過去からのクレーム

過去へ行ったタイムマシーンが現代に戻って来た。
タイムマシーンから降りてきた博士は、どんよりした表情で頭を抱えている。
助手は声をかけた。
「博士!大丈夫ですか?無事で何よりです。人類初のタイムトラベルどうでしたか?」
「タイムトラベルはするもんじゃないよ」
「何かあったんですか?体調悪そうですけど」
「いや、身体はいたって健康だよ。それよりも精神的に参ってしまってね」
「精神的に参った?どういうことですか?」
「過去の色んな時代の色んな偉人に会ったんだよ。それで話してみたんだけどさ、すげぇ怒られた」
「怒られた?」
「色んな偉人にあなたの残した言葉が未来の人間の生きる糧になってるって伝えたんだよ。そしたら全員が『そんなこと言ってないし、これからも言うわけがない』って言うんだよ」
「言ってない?」
「そうなんだよ。一人残らず全員が『人類はどうしようもないから、早く滅びたほうがいい。さっさと滅びろ』って言ってた。超キレてた」