ミズナラスティック実験後半戦~ジェネリック樽熟成日本酒は美味しく作れるか~
さて皆さま、楽しい実験のお時間です。
内容は表題の通り。
以下の記事の続きとなります。
今回の実験では
日本酒×ミズナラスティック×赤ワイン
という3つを合わせて活用出来ないか、その観察になります。
まず赤ワインにミズナラスティックを数日漬け込み、その後ワインに漬け込んでいた棒を取り出して日本酒に漬け込む、という手順で。
もしかしたら気軽に?赤ワイン樽熟成の日本酒が作れてしまうのでは、と思っています。
今回用意したのはこちら。
日本酒・・・新政 陽乃鳥
ワイン・・・山形県 タケダワイナリー ルージュ 2018
マスカット・ベリーA 100%使用
陽乃鳥は30BYのもの。貴醸酒の仕込みに入れる日本酒はオーク樽貯蔵のもののようです。熟れた林檎や蜜柑のような、やや濃密な甘味と酸味の中に、ほんのりとだけ木の香りが乗っているようでした。
ワインは初めて飲むワイナリーさんのもの。
新政さんのお酒と相性がいいものを考え、その条件を
・可能な限り秋田に近いワイナリー
・渋味の少ないぶどう品種であること
・樽熟成がされていないもの
以上に設定。
日本酒と合わせるには日本ワインでしょ、くらいの安直な設定になりましたが
丁度良い物が見つかったので良かった。
ミズナラスティックから味わいの抽出が多いのが初めの4〜5日
今回の日本酒では開栓から飲み切りたい期間が大体1週間
そこから考えて、
赤ワインに2日
その後日本酒に3日漬け込む
このレシピでいきます。
まずはワインから。
マスカット・ベリーA、久々に試しましたが良い感じですね
色も澄んでいて、瑞々しい果実味と渋味で上品めな印象。
漬け込んでいくとミズナラの香りが程良く乗っかり、その香りがある種のキレ味のようにも感じます
単純にこの状態のワインでも美味しく楽しめるように。
棒にもワインがある程度染み込んだようで、当初と比べるとかなり濃い色になりました。
これで上手くいけば赤ワインと木香の含まれた、より奥深い味わいになってくれる………
と思っていました…
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では日本酒編。
まずは結果ですが。
ワインの味わいはあまり感じられず、ミズナラの香りだけが付いた。ように感じます。
前後で軽くワインの色は抜けているようには見えなくも無いですが、経過を見ていても特筆して感じるレベルには無い
ただ木の香りは十分。予想は外れましたがこれはこれで美味しいとは思うので良いと思います。
ワインの味わいが移らなかったのは漬けている時間が短かったからか、もしくは日本酒の方が味わいの要素(糖分やアミノ酸など)が多く、浸透圧の向き的に棒の方に味が移るように働いてしまったか。
長期間漬け込むには日本酒自体の味わいが低下してしまう恐れが強すぎるため、今回のようなお酒では厳しいように思います。
開栓してしばらく経ってからが真価を発揮する銘柄だと都合は良さそうですが、そのような味わいだとミズナラの樽香やワインの味わいとの親和性はどうなのでしょうか。
このあたりはまたいずれ試してみたいなと。
やってみて思ったのですが
樽熟成の日本酒、よくオーク樽貯蔵などと書かれているのですが
このオーク樽ってどのオークなのでしょう
ウイスキーやワインなどではよく、
アメリカンホワイトオーク
スパニッシュオーク(コモンオーク)
フレンチオーク(セシルオーク)
が使用されているみたいですが
調べてみるとミズナラは価格も高価で加工も難しいそうで、まだウイスキー業界でも多くは使われていないようですね
日本のお酒も、ウイスキーだけでなくワインや日本酒、焼酎などでもミズナラ樽熟成が増えてきて、まさに「純国産」の面白い酒類が増えてくると面白いな、なんて思います。
林業とも繋がる酒造り、少し夢を感じてしまいますね。
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しかし、このままでは終われません。
ついでといってはなんですが、手元にあった米焼酎にこの漬け込んだ後の棒を入れてみました。
ちょっとこの下は写真撮れて無いものが多いです。
使用したのは
熊本県の球磨焼酎
高田酒造場 Oak Road。
度数は37%ある原酒タイプ。
ホワイトオーク樽、リムザンオーク樽、コニャック樽、シェリー樽、スコッチ樽で熟成させた焼酎をブレンドして出来た焼酎です。
既に樽の香りが濃く付いているお酒ですが、開けてからやや時間が経った(半年近く)のもあり、その香りが抜けかけている状態でした。
試しに3日程置いておいたのですが……
見事にワインの色が抜けて、お酒にも味わいが乗っているではないですか。
新品の棒と比較しても、焼酎に漬け込んだ後は棒の色も抜けているように見えます。
左 ワイン→日本酒→焼酎に漬けた後
真ん中 日本酒のみ
右 新品
味もかなり濃密な印象に。
新しく生まれ変わった、といってもいい味になっています……
やっぱり、使いやすい用途としてはこちらなんですかね。
皆さんも、是非実験してみてください。
きっと楽しいですよ。
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