頭上運搬を追って|馬場紀衣の読書の森 vol.48
人間て、美しいな、と思った。
若いとか、痩せているとか、目が大きいとか。美しいとされる規格は無数にあるけれど、そのどれともちがう、ほんとうの意味での美しさ。人が生きて、生活があって、労働のなかから生まれてきた生身の動作である。厳しくて強い、人間の姿を正面切って見つめる作者の目もいい。
「頭上運搬」というのは、言葉のとおり頭の上でものを運ぶこと。今のように自動車などでものを運べなかった時代、人が両手でものを運ぶのには限りがあるから、人はものを頭に載せて運んでいた。日本ではかつ