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ぞんびのリミテッド大考察『カルロフ邸殺人事件』序文

Elementary my dear

どうもお久しぶりですぞんびです。
年が明けまして、新しいエキスパンションの登場となります。
イクサランから大分時間が空き、そのためか毛色がかなり変わった雰囲気のエキスパンション『カルロフ邸殺人事件』の登場です。
今回も『リミテッド大考察』シリーズとして、エキスパンション全体を踏まえたカード評価をやっていこうと思います。全8記事を予定しています。ボーナスシート相当である『ザ・リスト』の影響で記事が一個多いですね
まず最初となるこの記事ではカルロフ邸殺人事件(以下MKM)全体の能力や特徴や気づいたこと、そのそれぞれの分析や考察をしていこうと思います。この記事シリーズの目的である、『環境分析』をする際のとっかかりを可能な限り並べようということですね。


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前提事項
以下、この記事シリーズの前提やテーマとなる部分となります。
・MTGAでのプレミアドラフトを前提としています。
・BO1、対人ドラフトとなるためBO3やクイックドラフトとはいくつか話が変わります。
・実際にカルロフ邸殺人事件のドラフトが始まる前にカードリストやギミックと向き合い『こうなるだろう』『これらはどうだろうか』と予測交じりの考察をしていきます。
・この記事での用語として以下を使っています
  専門性:カードの強さが、特定のギミックに強く依存しており、そのギミックを強く補強していること。そのギミックに関わるカードを多くとレア取るほど強くなったり逆に単独で存在していても弱いことなどを示す時等に使用。
  越境性:カードが複数のギミック/アーキタイプを跨ってサポートしていること。これが高いほど、『どのようなアーキタイプやデッキを目指していても採用しやすいカード』と言え特にピックの序盤に取りやすく、取っても後続の選択肢が狭くなりづらいです。
・この記事をまず『序文』として、環境全体の分析やギミックの振り返りなどをしていきます。その後、各色のカード評価を個別に行っていきます。環境全体観や各ギミックの影響を先に把握し、存在するアーキタイプなどのイメージを固めないと正確なカード評価につながらないからですね。



1:カルロフ邸とはなんなのか

都合4度目となる訪問(過去最多)となるラヴニカ次元のセットです。
今まではすべてラヴニカの『ギルド』を中心とした訪問になっていましたが、今回は意図的にそのギルド性は減らすと言われました。そのため、今までは定番だった『2色ごとの確立したメカニズム及びアーキタイプ』は鳴りを潜めており、大まかに眺めた限りでは他のセットとあまり変わらない特徴のセットになっていると思います。
ストーリーとしては『カルロフ邸』というオルゾフのギルドリーダーであるテイサ・カルロフの住居で行われた連続殺人事件を中心としたものになっており、セットの随所に『ミステリーあるある』を感じさせるカードやモチーフがちりばめられていますね。
メカニズム的にも『変装』という、犯人が隠れ潜んでいることを示す能力がメインとなっており、今までとはまた一味違ったラヴニカに仕上がっていそうです。

2:新規メカニズム『変装』

今回の目玉メカニズムです。殺人事件を取り巻く様々な人物はその姿を隠して蠢く様を表現している能力でしょう。

以前生まれた変異/大変異などの発展となる能力です。
基本は同じで「3マナで裏向きの2/2のクリーチャーとして唱えても良い。」「裏向きの間、いつでも変装コストを支払うことで表になっても良い」というものです。更にそれに加えて裏向きの間「護法2」が付随するのが今回の発展ポイントですね。
裏剥きで唱えることは普通にクリーチャーで唱える時と全く同じですね。何を唱えたかは相手に見せる必要がありません。
ちょっと細かいことを言うと、一部の「どこそこから○○を唱えても良い」というタイプの能力は、唱えても良い○○であるかどうかは変装で唱えたい場合には変装した後の状態を見ます。パワーが3以上あるクリーチャーでも、関係者の集合の効果で変装で唱えれるわけですね。
表になるのは裏向きの間”いつでも”行えます。インスタントタイミングと把握すればいいでしょう。また、これは「特別な行動」というジャンルであり、セットランドなどと同じくスタックに乗りません。「表になることを宣言した後、表になる前に何か行動する」ということができません。対象が限定的な除去を構えている場合などは相手のマナがない時をちゃんと狙いましょう。表になりますと宣言されてからは間に合わないです。
実に37枚もの枚数があり、そのうち32枚がアンコモン以下です。今回のリミテッドでは敵味方共にこの変装を使うことが多くなるでしょう。
結果互いに「3/2/2 護法2」というクリーチャーが多くデッキに入っている形になります。これによりカード評価や戦術に実際大きな影響があることが予想されます。これは長くなるんでまた下の方にまとめ直しますが「2/3以上のクリーチャーの価値の上昇」「重い除去の価値がさらに低下」「先手有利」「テンポ重要」あたりですね。とにかくこの環境を話すうえで避けて通れないメカニズムです。

