬に行きました。初めての訪問です。高知から車で国道55号線を通り一路室戸岬に向かいます。右手には広大な太平洋が続き、道路と並行して「土佐くろしお鉄道」が走っています。 やがて見えてきた県道203号室戸スカイラインを登ると室戸岬灯台があります。 駐車場に車を停めて灯台までの道を歩きます。灯台へは五分ほどで着きます。 途中に西国八十八カ所第24番札所の最御崎寺(ほつみさきじ)があります。坂の左側にある石段を登ってもお寺に行けます。 最御崎寺の仁王門。門の前には空海の像

          空白の時間を持つ 

          仕事の合間にちょっとぼーっとしているとすぐ言われました。「何ぼーっとしてるの?」「暇なの?」「やることないの?」やることはいっぱいあるのですが。 私はぼーっとするのが好きです。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」という言葉が流行っていますが、ぼーっと生きているわけではありません。ぼーっと生きないためにぼーっとしているのです。空白の時間を大事にしているのです。 ぼーっとしていても頭の中では様々な思いが浮かんでいます。良いアディアが浮かぶのはむしろぼーっとしている時のことが多いよ