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「感情を翻訳してゲームをデザインする」プロセス その1

思えばいままで、「何かゲームを作ろう」という動機からは、ゲームを作れたことが一度もない。

最初に自分がワクワクする世界観があって、それを他の人にもワクワクしてもらうためにはどうすればいいだろう、と考えてゲームをデザインしてきた。

同様の目的を達成するためには、マンガや小説を用いることも考えられる。しかし自分のもっている能力やリソースを鑑みて、ある世界観の持つ魅力を、最も伝わるように翻訳する手段としてゲームを選んだのだ。

どうやったのか。前作の『WHO IS JACK THE RIPPER? -切り裂きジャックは誰?-』を例に順を追ってそのプロセスを追ってみる。

①世界観を見つける

どこで「切り裂きジャック」という世界観と出会ったのかは忘れた。Wikipediaを巡回していたときかもしれない。今流行りの『FGO』の関連記事にたまたま目がついたのかもしれない。

忘れたけど、たぶんその字面に心惹かれたのだと思う。何だかワクワクした。最初はこの程度でいいと思う。

②世界観を調べる

取りあえずWikipediaで「切り裂きジャック」を調べる。僕が何かを調べるときはまず、Wikipediaにあたる。

Wikipediaに記事があるということは、少なくとも1人は、無償でもそれを纏めて伝えたいという気持ちを持った人がいるコンテンツであるということになる。自分のワクワクが独りよがりではないという、ほんの少しの裏付けになるというわけだ。

一通り読み終わったら、ページ内のリンクに飛ぶ。Wikipediaなら何かしらリンクがあるはずだ。気になった言葉や出典へ、手当たり飛び回る。

切り裂きジャックのWikipediaからは、犯行が行われた場所である「ホワイトチャペル」や「シティ・オブ・ロンドン」のWikipediaや、切り裂きジャックの正体に迫る記事などが見つかった。これで世界観の概要を掴むことができる。

調べた結果、やっぱりそんなにワクワクしないな、と思ったらまた別の世界観を探せばいい。

僕はたまたま切り裂きジャックへのワクワクが継続して、これは面白い、となった。
「切り裂きジャック」事件は、まだ誰が本当の犯人かわからないそうだ。ミステリーだ。そしてそもそも、異国で100年以上も前に起こった事件なのに、現代日本でも一定の知名度があるって、すごい。

次にグーグルでも「切り裂きジャック」を検索し、漏れていた知識を補強する。当時の新聞記事の画像や、研究している人のブログが見つかる。一応ブックマークしておく。

③世界観を分解する

自分が「切り裂きジャック」のどこにワクワクしたのかを書き出してみる。ワクワクを言語化することで、それをゲームで再現するときのキーワードになる。

・正体がわからないところ
・捕まっていないところ
・犯行が真夜中に行われているところ
・被害者の属性に一貫性があるところ
・ロンドンで行われた犯行であるところ
・認知度が高いところ
・イメージ画像の雰囲気が良い感じであるところ

こんなところだろうか。
次にこれらを、共感してもらえそうかそうでないかで分類する。主観でかまわない。

共感○
・正体がわからないところ
・捕まっていないところ
・犯行が真夜中に行われているところ
・ロンドンで行われた犯行であるところ
・イメージ画像の雰囲気が良い感じであるところ

共感×
・被害者の属性に一貫性があるところ
・認知度が高いところ

ゲームに使うのは「共感○」の方になる。むろん、僕の感覚が世間一般と壊滅的にズレているという可能性も捨てきれないので、これは一旦の仮説だ。

少し先の話になるが、これらの「共感○」を再現するゲームを、モックでいいので作ることができたら、テストプレイをすることになる。その際にプレイヤーの反応を見て、イマイチだったらその要素は省いてしまえばいい。

思ったより長くなってしまったので、今回はここまでに。
次は分類した「共感○」を、ゲームに落とし込む過程を書いていく予定。

その②はこちら

ナイスプレー!