3:新規メカニズム『偽装』

変装の亜種であり関連が深い能力ですね。自身ではなく他人に身分を隠してもらって行動する能力です。


変装の亜種なので単体で独立しているメカニズムではないためか、枚数は5枚と極めて少ないです。
偽装はどんなカードでも「裏向き、2/2、護法2を持つ」状態で戦場に出します。これによって出たカードはもしクリーチャーであれば、その本来のマナコストを払って変装と同じように表にすることができますね。クリーチャー以外であれば裏になったままです。また、そもそも変装を持つカードを偽装した場合は、変装コストでも表になることができますね。
クリーチャーなら普通に表で出すのとコスト自体は変わらないんですが、「先に場に出てからコストを払う」形式になるので速攻みたいになるのはちょっとおもしろいですね。
偽装するいずれのカードも独特のメカニズムをそれぞれ持っているので、偽装がどうこうというよりはそれぞれのカードでちゃんと考えましょうという感じですね。

4:新規メカニズム『容疑』

新しく生まれた概念です。殺人事件の容疑者にクリーチャーを指定する能力ですね。

容疑には「かける/かけられた」がまず存在します。容疑を賭けられたクリーチャーは威迫を得る代わりに、自身がブロックに参加できなくなります。自分にかけるにしろ相手にかけるにしろたがいにブロックしづらくなり殴り合いが加速する能力ですね。
また、一部カードには「容疑を晴らす」効果もあり、そうなると元のクリーチャーに戻ります。容疑は二重にかけることはできないので、一回晴らすと次また容疑をかけるまでは無罪ですね。
後ほど改めて触れますが、この環境を攻撃有利に推している要素の一つだと思います。威迫が配られやすくなっているということはそれだけ互いに攻撃し合うことになりますからね。
ちょっと注意もあります。容疑は相手にかけることもできますが、それを行うカードはあまり多くないですし、能動的にノーリスクで容疑をかけるカードもほぼないです。ただ、それでもいざブロッカーに容疑がかかると一気に厳しくなるので「単体で相手のアタックを止める」ようなカードや戦術はちょっと控えたい。

5:新規メカニズム『証拠収集』

新しいキーワード行動ですね。事件解決のための証拠を探し墓地から拾い集めるイメージの能力です。

「証拠収集N」という形で示していますね。カード毎にコストだったり効果の一部だったりの形で「証拠収集Nを行う」と指示されています。これは、墓地からマナ総量がN以上の数字になるように好きな枚数のカードを追放することを示しています。そして、証拠収集を行うことをコストの能力だったり、誘発条件などになっているわけですね。
基本的にはリミテッドでうまく扱うのは難しい能力だと思っています。
どれもNの数字がやや大きいわりに効果が小さめだったりするのがまず一因ですね。
そしてそれを際立たせてしまっている要素として「別に墓地が積極的に溜まるわけではない」というものがあります。青黒緑が一応証拠収集を割り当てられていますが、何枚か墓地に証拠を溜めやすいカードはあるものの継続的なカードが少ないため積極的に証拠収集を使っていくことは難しく感じています。証拠収集しなくても一定の戦力があるカードを使い、ゲームが長引いたときに1,2回収集したいですね。そういった意味では起動型能力や攻撃時の誘発として証拠収集を持っているクリーチャーは都合がいいといえます。
もう一個気になる点として「共存できない」構造があります。そりゃそうなんですよね。一つのカードで証拠収集をしたら他のカードに回す証拠がなくなります。特に墓地を溜めるのが難しいことと相まって、複数の証拠収集カードを同時運用するのはかなりハードルが高いでしょう。
結果として、「証拠収集デッキ!」というものは組みづらく、上澄みのカードのみ使われるんじゃないでしょうか。
ゲームがグダグダ相打ち路線で長引く環境になるのであればもう少し強いかも。

