火星の地下で見つかったもの
アメリカの民間有人宇宙船が火星に着陸し、火星の地下から、ビルのような建物と人骨のようなものを発見した。百万年前くらいのものだった。それらを解析した量子スーパーコンピューターの解析によると、火星には人類が住んで栄えていたが核戦争で滅んだ。その際、一部が宇宙船で地球に脱出し、我々の祖先となったという。
量子スーパーコンピューターの解析によると、火星の住民は地球からやってきたという。人類は地球で栄え、火星に移住し、地球に戻ってきた。地球に戻った時にはもともとの地球の人類は滅亡していた。
量子スーパーコンピューターの解析によると、地球人類が一度滅んだ理由は核戦争と考えられるという。火星人のDNA配列にその痕跡が認められた。
アメリカは火星に基地を建設し、火星の地下の調査を進めた。人工的な構造物が次々と見つかった。コンピューターや自動車、飛行機、船、宇宙船、その他地球にあるようなものは何でもあった。図書館や博物館も見つかった。
超大型量子スーパーコンピューターが火星基地に追加投入され、書物の解析が進められた。様々な火星語で書かれていたが、何の支障もなかった。
火星人は地球人類を超える科学を手にしていた。火星人はタイムマシンを理論上は完成させていた。しかし、大規模すぎて建設はできなかった。また、四回、宇宙人の攻撃を受け、三回は撃退に成功していた。四回目は、宇宙人はウイルス攻撃をしてきた。ウイルスは脳に侵入し制御を可能にするものだった。宇宙人は火星人類を家畜化しようとした。火星人類は核ミサイルで敵もろとも滅んだ。
初期の解析で、火星人の一部は地球に脱出したことになっていたが、その脱出した火星人たちは、ウイルスに感染する前に脱出したのか、それとも、、、。
量子スーパーコンピューターが解析し、その答えを出そうとしたとき、突然、そこにいた調査団員は何かに取りつかれたかのようにコンピューターを停止し、「火星人たちはウイルス感染前に脱出した」と入力し、書き換え不可としたうえで、コンピューターを再起動し、自殺した。
地球で、火星から届いた報告書を読んでいたある科学者は、ふと思った。
火星で核ミサイルを発射したのは、ウイルスに感染した火星人なのではないか。タイムマシンを理論上完成させた火星人が、そんな暴挙に出るわけがない。それに、報告書とは逆になるが、脱出して地球に来た火星人もウイルスに感染していたのではないか。つまり、火星人は四回目の宇宙人の襲撃で滅んだのだ。そして、ウイルスと火星人の融合した野蛮な生命体が生まれ、彼らが火星を廃墟と化し、地球に乗り込んできたのだ。そう考えると、地球人類が戦争を好み、環境を破壊し、地球を滅ぼそうとしているのも分かる気がする。それが本性なのだ。私もその野蛮な生命体の子孫ということになるが。宇宙人は、DNA情報をウイルスに入れて、宇宙の様々な生命体に融合する形で生き延びることを選択したのだろう。地球人類には理解できないことだが、宇宙人にはそういう形で生き延びることに価値を認める価値観があったのだろう。
私もその子孫ということになる。私は地球人類としてそのような形で生きることに価値を認めない。今ここで死ぬしかない。
科学者の妻が、夕飯ができたことを告げに科学者の部屋に入ったとき、科学者は血の海の中に倒れていた。妻が悲鳴を上げて科学者に駆け寄ったとき、科学者の口から小さな粒子が空中に飛び出したようだったが、妻はそんなことには気づかなかった。科学者の横には報告書が落ちていた。
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