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小説

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#小説

あの日、銭湯で起きたこと

 私はそのとき小学二年生で、ミクロペニスで、停留睾丸の経過観察中だった。母は毎日風呂上が…

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結婚指輪

 結婚してもうすぐ三か月になる頃、宝石店から手紙が届いた。夫と一緒に結婚指輪を買った店だ…

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大学の友人のこと

 大学二年生になったとき、初心者歓迎のテニスのサークルに入った。友達が欲しかったのだと思…

4

占い師レイコさん

 その頃、仕事帰りに、ときどき、街角の占い師に占ってもらっていた。本当は話し相手が欲しか…

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あの日、河川敷で起きたこと

 私の町には綺麗な川があった。  そして、私の家の近くには、水難事故が特に多発する場所が…

1

殺人捜査

1  野山の自宅ポストに瀬川からの手紙が入っていた。極秘文書のコピーのようだった。下には…

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夢子さんのこと

 わたしの職場に、育児休業者の代替として派遣社員が配属された。  三十代くらいの大柄の女性で、夢子さんといった。仕事のやり方を説明したりしているうちに、わたしたちは徐々に打ち解け、社員食堂で昼食を一緒に食べるようになった。  ある日、一緒に昼食を食べながら、わたしはつきあっている人がいることを話した。 「夢子さんは、家族とかどういうふうなんですか」とわたしは聞いた。 「うふふ。実は幼稚園の子どもが一人いるよ。もう離婚したからいわゆる母子家庭だよ」

あの日、病院で起きたこと

 そのとき私が勤めていた会社では、三十歳になると、人間ドック受診が義務づけられていた。自…

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深夜パトロールの際に起きたこと

「研修期間中と言っても現場では警察官だ。油断するなよ」と私はこれから六週間一緒に組む新米…

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竜神のこと

 私は、子どもの頃から、守り神と、守り神に対峙する邪悪な存在が時々見える。父と母には何も…

5

子どもが生まれたときのこと

 結婚して、すぐに妊娠した。  夫は、会社の人間関係で悩み、私のお腹に子どもができたとい…

3

ロシアに隕石が落ちた後に起きたこと

「これからどうなるの」 「みんな死ぬんじゃないか」 「どこへ逃げればいいの」 「軍が保護し…

1

火星の地下で見つかったもの

 アメリカの民間有人宇宙船が火星に着陸し、火星の地下から、ビルのような建物と人骨のような…

2

ゾンビ緊急事態宣言下で起きたこと

 はじめ、それは致死率の低いウイルス性感染症であり、基礎疾患のない者はマスク着用と手指の消毒を励行していればよかった。  しかし、感染者数が増えてきたため、政府は緊急事態宣言を発令し、飲食店の営業を禁止した。その後、急ピッチで作られたワクチンの接種が進められた。効果を十分得るためにはワクチンは二回接種する必要があるとされた。  しばらくすると、一回でも効果はあるという情報が政府から出されるようになった。ワクチンが不足しているからそのような情報を広めて安心させようとしたのだろ