6:新規メカニズム『事件』

今回追加された新たなサブタイプで、エンチャント専用のものとなります。
事件が発生し、それを解明するという流れを再現したものになりますね。


まず、戦場に出すことで一番上の枠の中の能力が誘発します。これは無条件ですね。
そしてそれぞれ『解明条件』と銘打たれた真ん中の枠を持っています。これらは事件を解明するための条件を示していますね。”自分の”ターン終了時に条件を満たされているか確認し、それが満たされている場合、最後の枠である『解明完了』の能力を得ることになります。
一度解明してしまえば解明完了能力は常に使い続けることができますね。その点ではバトルとちょっと近いでしょうか。
第一の能力がちゃんとカード1枚分になっている事件などは解明せずとも使えるので使いやすく、逆に解明前提となるものは使いづらいというのはリミテッドの常ですね。
条件も効果もまちまちで、これといった決まった影響を与えるものではないと思います。エンチャントが大事な環境でもないですしね。ただし、全体的に試合は長めになると思うのでこういう条件付きのカードはいつもより満たして使いやすく、その恩恵も増えるんじゃないかなと思います。
一個注意点として、解明する際には『ターン終了時になった瞬間』と『誘発を解決する瞬間』の両方で条件を満たしている必要があります。一部、疎外される事件があるので気を付けましょう。

7:再録メカニズム『調査&手がかり』

メカニズムとして取り上げるほどかはかわかりませんでしたが、『殺人事件』といえば切っても切り離せないものだと思って取り上げます。

手掛かりはアーティファクトのサブタイプの一つです。『2 生け贄に捧げる:カードを1枚引く』という能力とほぼセットで扱われますね。従来は『調査を行う』という効果で生成されるトークンでした。
今回は殺人事件を解き明かすため40枚ほどの調査を行うカードが収録されています。かなりの枚数ですね。これにより全体的にカードを引きやすい=店舗と引き換えに息切れしづらい環境といえるんじゃないでしょうか。
また、赤ニシンのように『手掛かりのサブタイプを持つ別のパーマネント』も今回存在しています。それらもドロー能力を兼ね備えていますね。かなり扱いやすいカードにどれもなっています。
さらに今回は追加で青赤のアーキタイプとして『アーティファクトを生贄』が存在しています。特に赤の火力の2枚がそれを要求しているため結構重要な要素であるといっていいんじゃないでしょうか。


8:リミテッドアーキタイプ

定例の項目ですね。『2色の組み合わせ』で10通りのアーキタイプが用意されています。
一つずつ説明していきます。

白青:探偵
今回唯一のクリーチャータイプ参照アーキタイプです。シンプルに『探偵』というクリーチャータイプを直接支援するカードがありますね。
また、探偵はそのフレイバーのためか調査トークンを発生させるカードが多く、また一部カードそれをあてにした『2ドロー』シナジーも含まれています。
そもそも白のクリーチャーが今回優秀なことに加えてマルチカラーである「私立探偵」がかなり強いですね。自然と『優秀なクリーチャーで殴り、調査トークンで息切れも防止しやすい』と強いビートダウンの形をとることができると期待しています。サイズ/テンポ/アドバンテージ全部有利になりやすいんじゃないでしょうか。

青黒:調査コン
手掛かりを作るカードが多く、それらを扱う。と公式発表には書いてありますが正直よくわかりません。手掛かり作るカードも多いですが全部使いやすいというわけでもなく、また、それらによってシナジーを産むようなカードもほとんどないです。めぼしいのは「物好きな死者」くらいかな?
なのでいつも通り『長期戦をしやすいカードが多い』というふわっとしたコントロールデッキになると思います。長期戦になりやすかったり除去をメインで立ち振る舞う関係上、証拠収集とも相性がいいので取り込みたいですね。

黒赤:容疑アグロ
主に自分、たまに相手に容疑をかけブロックをしづらくすることでビートダウンを通していきます。
ビートダウン系のデッキになりますが、サイズ面で上回ったりすることなどはちょっと難しく、相手にしっかり並べられると意外と突破できなさそうな懸念がありますね。
破格のサイズの瓦礫帯の自慢屋や接死をつける毒素の分析など、相手のガードを突き崩す手段は用意しておきましょう。
また、除去がインスタントばかりで強い色の組み合わせでもあります。相手の数を減らして容疑を通すだけでなく、あえて除去を打たずにアタックし『容疑持ちを複数ブロック』したところで除去で計算狂わせる戦い方ができるのは重要でしょう。
除去の強さというだけで結構評価はしてます。

