「言葉と進め」という、たった5文字の企業理念をひもといてみる
こんにちは。ザツダン株式会社の横田です。
企業理念やビジョン・ミッション・バリューなどを言語化したいというご依頼が、最近本当に増えています。売上や成長を追い求めるだけでなく、環境や社会に積極的に貢献することも企業の至上命題になっている昨今。アイデンティティを問い直すことから始めたいと考えるリーダーが増えていることも頷けます。
その気配を少し察知していた2023年の年末。ザツダンは自社の企業理念のリニューアルに踏み切り、下記の一行を掲げることにしました。
ちなみに、ロゴマークの上や下に配置された短いフレーズのことを「タグライン」と呼びます。「言葉と進め」という言葉はザツダンの企業理念であると同時に、タグラインとしても活用しています。タグラインの詳しい解説についてはまた別の記事に書きますね。
今回はこの企業理念にこめた思いについてお話しします。
リニューアルの経緯
最初にザツダン株式会社について少し説明しておかねば、ですね。
ザツダンが産声を上げたのが2013年。フリーランスのコピーライターだった私の個人事務所としてスタートしました。その後、もう1名のコピーライターが合流。しばらくザツダンはフリーランス2名のユニットのような形で活動をしていました。
時が経ち、2021年に法人化。私一人になりました。2022年には、社員第1号のうのりなが入社し、現在に至ります。
理念に話を戻すと、事務所の立ち上げから法人化直後の約10年間、ザツダンは「言葉で導く」というフレーズを掲げていました。
ブランディングにおけるネーミングやコンセプトの開発、ホームページ制作におけるキーメッセージの文章化など、当時も今もプロジェクトの第1走者として全体の方向性を指し示す言葉を作ることが多い当社。
そんな自分たちの価値を伝える言葉として「言葉で導く」という5文字は、たくさんのお客様やパートナーとの出会いをもたらしてくれました。
しかし、10年経てば新しい課題も見えてきます。
VUCAの時代とも言われるように、変化のスピードは加速の一途です。企業やブランドが目指すビジョンへと導いていく言葉を作ることがザツダンの使命だったわけですが、これから先はすぐ隣を一緒に走りながら状況変化をともに乗り越える言葉が求められる。
つまり、言葉の立ち位置が変わっていくと考えたわけです。
一文字ずつ解説
言葉で導く、が、言葉と進め、に変わりました。つまり、【と】【進】【め】の3文字が新メンバーです。
1.【と】
今までは言葉【で】だったので、言葉をひとつのツールと捉えていました。これが【と】に変わった。つまり、パートナーとして捉えるように変化したわけです。
ザツダンが目指すのはコンパスのような言葉。ビジョン実現までの道のりのどの場所にいたとしても、常にそばにいて変わらず方向性を指し示してくれるものです。相棒として支えてくれる言葉を表現するものとして、【と】という言葉を選びました。
2.【進】
企業理念をリニューアルするより少し前に、その原型として「みんなの言葉を進化させる」という言葉を作っていました。
【進】はここから取った一文字。企業や組織の中に新しい言葉が生まれることによって、意識が変わり、行動が変わり、現実が変わり、未来が変わる。そんなポジティブな変化を生み出したいという意志を込めて、【進】という文字を企業理念にも入れることにしました。
3.【め】
企業理念を考えるための参考に、色々な企業のタグラインを集めましたが、命令形の言い回しを見た記憶がありません。基本的に企業から消費者へのメッセージなので、あまり命令形は使わないんですね。
ですが、ザツダンは言葉の力を味方にする企業なので、命令形の強さも上手く取り込みたいと考えました。聞いた人を勇気づけて、奮い立たせるような企業理念とするために、【め】という語尾を採用しました。
理念を言語化するメリット
企業理念を言語化し直したことで、ザツダンの「やること」「やらないこと」が的確に、かつ、瞬時に判断できるようになりました。
例えば、新しい仕事の依頼を受けたとき。これまではどこかその時の気分で判断していた部分はあったように思います。ですが、今は「言葉と進め」という理念に合っているかを軸に考えることができる。
また、新しい事業やチャレンジにも積極的になったと感じます。「言葉と進め」を実現するために、何をすれば良いのか。今できることはないのか。事あるごとに自問自答しています。
もちろん、この言葉があることによって社内での価値観の共有もスムーズです。社員が自律的な判断をできるようになることは、経営のスピード化や省力化にも直結してきます。
自分たちを実験台に
理念の言語化と、その先にある体現。
これらは、あらゆる企業や組織にとって重要な取り組みになると私は確信しています。ザツダンもひとつの企業として、自らもトライアンドエラーを繰り返しながら、そこで得た知見をもとに、言葉と進むためのサポートに磨きをかけていきます。
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