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JFAの掲げるサッカーの特性から考えられること 〜線形/非線形〜

 JFA(日本サッカー協会)はサッカーの特性として、次の7つを挙げています。

⑴ 競争 ⑵勝利 ⑶ルール ⑷自由 ⑸決断 ⑹連続性(攻守) ⑺チームプレー(協働)


サッカーは相手と競い合うスポーツで、相手に勝つためにプレーするのが重要です。

ルールを尊重しながら技能を高め、役割や責任のある中で自分で決断しプレーできる自由が与えられています。

攻守が常に連続しており、その中で選手自身が判断し決断を繰り返す、個人が判断し決断して責任あるプレーを行うことで、チームプレーにつながります。

長年にわたりFCバルセロナのフィジカル部門の責任者を務めているフランセスク・セイルロ氏は下のように表現しています。

「サッカーとは、社会的活動を伴うスポーツである。その中で与えられる役割や仕事は、関わる全てのもの(例えば、時間やスペース、一方のチームが目的を達成するために相手チームを攻略しようとする意図など)が相互作用で影響を及ぼし、不確定要素の事柄が含まれているという特徴をもっている。そして、それはルールに則った中で行われる。」

105m×68mという非常に広いスペースで22名の選手がプレーすること、そして手ではなく足でボールを扱うことから、無秩序な状況に陥りやすく、次の展開の予測が困難です。
 

このような特性から、選手はプレーしながら「認知」「判断」「実行」のサイクルを求められます。

自分の周りの状況を観て(認知)、何をすべきか考えて(判断)、ドリブルやパスなどを行う(実行)。

90分のゲームの内、1人がボールを持っている時間はおよそ2分ほどと言われる中で、このサイクルを速く正確に修正しながら回し続けることが非常に重要です。

これらは双方向に関与していると考えられるため、それぞれの要素を他のものから独立させて理解することはできないと考えます。


JFAのトレーニング(C級ライセンス)の組み立て方では、1つのテーマについてトレーニング全体が連続的であることが前提になっていることが多いです。

これは線形として捉えた計画と言えるでしょう。

プレーが上手く発展していけば問題ありませんが、そうでなければ一定レベルの習得が前提であるため、以降のトレーニングに支障が出てしまいます。

一方で、線形での観点から判断と実行のプロセスを説明するのではなく、2つのプロセスの相互作用という非線形での観点から解釈するべきと提唱する研究もあります。

非線形として捉えた計画では、一貫性は保ちながらも、もう一方で不連続性や不確定さを重視しています。

様々な不確定要素がある限り、練習成果が計画通りに積みあがっていくことは極めて難しいという考え方です。

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