『アイディアが浮かばない』という劣等感を手放す

私はリクルートという会社で企画部長をしていた。中途入社ということもあり、新卒入社では感じない、どことない違和感を抱きながらこの組織で過ごした。今となってはそれが1つの大きな財産となっている。

中期計画を立てているときこんなことがあった。
商品企画/マーケティング部門の若手から、
『部長(私)に新しいアイディアがないのか?戦略性に斬新さがない。』
と会議中に指摘された。その瞬間はとても焦り、恥ずかしさを覚えた。

しかし、、浮かばないものは浮かばない。社会に対する「負」を強烈に感じることもない。なぜか?そんなことを思った。
そこで、私はアイディアマンといわれるような様々な部長(特に商品企画/事業開発/マーケティングなど右脳が強そうな)に話を聞いて回った。

そこで、なんとなく気が付いてきたことがある。
アイディア勝負と思われている方々は、決してアイディアが豊富なのではない。どうしてもやりたい、という圧倒的な熱量をただもっているだけ。
そして、その熱量はなぜでるか?というと、幼少期の問題、どちらかというとネガティブな側面の解消したい、というエネルギーが強いということに気付いた。特に親とのネガティブな関係性から派生する社会に対するうがった見方に起因しているものだ。
誰かに認められたいという、自身と同じような人間を救いたい、という感情が表層化し、あたかも社会に貢献するアイディアが思いついた!というような見え方をするのである。シンプルにいえば、幼少期の劣等感の裏返しである。

その時に感じたのは、私にはそこまでの偏りはない、ということである。偏りがなければ、その裏返しとしてのやりたいこともない。それは悪いことではなく、個性だと思った。逆に、どんなタイプの人間であっても、素直にポジティブに受け入れられるのも僕の個性だと感じた。

そこで、始めたのが相手の「偏りを知る活動」である。なぜ、この人はそんな強烈なエネルギーを持っているのか?その背景を知り、その裏返しとして表層化されているアイディアや考え方を知り、そのエネルギーをうまく事業全体の方向性に合わせていくことを意識した。

そして、ふと周りを眺めると、経営企画や事業企画には、偏りも少なく、根のいい奴ら多かった。あー、組織ってうまく配置されているな、と思った。

アイディアが浮かばない、斬新さがない、もし、そんな悩みを持っている人がいたら、相手の偏りが何なのか?対話によって引き出し、味わい、その限度とバランスを全体に統合していくプロセスを積極に担ってみてほしい。

もし、具体的なプロセスを知りたい方がいれば、お気軽にご連絡ください。

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