ロシアに隕石が落ちた後に起きたこと
「これからどうなるの」
「みんな死ぬんじゃないか」
「どこへ逃げればいいの」
「軍が保護してくれるかも」
「この先に基地があったはず」
「向かってみるか」
「でも、あれは一体何なの」
「二年前にロシアに隕石が墜落した後から時々変な記事が出るようになってたよな。宇宙生物が隕石の中にいて、地球で成長したんじゃないか。あるいは軍の生物兵器が流出したのかも」
「きゃあ」
「伏せろ」
男はアクセルを踏み込み、飛び出してきた男を轢いた。そのまま走り続ける。
「奴は銃を持っていた」
「車を奪うつもりだったのかな」
「だろうな。うっ」
ハンドルがとられる。男は何とか路肩に車を止めた。
「パンクだ。男を轢いたときだろう」
「どうするの」
「歩くしかない。さっきの男から武器を取ってくる」
男は、さっき轢いた男のところに走って戻った。銃は無傷で道に落ちていた。男はまだ死んでいなかった。苦しそうに小さなうめき声をあげている。目が合った。
「助けてくれ」
「無理だ。申し訳ないが」
「撃つつもりはなかった」
「車を奪うつもりだっただろう」
「お前も誰かから奪ったんだろ」
「じゃあな。銃はもらっていく」
男は背中を向けて歩き出した。
パーン。乾いた銃声があたりに響いた。轢かれた男はもう一つ銃を持っていた。男は立ち止まり、ゆっくり振り返った。
「おれを助けるんだ。次は命中させる」
「わかった。銃を下ろせ」
男はゆっくり近づき、隙を見て男から一瞬のうちに銃をもぎ取った。その銃で轢かれた男の頭を撃った。轢かれた男は静かになった。
男は轢かれた男のポケットを探り、見つけた銃弾を自分のポケットに入れた。
「撃たれたの」
「いや、大丈夫だ」
男はスペアタイヤが車にないか探したが見つからなかった。
「歩くしかないか。誰かに会えて、助けてくれるかも」
「もし助けてくれなかったら」
「そのときは銃で脅せばいいさ」
「ラジオで何か言ってないかな」
「聞いてみよう」
『ロシアで核施設が爆発事故を起こし、広範囲が影響を受けている模様です。うわさに振り回されず冷静に行動してください。世界政府は救助活動に全力を挙げています』
「フェイクニュースだ。ホテルのテレビで映像を見ただろう。あれは情報操作前のリアルな映像だ」
映像では、白い粉が嵐のように舞い、巻かれた人は白くなって道に倒れた。
「あれがフェイクニュースかも」
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