赤緑:大変装
恒例のよくわからない雑な赤緑アーキです。
変装クリーチャーを出し、それらを表にしましょう!ということなんですが一見具体的に何ができるのかよくわかりません。
このアーキタイプのポイントは『変装持ちの大多数が5/5あるいはそれに近いサイズ』を持っていることです。マナさえあれば相手は常に『これは5/5かもしれない』と考えて振舞う必要が出てきてしまいますね。全体的なサイズ感が今回小さいこともあって、『表にする時間さえもらえれば』盤面を制圧しやすい気はします。
ブリキ通りの噂好きと犯人暴きはかなり有力なカードで、『最終的にサイズで押す』というゴールをかなり前に持ってくることができ、赤緑に参入するかなり大きいきっかけになりそうです。
ただ漫然とランプする、時間をかけるというだけでなく『早期に相手より大きいサイズで戦う』という明確な意識をもってプレイしたいですね。

緑白:横ならべ変装
これも正直ピンときません。表になった時の効果も別に多くないですし、変装をことさら多く出すことをサポートするカードもありません。
変装を『場持ちのいいクリーチャー』と捉えて、それを強化するといったことが実態かもしれません。強いオーラ2種類ありますしね。他にもパワー2以下支援などは併用できるので、変装を何のために並べるのかは意識したいです。
スマーラの歩哨はめちゃくちゃ強いので、これのためのアーキタイプ説もあります。

白黒:極小変装
変装系全部ピンときません。
パワー2以下のクリーチャーを支援するカードが何枚かあるので、それを変装に使えるといいよねという感じですね。
何枚か、といいましたけどたなびき飲みの吸血鬼と2枚程度であり正直そこまでまとまりがあるようには思えないです。何がしたいのか一番わからない色の組み合わせかもしれません。現時点では何もぴんと来てないです。

黒緑:墓壊し
証拠収集などによって『カードが墓地を離れる』ことを条件とした誘発型能力があります。
とはいってもそのようなカードは4枚しかなく、1枚はほぼ見送りレベルです。なのでこれも例によってアーキタイプとしてまとめるのは厳しいんじゃないでしょうか。
墓地からカードを離れさすカードもけして多くないですしね。
アイゾーニクラスのボムが出たときだけ触る色になってしまう気が今時点でしています。

緑青:証拠収集
偵察監視員と証拠審理員を2枚看板として、『証拠収集がしやすく、それをするたびに利益がある』色です。この2枚は実際強く、機能してくれたら頼もしいですね。
しかし説明でも触れた通り証拠収集自体が集めてデッキにしづらいです。クリーチャーのサイズが低めになってしまっている&除去が弱い色の組み合わせなので損をせずにスムーズに墓地に証拠を溜めるのも難しく感じます。
結果的には証拠収集にあまりこだわらずマナ加速+中~大型クリーチャーの組み合わせになるのかなぁ。密かに注目カードの有能な調査員はうまく使えそうな色です。

青赤:アーティファクト生け贄
アーティファクト、特に手掛かりトークンを用意し生贄にするシナジーを持つアーキタイプです。
マルチアンコモン2枚が両方とも強く、それら同士でシナジーもしているため参入機会が多くなるんじゃないでしょうか。全体的にアーキタイプ用アンコモンが強いけど他の色ではやや活用しづらいというものになっているので、いざ自分がやっていい立ち位置になったらかなりカードが強くなりそうです。逆にみんな狙うんで最初は流れが悪くなりがちかもですが。
全体的に手掛かりで息切れを防ぎながらビートダウンする形ですね。やはり赤が絡んでいる分除去が強いです。調査トークン自体はちょっと意識して集めないと出ないのは注意ですね。

赤白:大隊
2回目のラヴニカの時のボロスの特徴がそのまま再登場です。『3体でアタック』した時のシナジーですね。
3体でアタックを成立させるためにトークン生成カードが結構多く、その時点でそもそも強いアーキタイプといえます。犬の散歩者とか結構破格のカードに見えますね。
3体アタックのシナジー自体は多くないのでちゃんと装備品などで並べたトークンを活用することは考えておきたいです。
マルチアンコモンである妨げる若者がべらぼうに強いのもウリですね。これも除去+クリーチャーが強い色の組み合わせなので漫然と強いデッキが出来そうで人気が出る気がします。

