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通信制高校を退職する話

タイトルにあるように、通信制高校を退職します。
NPOとのダブルワークで週2ほどの勤務でしたが、5月のはじめに退職予定です。2022年12月に入社し、1年半ほど勤務しました。


通信制高校ではたらきたかった理由

はたらきたかったきっかけは教員時代の進路指導でした。
私の学級には不登校の子が多かった(不登校の子の担任を任されがちでした)ため、進学先は通信制高校の割合が高かったです。
その際に、様々な高校を調べてみて、公立高校との学習面、登校の仕方、金額などなど違いが見えてきたこと、その学校による特色があること、年々増え続けていること、また多様性を理解しているように感じたことなどから、どんな学校なのだろうと興味をもつようになりました。

はたらく側としても公立の学校よりも、一人一人と丁寧に向き合うことができ、その子にあったペースで学びができることや、自由が担保されていることから働きやすく私にあっているかもしれないと思うようになりました。

NPOで勤務をはじめたものの、どうしてもNPOは給料が低くなってしまうため、いままでやってきたことを活かし、少しでも給料を上げることができるという点でもダブルワークをしてみようと思いました。

教員時代にオルタナティブ教育のイベントに参加しました。
イベントでブース出店をされていたとある通信制高校の先生とお話したときにすごく安心感があり、「高校時代つらかったのは私だけじゃなかったんだ」と思いました。
高校時代に不登校を経験していますが、進学校に通う中でつらくなり、通信制高校に転校した方のお話を伺いました。
こんな学校があるんだ、こんなに私の話に耳を傾け、丁寧に聞いてくれる先生がいるんだと感動したことを覚えています。通信制高校が知りたくなったきっかけです。
その先生には今でもお世話になっています。

通信制高校の仕事内容

上記の理由から通信制高校(サポート校)で勤務することになりました。
仕事内容は多岐にわたりましたが、やはり「一人一人と丁寧に関わることができる」「学校らしくないゆるやかさ」が自分には合っていると感じました。

①一人一人の生徒に合わせた関わり

1学年で最大10名ですので、一人一人と丁寧に関わることができました。
中学校まで不登校を経験してきた子が大半です。
学校への苦手意識、人間関係をどのように築いたらよいのかわからない、こわい、学習が苦手、という状況です。
毎日登校、週2登校、月2登校、自宅型、個別型、さまざまな登校の仕方がありました。

その子に応じてのかかわりは言葉では簡単ですが、とてもむずかしく、とても大切なものだと感じました。

学級に40人いると、生徒一人一人に向き合う時間は限界があるので、ありがたい環境でした。

②レポートの進捗管理、学習サポート、採点

学習をすること、学習を計画的にやることが苦手な子が多いです。
レポートは高校の内容ですが、数学であれば九九がわからない、分数がわからないという生徒も多くいます。
一つのレポートを終えるのも一苦労です。必要あれば小学校の内容に立ち戻りながら進めていきました。

登校頻度が生徒によって違うので、進捗管理も難しく、終わらないときも家でも宿題にしたいと思っても、なかなか一人で進めることができない現状もあるので苦労しました。
どれだけ見通しが持てるように伝えるか、どうしたら進めることができるのかを考えました。

前期、後期でレポートの提出期限とテストがあるので、締め切り間際にはいつもひやひやしていました。笑

③イベント企画・実施

少しでも学校に楽しく来ることができ、生徒同士の交流を生むことができるように、様々なイベントを企画しました。
登山、まちあるき、レクリエーション、ゲーム大会、誕生日会、お出かけ…どれも喜んでくれてよかったです。生徒の好きなことを聞いたうえで、どうしたら喜んでくれるかを考えながら企画しました。

年度の後半では、生徒主催のイベントが開催できるようになりました。
メイクが得意な生徒は自らが講師となり「メイク講座」を開催したり、
クリスマス会やバレンタインイベントをみんなで意見を出し合って企画したり、
みんなが主役になれ、「なんかできたかも!」「やってよかった!」といってくれるようなイベントになりました。
生徒同士の関係性も次第に深まり、やってよかったです。

④スクーリングの引率

月に2回ほど土曜日にスクーリングがありました。
オンラインか対面での開催です。
一人で電車にのって会場まで行くことが難しい生徒ばかりで、
集団で授業を受けると苦しくなってしまう生徒もいて、
なかなか対応はハードでした。

授業以外にも、スポーツ大会や文化祭などもありました。
さまざまな提携校が集まり、いろんな高校生と知り合うことができる機会は生徒にとって貴重だと思いました。

⑤生徒・保護者面談

生徒、保護者面談は定期的に行いました。
学校での様子、家での様子、アルバイトの様子、今の心と体の状況、不安なことはないかなど丁寧にお話する機会を設けました。
また進路についても何度も話しました。

勤務校の進路として、
①専門学校や大学進学 ②就職 ③福祉就労・就労移行支援 ④未決定
大きく4パターンありました。
①か③の割合が高かったですが、高校時代も不登校が続き、対人が怖く、④未決定の生徒も少なくありませんでした。

日本の通信制高校の卒業生3割は進路未決定だといわれています。
とても問題意識を感じました。
若者支援がまだまだ不足しているように感じ、何かできることをしたいと思うようになりました。


⑥事務

その他、学校運営の事務も行いました。
4月には新入生が提出する書類を作成したり、広報用のパンフレットを作成して郵送したり、レポートを印刷したり、書類を作成したり。
スタッフの人数がとても少なかったので、学校の教務の先生や事務の先生がされていたような仕事もさせていただきました。

⑦塾指導

通信制高校以外にも、発達障害や不登校の小学生、中学生、高校生を対象とした個別塾をしている会社だったので、幅広い年代の子どもたちとかかわる
ことができました。
日中は高校、夕方から夜にかけては塾という流れでした。

本当に一人一人違う特性があるので、その子にあうベストは何かと日々模索しながら、学びの多い日々でした。
何度も保護者との面談を重ねたり、テストを分析したり、WISCを見たり、視覚が得意か聴覚が得意なのか試行錯誤してみたり・・いろんな方法でどうしたらできるようになるだろうかと考え、やってみては反省し、次の作戦を考えました。
小2、小3、小5、小6、中1、中2、中3の子を担当し、学年を越えて一緒に学ぶことができ、とてもよい経験になりました。

通信制高校を退職した理由

①転職するため

NPOも同時に退職(今後も少しは関わる予定)し、フルタイムの仕事に転職します。そのため、今のような働き方が難しいため、退職することにしました。

②お金関係で不信感を感じたため

ここには詳しく書くことは難しいですが、お金関係でとても不信感を抱きました。
全ての通信制高校がそうではないと思いますが、通信制高校が増えてきている今だからこそ、どのような学校なのか、信頼できるのかを調査することは必須だと思います。
入社してからじわじわと気づき、働いていてとても苦しく思いました。
企業だとしても、教育分野をやっているのであれば、一番は生徒だと思うので、そこはどうしても納得できなかったです。

③他の通信制高校でスクーリング講師をするため

月に1回ほどですが、別の通信制高校のスクーリング講師を頼まれました。
地理・歴史と公民です。
きっかけのところに記載した、教員時代に参加したイベントで出会った通信制高校の先生が運営されている学校です。
不思議なご縁だなと思います。

少しでもわくわくして、みんなが主体的に参加できるような授業ができたらと思います。
入学式に参加しましたが、生徒のみなさんの表情をみながらとても楽しみになりました。


退職することにはなりましたが、学びや出会いばかりでとても貴重な経験ができたので、やってよかったと思っています。
この経験を活かして今後の人生も歩んでいきたいです。





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