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~相手の課題をデザインで解決する  “代表取締役なんでも屋”④~

Q7鈴木さんが思う、これからのデザイン・働き方について教えてください。

これだけAIとデータ分析が発展した時代において、手作業でAIに勝つのはほぼ不可能ですよね。特にITであったり、グラフィックもそうですけど、元々AIと競ってはいけない時代になってくるはずと思います。

そう考えたときに、人間が何をやれるかっていうと、相手の状況や気持ちを汲み取って「あなたが心地良いのはこれですよねっ?」という答えを人それぞれの揺らぎを感じて、ワンメイクでつくっていくしかもう価値が創出できない、と思っています。どのような経緯があったか、その人がどんな気持ちでいるのか、どんな思考なのかといった様々な情報を分析して、その人が心地よくそれをイエスと言える状態を、ちょっとずつ機微を調整しながらつくっていくのが提案、ひいてはデザインではないかと思います。ただ単純な数値だけで結果が出るという仕事では、今後生き残っていくのが難しい時代だと思います。

例えば、クライアントさんやその担当者さんの性格や好み、経験といったものが、なにかを検討するうえで、数値の上に何十%が乗っかっていると思います。それを読み取るのは、多分人間にしかできないだろうなって思っています。相手の気持ちを汲み取り、「その人なりの」ということを考えるとある程度の関係性がないと難しい、そして、遣り取りしながら完成したデザインをその人がどれだけ大事に思ってくれかはすごく大切になるのではないかと思います。今の世の中は、どんどん数値化がされているのである意味杓子定規になっている気がします。自分たちがデザインという分野で生き残るのであれば、その杓子定規にならない答えが出せることでしかないと思っています。

 あと必要なことは、無駄をすることだと思います。「効率って効率化じゃない」なって思っています。例えば効率化して1個しかデザインを出さないと相手に「イエス・ノー」を突き付けていることになるので、もし相手が「ノー」だったらやり直しなんですよ。だったら最初苦労して3倍作って「1、2、3どれがあなたの好みですか?」って提案された方が、相手は選択権を与えられているので受け入れやすいですし、よっぽど気持ち的に、三つそれぞれ違うもの作ってくれたんだ、じゃ真剣に考えなきゃなって態勢に入れると思います。この状態では、ひっくり返されることも少ないですし、やり直しをする場合でも相手の幅が分かります。

無駄って結局情熱だから、相手のベースのところの「見よう」「選ぼう」「考えよう」っていうポジティブな感情を引き出してくれるように思います。そうなると結局「無駄の方が効率的」だと僕は思うので、そういった意味で"無駄"をします。相手がポジティブな感情の中でデザイン見ている時と、ビジネスライクに見ている時では、同じものを出しても結果違うはずで、それが方法論として採れることが、コンピュータにはできない、人ができる“揺らぎ”の解釈なのだと思うのです。昔はその無駄を実現できていたと思うのですが、今は色々なものを数値化したことによって無駄を強制的にできなくしていると思っています。無駄を強制的にできなくしてしまうと、最終的に質がどんどん落ちて、デザインという出力物は効率化されますが、もしかしたら、人としての仕事の質は落ちる可能性があると思っています。
 
ビジネス上で相手の心をつかむための情熱、これからのデザイン、働き方、に関して鈴木さんにお話しをお伺いしました。次回は鈴木さん個人の今後・目指す未来をお伺いします!
⑤へ続く

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