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  読書感想文たち

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ぼくが書いた読書感想文たちをまとめています。ちなみに「がんばって、大人になって」という作品はありがたいことにポプラ社様主催の「かがみの孤城読書感想文コンテスト」にて賞をいただいて…
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#本

氷菓/米澤穂信〜読書感想文〜

氷菓/米澤穂信〜読書感想文〜

岐阜県のとある進学校・神山高校。
珍奇な部活が多く、毎年の文化祭に全力を入れている、曰く"普通の学校"。

特別棟4階の端にあるのは古典部部室。

4人の高校1年生が、今日もここを舞台に
薔薇色か、あるいは灰色の高校生活を謳歌する。

やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に。上記をモットーにかかげるのは
主人公・折木奉太郎。
同校の卒業生でもある姉・折木供恵の勧めで、

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ただいま神様当番/青山美智子〜読書感想文〜

ただいま神様当番/青山美智子〜読書感想文〜

「わし?わし、神様」
「お願いごと、きいて」

目の前に謎の老人が現れ、突然そう言われたら。
しかもじぶんの腕にデカデカと神様当番なんて文字が書かれていて、お願いごとを聞かないとそれが消えないと言われたら。

私ならたぶん、「なんで自分ばっかり!」なんて言って、すごく落ちこむ。

何かが欲しい、誰か。1番目の主人公・水原咲良。
彼氏はおらず、友人は結婚し、合コンに呼ばれてもあくまで数合わせ。
大好

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琥珀の夏/辻村深月 〜読書感想文〜

琥珀の夏/辻村深月 〜読書感想文〜

夏と言われれば、何を思い浮かべますか?
という質問を、過去に何度かされたことがある。

私は去年から、この質問に「琥珀の夏だ」と答えることにした。

夏の終わりを感じたときの、あのなんとも言えない切なさ。

この後の人生、あと何十回も夏を体験するだろうに、まるでもう二度と会えないものとの別れ告げるかのような寂しさ。

その寂しさを感じる前に、
夏がまだまだ終わらないうちに、
琥珀の夏を読みたいのだ

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読書感想文 "medium 霊媒探偵 城塚翡翠"

読書感想文 "medium 霊媒探偵 城塚翡翠"

ああ、ぼくは今いい本を読んだんだな。
感想を一文で書くならこれだけで十分だ。

本を読み終わり、閉じ、裏表紙のあらすじを改めて読む。話の内容を全て知ってから読むあらすじは、また一味違う。

それからもう一度表紙を見直す。
本を閉じ、あらすじを読み直し、表紙を眺める。
この一連の動きは、読書に満足したぼくがよくとる行動だ。

本格ミステリが好きなぼくにとって、タイトルの時点で「霊媒」と入っているとど

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