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雨の日、餃子の話

大雨の7月、前日から朝にかけ警報レベル4が出たため、保育園の登園自粛要請を受け、お休みしていた日のこと。


はじまり

夕方テレビを見ていると、餃子のCMが流れた。ホットプレートの蓋を開けると、じゅうじゅうという音とともにぶわっと蒸気が舞う。

「わぁーぎょうざだ、娘ちゃん、ぎょうざ、すちなんだよね〜」


娘のお食事事情

娘はたぶん、少し小食。たぶん、というのは平日保育園へ通っていて、保育園の先生曰く、″まわりのお友達が完食して褒められているのを見て、自分も、と頑張って食べている″という報告から(しっかり見てくださっている保育園の先生方、いつもありがとうございます)。

家や外出先でごはんを食べてもなかなか完食することがなく、お腹いっぱいになると自発的に「ごちそうさまでした」と言う。体型は平均的だけど、なんとなく娘のお食事事情について気掛かりだった。

そんな娘が、「ぎょうざがすち」と。

私は冷蔵庫を確認するため立ち上がった。


冷蔵庫の中は

立ち上がってすぐに、「いや、まず餃子の皮、常備してない」と気づく。小麦粉から作るなんてしたことはないし、タネにするひき肉も無かった。夕飯は焼鮭とサラダと味噌汁にしようと思って買い置きしていた。

時計を見ると16時、今からスーパーに行くのは面倒くさい。しゅるる、と気持ちが萎みそうになる。

ぐっと堪えながら外を見ると、意外にも雨足は弱く、空から光も見えている。テレビを見ると、警報は解除されていた。

今なら行ける、セブンイレブン。

3歳の誕生日にプレゼントした機関車トーマスとその仲間達をまっすぐ縦列に並べ、うっとりしていた娘に声を掛ける。

「餃子、買いに行く?」

顔を上げて、うん!と言いつつ、トーマスに夢中でなかなか動かない娘を着替えさせ、黄色い長靴を履かせ、手を繋いで1本の傘をさし、薄暗い小雨の中、明るく光るネオン看板を目指した。


おかいもの

数分歩き、雨に濡れた傘を置く。自動ドアの前で、ぱぱっと雨を払い、足下滑りやすいから気をつけてね、と伝える。アイスクリームの誘惑に駆られる娘を惣菜コーナーまでどうにか誘う。

あった、ラスト2つ。

1つ持ってレジへ行き、顔見知りの店員さんに挨拶をして会計をお願いする。娘は本日初めての外出のためかニコニコしており、愛想よく「こんにちはぁ、ありがとうございます!」と言って、ぴょこぴょこ飛び跳ねながら餃子を受け取っていた。

帰り道、雨はすっかり止んでいた。娘は、大きな水たまりを見つけ「ぴっちぴっち ちゃぷちゃぷ らん!らん!らぁーん!!」と走って飛び込み、私の右足をびしゃびしゃにした。


いただきます

予定通り、サラダ、味噌汁を作り、ごはんの横に餃子を2つ置く。

イスによじ登りながら横目でメニューを見て、「あ、ちょうは娘ちゃんのすちなやつだ〜やったー」と言う。そうだよ、さっき買いに行った餃子だよ、と答える。

たっぷりとドレッシングを掛けたレタスを頬張った後、餃子に箸を伸ばす。しっかりと掴んで、大きな口を開け、3分の1ほどをぱくりと頬張る。もぐもぐもぐ、ぱく、もぐもぐもぐ。


ごちそうさまでした

途中、味噌汁をこぼし少し泣いたものの、順調に食べ進む。お茶を飲み、ふー、と一息つく。

「はー!ぴっかぴかになっちゃった!」

とにっこりしながら、じゃーん!とお皿を見せてくる。

えー!すっごい!全部食べたの!と驚くと、先ほどよりも、もっと得意気な顔になる。お腹いっぱいになった?と聞くと、うん!と良い返事をもらえた。

にこにこと満足そうな娘へ、食べ終わったら何て言うんだっけ?と聞くと、大きな声で応えてくれた。

「ごちそーさまでした!」



蛇足——-

娘にとっての″適量″をきちんと考えたいなぁと思います。ただなかなか難しい。

小さな子どもを連れて雨の日(雨が上がった直後)に外出するのは、私にとっては少しハードルの高いことです。有り体に言うと、面倒くさいとも…。まだ子ども用の傘やレインコートを持っておらず、そろそろ買わないとなぁ、という気持ちにもなった梅雨の出来事でした。



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