9:プレイブースター

今回から、紙のMtGの製品が切り替わります。今まであったドラフトブースターの代わりにプレイブースターというものが導入される形になります。これはアリーナにも同じように導入されるはずですね。
根本的にパックとして変わるわけではないのですが、1パックごとの収録枚数及び収録内容に変更が生まれます。

公式情報を抜粋して引用させていただきます。

第1~6枠:コモン
第7枠:コモンまたは「ザ・リスト」のカード
 ほとんどの場合(8回中7回、あるいは87.5%)、この枠からは7枚目のコモンが出現する。しかし8回に1回の割合(12.5%の確率)で「ザ・リスト」のカードが手に入る。この枠から出現するカードの出現確率は以下の通り。

  • 87.5%――メインセット収録のコモン 1枚

  • 9.38%――「ザ・リスト」収録の通常再録のコモンやアンコモン 1枚

  • 1.56%――「ザ・リスト」収録の通常再録のレアや神話レア 1枚

  • 1.56%――「ザ・リスト」収録の「スペシャル・ゲスト」カード 1枚

第8~10枠:アンコモン
第11枠:レアや神話レア
7回中6回はレアが出現し、7回中1回は神話レアが出現する割合になっている。
第12枠:土地
基本土地及びその他土地が出現する。
第13枠:非フォイル仕様の不特定カード
 この枠からは、メインセット収録カードのほぼすべてに出現する可能性がある。どのレアリティでも出現する可能性がある。1/6でレアの土地も出現する(ここのみにレア土地は出る
第14枠:フォイル仕様の不特定カード
 第13枠とほぼ同じだが、出現するカードがフォイル仕様になっている。
※アリーナでの扱いは不明

第15枠:プレイ可能でないカード
※アリーナでは恐らく枠が消滅

というようにおそらく14枚の枠にそれぞれ出現が当てはめられます。大事なのは『レアが1枚~4枚(ザリスト込み)になる』『コモンが6枚しか出ないことがある』ということですね。いろいろな影響が出てくると思います。
まず、どうしてもパックの上振れ下振れが出てくるように感じます。レアが多く出るほどあたりのレアも含まれやすくなりますし、ザリスト枠にも極めて強力なカードがあったりもするためですね。
とはいえ、アンコモンの枚数は比較的安定して3枚~5枚程度です。今回はかなりアンコモンが強く、レアはリミテッド的には控えめなカードも多く見受けられます。後ほどまとめるとある理由もあり、『レアゲー』な感じはそこまで出ないんじゃないでしょうか。
コモンの枠の減少もかなり気になります。ただ、コモンはそもそも今回従来と比べて30枚ほど種類が削られています。それらは概ね『今まで収録されていたがリミテッドでも正直使わない』役割やパワーレベルのカードが削減されたように思います。どうせ使わないカードが減っただけなんで実はあまり影響はないんじゃないかな?と思いますね。
結局レアが増えたりザリストが出る確率も高いものではなく、一回一回で見たときは派手なこともあるものの全体でみると影響は薄いかな?というのが筆者の今のところの感想です。アンコモンの評価はしっかりしておきたいね、くらい。


10:各気づきポイント

ここから下はいつものように、カードリスト全体を見て気づいたポイントをまとめていきます。いつも通り後々追記する可能性もあります。

・コモンアンコモンのパワー

気になってたところですね。
まだちゃんと並べたわけじゃないんですが、コモンは実はあんまり強くなってないように感じます。特に緑を中心に。変装を念頭に置いたサイズ感のせいか、どのクリーチャーも控えめに見えるのが原因でしょうか。
一方でアンコモンはしっかり能力が盛られていたりアーキタイプの軸になれるカードは多く、今回はコモンを集めるところから始めるというよりはアンコモンで軸を作っていく戦いになってくと思います。
クリーチャーが控えめな分除去類は赤と黒を中心に結構強い気はします。インスタントが多いのが特に気になりますね。
変装以外のクリーチャーは実はこの辺りの強い除去(特にショック)にテンポ取られがちになるのは気を付けておきましょう。


・素早くありふれた凶器(除去

というわけで除去は結構強いです。赤のコモン除去が3種類ともインスタントで、テンポ取りやすいのがまず目立ちますね。
黒除去もやや大振りではあるもののインスタントがコモン2枚アンコモン1枚で使いやすく、変装が絡んでいない試合だと結構戦いやすいんじゃないでしょうか。
一方で白と緑はちょっといつもより弱めかもです。特に緑。この二色はインスタントでの介入がほとんどできないです。そのため、ちゃんとコンバットトリックやクリーチャーを展開して、変装の解除効果などで介入する必要があるのかな?あんまりないんですが。
変装していない裸のクリーチャーで戦ってるときは相手の除去を気にする必要がある、との覚えておきましょう。特に変装出した後だと相手が護法払えずに腐った除去が結構飛んできそう。


