見出し画像

夏の海は

夏の海は、容易く俺たちに最高の思い出をもたらした。


そう、俺と妻は付き合い初めてからをカウントすれば4度目の夏。だが、これより前に過ぎた3度の夏は、海をただ眺めるだけで終えてきた。

俺は、自分の身体が、いわゆる男のそれではないという劣等感を理由に、海で泳ぐ楽しさを知りながら、避けていた。妻がカナヅチなのをいいことに、俺自身の自信の無さをあれこれ言い訳にして、泳がずにいた。

でも、この夏、仲の良い友人が、

「別に水着なんてちゃんとしてなくてもTシャツ着て、服のまま泳げば良い!泳ごうぜ!」と、ゴリ押ししてきたのだ。

アイツも、余程、暇だったんだろう。

俺はまだ、泳ぐこと自体が嫌いなわけじゃないが、妻は嫌がるだろうと思っていた。

けれど、「つかるだけ。顔付けないなら平気だし、浮き輪あるし、ゴーグルもあるし、ただつかるだけなら、怖くないだろう」と、いつの間にか、友人に口説き落とされていた。

浮き輪もゴーグルも、アイツの持ち物。俺らは一切、海水浴の為のツールを買わずに海に連れられた。思い返せば、俺らと海で泳ぐことに対しての執念さえ感じられる。変なヤツだ。いや、有り難い。


妻はというと、本当に日常の顔を洗うということさえキライで、まるで猫かと思うほど、水がキライだ。だから、当然、顔を海に付けることなんて、とてもじゃないが、その場になって嫌がると思っていた。


人生には蓋を開けてみなければ分からないことがある。

妻は、友人が手綱を握る浮き輪にしがみついて、自分の身長より遥かに深い海で笑っていたし、僕が水中の魚を撮ることに夢中になっていたら、魚を観てみたかったのか、自分から顔をつけて潜っていた。

どうやら、妻は、呼吸の仕方を間違えていたらしかった。何度か、水の中では鼻で息を吐いてという当たり前を教えたら、鼻に水が入って痛くなるから嫌だと言ってた原因は、間違えて鼻で息を吸おうとしていたことだと気付いたらしい。

何はともあれ、楽しかったようだ。

初めて妻と海で泳いで遊んだ日は、俺も友人も、何か 人の目まぐるしい進歩や成長を垣間見た気がして、とても気に入った日になった。


「この夏、もう一度海で泳いでみるかい?」というと、とてもキラキラした笑顔で「うん!」と返事をした妻。

つい一昨日、妻と友人と俺、また同じメンツで泳いで遊んだ。妻は、犬かきで5mも泳げた。「私は泳げない。水怖い。」って言っていたことを思えば素晴らしい進歩だ。例え犬かきでも「頑張れば少しは泳げる」に変化したことは、最高に美しい成長だ。

思い込みを打破するには、やっぱり、友人や他人の力も必要だ。それが、ただの思い込みだったと分かるためには、自分から壁を壊すだったり扉を開けるだったりの行動をしなくてはならないけれど、チャレンジ精神をかきたてる何かは、いわゆる誰かのアドバイスなのかもしれない。

自分とは違う視点で物事を捉えれるヤツ。自分だけではどうしてもネガティブな考えに至る事柄を、容易くポジティブに捉えている人がいうことは、きいてみたらいい。楽しくなるから。


お陰で、この夏は、海で泳いで楽しかったという、ありきたりでも最高の思い出が出来た。

俺はというと、着替えを他人に見られる事なく、上半身も隠してさえいれば、案外平気で楽しめた。そう、これが男女に分かれた更衣室を通過しなくてはならないプールや温泉は躊躇するし、これからもきっと他人と裸体で並ぶ事はない。


そんなこんなで、俺自身は、こんなにもチューブやケツメイシを聴きたくなった夏は、初めてかも知れない。笑

夏がキライと言ってた俺はどこかへ消えつつあるのかも知れない。

夏の海の程よい冷たさは、やっぱり身体が喜ぶ事を思い出した。何か、付き物がいくつか落ちて浄れたと思う。

BBQもやって、花火もやって、海で泳いで。

夏といえば!の定番を自分なりに制覇した年は、36にして初だ。

俺は、高校の体育でのスクール水着を最後に、水着を着ることから遠ざかっていた。それは妻も。俺は女性として過ごしていた時も、のらりくらりと泳ぐことから逃げていた。泳ぐことに対して、進歩したのは、妻だけではない。きっと俺も、殻を破れたんだ。

きっと、また次の夏は、妻も水着を買うかと期待している。


何より、こんな夫婦(入籍は出来ないが自分達はそう位置付けてる)に、付き合って、「楽しい!」を共有出来る友人が居ることを、凄く有り難いと思うし、誇りにも思う。


楽しいことを、ちゃんと楽しむ!

コロナニュースより大事なことは、可能な限り、ちゃんと目の前の現実を楽しむこと。うまく要点を押さえて遊べばいい。

嬉しくないニュースは何をもたらしてくれる?

悲観しか産まれないとしたら、未来は暗くなる。けれど、目の前の楽しさにフォーカスして、真剣に笑って、ちゃんとハッピーのほうを向いてれば、未来はちゃんと明るい。


いつだって、

どこだって、

誰と居たって、きっとそれは変わらない真理で、

何に重点を置いて生きるか。どの感情にウェイトを置いて未来を見るか。今をどの感情を選んで過ごすかということなんだと俺は思う。


だから、俺は堂々と言う。

この夏は、人生で最高に楽しい夏だったと。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

読んでいただき、ありがとうございます。

やたら、書き殴りたくなって思うままに打ち込んでます。あくまで俺個人の日記のようなものですが、読み手となる誰かの、何かフワッと感じるポジティブなものがあるかも知れないと感じて共有してみてます。

あなたにとっての今年の夏も、いつもとは違うけど楽しいっていえるものだといいな。

ありがとう😊



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?