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遠い日の心象風景

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日々の中で遠い日の記憶がふと浮かんでくることがあります。時についっす実前のこともあります。そんな心象風景をとりとめもなく綴っています。
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記事一覧

初めての異文化体験は茶色い飲み物だった

私にとって初めて異文化体験は1960年代、小学校に入学したばかりの頃です。父の仕事上の知…

しおりん
2か月前
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175 理不尽な指導は何年たっても記憶に残る。 でも...

小学校6年生の時でした。学級活動の時間に校庭のあちこちで分かれて作業活動をしていた私たち…

しおりん
7か月前
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還暦を過ぎた赤ちゃん

幼い頃よく歌った童謡に野口雨情作詞、本居長世作曲の「赤い靴」があります。赤い靴を履いてい…

しおりん
7か月前
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172 シャンソン歌手のT先生

Tさんは私が最も親しかった同僚です。国語の男性教師で親友とも呼べる人です。年齢は私よりず…

しおりん
7か月前
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窓ガラスにあたる雨を眺めて

子どもの頃から雨が好きでした。 窓ガラスを伝って雨が落ちていく様子を眺めるのが好きでした…

しおりん
11か月前
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雨の日に父を迎えに駅に行った遠い日のこと

「お父さんに傘を届けてあげて」 子どもの頃雨が降ると母によく頼まれました。仕事から帰る父…

しおりん
1年前
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麦畑の中の心象風景

幼い頃住んでいた家の近くには一面に麦畑が広がっていました。小学校1年生の私は友達とその麦畑に入り込んで遊んでいました。麦は私の背丈よりずっと高くて空を覆い隠していました。 そんな麦畑の中で忘れられない記憶があります。いつものように友達と麦畑の中を歩いている時、突然目の前に上級生の女の子が現れました。びっくりしました。それまで麦畑の中で人に出会うことなどなかったからです。 上級生は私と友達に「〇〇のこと知ってる?」とクラスメートの名前を言って聞きました。「知ってる」と友達が

となりの家から「行ってらっしゃ~い!」

娘が3歳の頃です。共働き夫婦の私たちは保育園の送り迎えを交替でやっていましたが、その日は…

しおりん
1年前
9

いのちをつなぐ

ある朝、鏡の中に母の姿が見えました。はっとしました。母は数年前に他界しています。 幻影か…

しおりん
1年前
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限界集落にて

長野県の山あいにある小さな集落。くねくねと曲がりくねった道の先にその集落はあります。明か…

しおりん
1年前
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ありのままがいい

人間社会に暮らしているといろいろなことがあります。ちょっとした気持ちの行き違いから人を恨…

しおりん
1年前
1

アウトバックの道を走りながら

アウトバックの悪路を車で走りながら、自分がこれまで歩んできた道に思いを巡らせました。決し…

しおりん
1年前
1

やさしさのかたち

「ねえ、どうしたの?」と声をかけられて涙が出るほど嬉しいときがあります。反対に「そっとし…

しおりん
1年前
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認知症になった海外の友

コロナ禍が起きる少し前にオーストラリアの友人を訪ねたときのことです。友人が食後に薬を飲んでいたで「何の薬?」と私が尋ねました。すると彼は「アルツハイマー病の薬だよ」と笑いながら答えました。 物忘れが多くなり始めた彼のことを妻が「認知症なのよ」と言っていたのを思い出しました。その時は冗談だと私は思っていました。 夫妻は私の20年来の友人です。生徒の研修に付き添ってオーストラリアに行ったとき、私が彼らの家にホームステイさせてもらったのがきっかけで、それ以後家族ぐるみで親しくし