・変装意識を中心とした世界

今回変装を持つクリーチャーは全体のクリーチャー135体のうち35体存在します。雑な計算だと、デッキの中のクリーチャーの1/4ですね。実際は変装持ちの方が入れやすいクリーチャーが多い&低レアリティに多いのでもう少し比率が上がると思っています。ざっくりと6枚前後くらい入りそう。
これは結構多い割合だと思っています。ゲーム中に必ず変装が出てくると感じるくらいには。
そして、カードデザイン的にも変装を使わせたいのか、今まで説明してきた、あるいはこれから触れるあらゆる要素が『3ターン目に2/2護法が出るのが基本』としているように感じます。
そして今回も、タルキールの変異と同じく『4マナルール』とでも呼ぶべきものが徹底されています。それは『4マナ以下で変装解除できるカードは2/2に対して一方的に勝つことはできない(パワーが1以下であるかタフネスが2以下であるかのどちらかの条件を必ず満たしている)』というものです。そのため3ターン目に出された変装をこちらもどうでもいい変装でブロックして相打ち狙うのはかなり安定行動だといえます。
逆に言えば、それよりも弱い行動をとるようなカードは弱く、それに対して強い行動をとれるカードは強いと判断していいと思いました。具体的に3/2/3はすごい強い。3/3/2はあんまり強くない、といった感じですね。
もちろん研究が進んで変装をあえて忌避するピックなどが出てきてこの辺のつじつまが合わなくなることもありますが、おおむね意識として『変装が中心』と考えていいと思います。変装であふれるというわけではなく、カードデザインは評価が変装ありきでされている、という話ですね。変装より強いカードのみでデッキ(特に3マナ域)を組むのが一番強く、目指したい。でもそうはいかないから変装を何枚使うのかという話もありそうです(弱い変装は入れづらいため)


・クリーチャーのサイズライン

変装中心の世界はクリーチャーのサイズにも影響が出ています。
変装に有利を取れる、『2/2/3,3/2/3』以上のクリーチャーはかなり制限されていて、コモンにはいないレベルです。4マナで見ても変装に対して、『パワーが3ある場合』まで考えると安定して受けれるカードが少ないです。そのため、『マナコストに対してサイズ感がいい』カードは、他の能力が何であってもそのサイズ感そのものが一種の能力であるといって差し支えないんじゃないでしょうか。”ただの4/3/4”である腐敗農場の死足虫を挑戦的に高評価したりで現れています。
5/5以上のクリーチャーを一方的に出せるとそれだけでフィニッシャーになってもおかしくないほどですね。
この後するテンポの話にもつながりますが、珍しいからこそ『3/2/2より強いクリーチャー』をプレイすることは価値があり、それらのカードを積極的に集めるべきだと思いますし、逆に『2/2/1,3/2/2より弱いクリーチャー』はデッキに入れること自体がリスクになるレベルだと感じています。テンポ面で追った負債を返せなさそう。
また、除去のラインの話でも触れましたが強力なレアであってもサイズ自体はあまり大きくないクリーチャーが多いです。サイズ強化して殴る意識があると、それらを出されても支配される前に無理やり殴り合いに持ち込んでどうにかできる結果につながるかもしれません。


・その身を着飾ろう

変装がもたらす影響の一つとして『たがいにクリーチャーを除去りあいにくい』というものがあります。”打ち消されない”と書いてある除去も1枚を除いて重く、変装を除去するためには概ね3マナ以上がどの除去でも必要になってしまいます。ということは除去でテンポを取ることができないですね。必然クリーチャーを互いに並べ合って殴り合うことが主軸になってくると思います。
そうなってくると何が強い要素となるでしょうか?それはクリーチャーを着飾ること、つまり強化ですね。
装備品でもオーラでもインスタントのコンバットトリックでも、クリーチャーの強化系のやつは『除去されるリスク』が普段より減る一方で『対処しづらい相手の変装の殴り合い』に簡単に勝利できる手段にもなります。
もちろん、弱いものは別に弱いままだと思うんですが軽く、タフネスが効率よく上がるものは特に今回評価を上げていいと思っています。
容疑によって複数ブロックも普段より発生しやすいと思うので、その点でもそうですね。
1~2マナの強い回避能力持ちは今回少ないですが、2~4マナのそこそこなスペックのクリーチャーに装備品やオーラをつけて戦うことは意識していいと思って、結構そういうカードの評価を上げて臨みました。


・先に殺ろう

変装絡みの影響の一つですね。
変装はとにかく『先手有利』な能力です。先にマナが起きて殴れる方が一方的に表になったり強化カードを使う権利があるためですね。さらに『2マナで除去を構えて3マナのクリーチャーを除去してテンポ入れ替える』という手段に対して護法で耐性があるのも厄介です。そのため変装を多用する同士の殴り合いはかなりわかりやすく先手側が有利だと判断しています。
また、容疑も明確に攻撃側が有利な能力ですね。
更に更に調査を交えた戦略も『2枚ドロー』が自分ターンにしかほぼ誘発しなかったり、手掛かりで後続を引けるのは先に攻める先手にとっての恩恵が大きかったりします。
環境に用意されたメカニズムのうちほとんどがつまり先手側を利する結果になっており、後手側は明確に不利でこれをどうひっくり返すのかが焦点になると思います。
『変装は4マナでは2/2に一方を取れない』を利用して2/2+αができたり2/3の価値を上げておくなどを今のところ考えています。


・テンポよく殺ろう

変装絡みの一つであり、先手有利にも関わってきます。
変装も手掛かりトークンもとにかくマナがかかる能力です。
手掛かりはマナを払ってカードが増えるので、引いたカードを使う分まで含めてマナの使い道が大きく増えます。
変装は言わずもがな『マナ食い虫』ですね。分割払いできるのをいいことに、基本的にはマナ効率が悪めのカードも多く、また素出しでも結局あんまり軽く扱えるカードが少ないです。
そのため、ゲームが始まった時点で『このゲームを通して使えるマナのうちの大部分を変装や手掛かりに支払いが決まっている』状況になると思います。
その状況で気にするべきはなんでしょうか?『残りのマナの使い道』だと思います。例えば1,2ターン目何もしないプレイヤーと、2ターン目に2/2を出したプレイヤーだとシンプルに2マナ分の差が生まれます。変装や手掛かりによって『効率が悪いマナの使い方』が強制されている状況でこんな簡単にマナの差が生まれてしまうのはかなり大問題だと考えています。
つまり、カルロフ環境も『テンポ大事』な環境だということですね。
これについてもうちょっと掘り下げます。
以前にも触れたのですが令和のリミテッドは原則今後すべて『テンポ環境』が維持され続けるとほぼ確信しています。ここでいうテンポとは『高速のアグロが強い』という意味ではありません。
筆者が言う『テンポ』とは『効率よくマナを使っていく。ゲームを通して”意味のあるマナ”の量を増やす』ということです。2ターン目パスをした相手に対してこちらがクリーチャーを出せばそれはわかりやすくマナを有効に使えており、テンポがとれています。しかし、これが例えば『2マナ1ドローするだけ』のカードや『2マナのクリーチャーだが1/1であり、今後戦闘において一切役目がない』クリーチャーだったらどうでしょうか?
『意味のあるマナ』とは相手との相打ちによって生じるものだと思っています。3マナのクリーチャーを1マナで除去されたのであれば、その意味のあるマナは実質1マナです。2マナのクリーチャーが3マナと相打ちしたならば3マナの価値があります。これによって最終的に『相手より意味のあるマナが多い』状態になればライフを削れ、勝てるという考えです。
今回は繰り返しですが変装により『全員3/2/2護法2を多用する』環境が発生すると思います。そのため、2マナでパワー2のクリーチャーはどれほど弱くても価値があると思いますし、逆にパスは勿体なさ過ぎます。同じように4マナのクリーチャーでも変装に対して一方的に強く出れるカードの価値も高いですね。『テンポ環境』という令和の新たな秩序が確立されている今、変装を中心に考えやすい今回はそれに慣れやすい環境であるともいえるかもしれません。カード評価や実践において強く意識してみてほしいなと思います。


・現場(土地)を確保しよう

テンポや変装絡みの話のまとめになりますが、今回は土地が一方的に止まってしまうとかなり厳しい展開になることが予想されます。特に5マナですね。大型変装を表にしたり素出ししたり、変装+手掛かりの起動/表返りなどアクションの質が明確によくなるのが5マナ以降です。相手は5マナに先に到達して表になる権利があるのに、こちらはいつまでも4マナのまま『4マナ変装ルール』に縛られているとそれだけで負けてしまいそうです。
そのため、今回は土地を減らさず、何なら増やす方針でいいかもしれません。アグロであっても変装や手掛かりでマナは使えますしね。
今のところは16には絶対したくなくて、18も検討、くらいの心づもりでいます。気を付けましょう。


・犯行の手口(アーキタイプ)の閑散性

アーキタイプ説明をしっかり読んでいただいたみなさんはもしかしてお気づきかもしれませんが、今回『よくわからない』という単語を多く使いました。
そこからもわかるように、今回は『用意されているアーキタイプ/メカニズム』で綺麗にまとめることが困難に思います。
要素が足りていなかったり(緑黒、緑青)、漠然としすぎていたり(緑白、赤緑、白黒)、別にまとめる恩恵が薄かったり(赤黒、青黒)などですね。
『越境性』の点でもイクサランに比べると明確に疎となっています。探偵と手掛かりだけは関連性が互いにあるメカニズムですが、他の要素はメカニズム単位での絡みが薄く、結果越境性があるようなカードもほぼ生まれない状況となっています。
この2点により『証拠収集というカードだけ取ってまとめればいい』『容疑ロードを取って容疑で固める』のような明確な、あるいは単純なピックはできなくなっていると判断しました。
『赤白絡みでちゃんと横並びして殴る』『大型の変装で制圧することを目指して戦う』『変装で乗り越えれないタフネス3+フライヤーで攻める』など、『原始的』な戦略を軸にしてある程度発表されているメカニズムから逸脱したデッキデザインと評価をしなくてはいけないと感じています。
その中で、赤のアグロ系、白の横ならべ系はカードも単に強く、またアーキタイプに当てはめても強いカードが多くこの2種を軸に考えるとやりやすいし人気が出ると予想しています。

・ラヴニカ、しかし単色の可能性

ラヴニカといえば『ギルドの二色環境!』というのが定番だったと思います。多色のカードが多く、ギルドごとの戦術がかなりはっきりと決まっていたためですね。
しかし今回は、多足のカードが多いのはそのままで、ギルド(2色)の戦術がどれも前述した通り定まりきっていないことから2色に拘り過ぎる必要もないんじゃないかと思っています。
特に注目している理由が、これもラヴニカの定番なんですが『混成マナ』カードの存在ですね。今回は『表は2色だが変装コストが混成マナなので実質単色で使えるカード』と『分割カード』がそれぞれ存在し、実は多色カードの中に15枚単色カードが紛れ込んでいる状態になっていると考えています。
これらのカードを『うまく単色でも扱える』色に偏りがあった場合には、ピック中に無理に2色にするのではなく単色あるいはそれに準じた指針にするのも候補としてはあるんじゃないかなと考えました。
特に赤は『混成変装』がどれも優秀で、また表だす魅力もやや少なく無理なく採用できます。逆に血滴りの救済者や放蕩の悪漢は表で出せないとちょっと弱めのカードにもなるため黒の単色とかは少し厳しいかもしれません。
まぁ最も赤は競争率激しそうなんで単色になるほどそもそも色がとれなさそうですがw


・犯人は現場に舞い戻る

これはまだちゃんと計算してない考察ではあります。
何かというと『コモンの総数』が少ないことによる影響ですね。
コモンの総数が少ない結果、同じコモンが出やすくなる=その中でも強いものは顕著になるという現象が発生すると思っています。そのためコモンを用いた展開の再現性があがり、『あのコモン毎回見るじゃん』みたいなことが発生しやすくなるのかなー、と考えています。
もしそうなるのであれば、『よく見る状況、毎回使われるコモン』に対して一定の対策といえるカードの評価はちょっと上がるのかなと思ってます。例えば、証拠収集あるいは墓地回収のコモンが実際にはめちゃくちゃ強かったらグリフィン乗りの追跡者の評価があがるなとか血滴りの救済者めちゃくちゃ出されるからヴィトゥ=ガジーの捜査員でしっかり止めよう、とか。まだあんまりきれいな関係見つかってないですが環境が進むにつれて気にしたい要素だと思っています。


以上で『カルロフ邸殺人事件』の序文を終わろうと思います。
気づきポイント、変装がもたらす影響がやはり大きくてめちゃくちゃ書いちゃいました。

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