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メリクリって言えなくて・・・第5話(最終話)

ついに初執筆の写真小説を最終回を迎えました。
書きたい思いが増え長くなってしまいました。

前回までの小説はこちらから。
第1話はこちらから→https://note.com/zinjya_reinbow_/n/nc2353d1ca322
第2話はこちらから→https://note.com/zinjya_reinbow_/n/n12222baecf94
第3話はこちらから→https://note.com/zinjya_reinbow_/n/na713bcd8f50e
第4話はこちらから→https://note.com/zinjya_reinbow_/n/n3ec6d407fc32

それでは。

※この物語はフィクションです。

最終話 あの場所



クリスマス当日を迎えた。昨日のイブは急転直下からの千載一遇なチャンスを得るという波乱万丈な一日だった。
朝7時まで眠れなかった彼は、今日どうなってしまうのかという不安を覚えた。まぁ何とかなるか。そう思いながら顔を洗いにトイレに向かった。
トイレから戻っても彼女は寝ていた。
ふと寝顔を見てもすっぴんを知っていたからやっぱりかわいかった。
スマホをいじったり、ぼーっとして退屈な時間を過ごしていた。

朝8時。彼女が目を覚ました。「あぁ。おはよう。」眠たい目をこすりつつ、声をかけてきた。目が完全に開いていない。
「おはよう。よく眠れた?」と彼が聞くと、「まぁ。何とかね。」と答えた。断じて言うが、この二人は付き合っているわけではない。ましてや、昨日それぞれの相手に別れを切り出された二人だ。
「今日とりあえずどうする?」と彼が聞くと、彼女は「まず、朝ごはん食べたい。」といった。
朝からあの食事処やってんのかなぁと思いながらも食事処へ移動した。
何だこの賑わいは。朝からすごいじゃないか。
お金がない若者カップルが聖なる夜を共に暮らしたり、子供が走り回ったり、家族と一緒にクリスマスを過ごしサンタさんの代理というテイのお父さんが頭を抱えていたり、ソワソワしていたりと、夜よりは減るが、十分にぎわっていた。
朝食を楽しみ、お茶をすすっていると彼女から「あのさ。少し汗を流したいし、準備したいからお風呂入ってもいいかな?」と聞いてきた。
彼は、普通な顔をして「オッケー。そしたら、10時過ぎにロビー集合にしようか。」といって解散した。

解散したものの、彼は風呂に入るか迷っていた。昨日は入ったし、別に入らなくてもいいんだよなぁ。でもゆっくりくつろぎたいなぁ。まぁいっか。と思い結局は入らないことにした。


また、休憩室に戻り彼の本領発揮を見せた。彼の仕事は、フリーで旅行代理業を営んでいる。主に社員旅行のために会社に赴いたり、クライアントの旅行キャンペーンの実施の相談などが業務の内容だ。だから自分の都合で休めるし、自分が受けたい仕事も決められる。彼にとってまさに天職と言える。
そんな彼は、この短時間の間にもし、彼主導になった時のプラン。そして彼女が行きたいところについていくプランをそれぞれ3つずつ考案した。
どうなった場合でも、対応できるようにするためだ。

彼がプランの構築が終わり、時計の針に目をやると、9時35分だった。
そろそろいいか。そう思った彼は、着替えに向かった。
着替えが終わり、スマホの時計は9時55分。少し早すぎただろうか。
彼女が来るまでの間、お土産を物色していた。買うわけではないが、見るのもかなり好きだった。そんなことをしていると、彼女がやってきた。
「お待たせ~!」
今日も元気がいい。服装に目をやると彼は、衝撃を受けた。ベージュのコートを手に持ち、赤のチェック柄の裾が長めのビッグシャツに黒いTシャツそして、青いジーパンにスニーカーというファッションだった。さらに、髪型は、少し高めのポニーテールだった。
彼が衝撃を受けるのは無理がない。
なぜなら、彼にとってドストライクのファッションと髪型だったからだ。
髪型は言ったかもしれないが、ファッションについては言った試しがないからだ。あわあわする彼を見て彼女は、「どしたの?大丈夫?」と聞いてきた。我に戻った彼は、「あぁ。大丈夫大丈夫。」と言って「それじゃいこっか。」と言って会計を済ませて外に出た。

クリスマスのみなとみらいは平日であったから。サラリーマンが多めだが、ファミリーや少し痛いカップルのほうが多くいた。
そんな人たちを横目で見つつ「まず何したい?」と聞いたら、彼女は、「うーん・・・。大体行ってるもんなぁ・・・」と言って困っていた。そうだ。二人とも地元に近いんだから行ってないわけがない。「それじゃあ・・・」と発しようとした瞬間に彼女から、「そうだ!せっかく会ったわけだし学校行かない?」。さすがにどのプランにもない提案だった。学校の観光名所なんてあったか?寺子屋時代のお寺とかのコトか?彼は、旅行業の知識をフル検索してしばらく考えてもやっぱり出てこない。
そこで、「なんか観光名所の学校でもあるの?」と問いかけた。彼女は、「違うよ~私たちの母校だよ!」
嘘だろ。ってか入れないだろ。そう言おうともしたが、遅かった。
「あぁもしもし~。卒業生の彼女ですが、本日伺わせていただきたいのですが。」まぁダメだろう。そんな簡単に入れるわけがない。そう思っていると、「本当ですか!ありがとうございます!失礼しまーす。」と電話中の彼女が言った。
ダメだったでしょう。という前に「オッケーだって!」と言った。
噓でしょ。恥ずかしいぞ。そんな思いが交錯したが、彼女が喜ぶんだったらいいかと思い、あきれながらも、「そっか。じゃあお土産買わないとね。」と言って駅に向かった。
後から聞いたら、彼女はウェディングのライターやヘアメイクなどを担当し、取材力やアポの力はそこら辺の人よりも強いらしい。

私立海華横須賀学園高校。
それが彼と彼女の母校である。
横須賀の市街地から少し離れたところにあり、海の近くにあった。
男女共学で、文武両道・一毎入魂を校訓としていて何事にも全力で取り組みなさいという意味だった。
運動部も文化部も人気で遠くの地域、横浜方面だけでなく藤沢方面からも通学する生徒が多い高校だった。
そんな母校に着いた。部活動の生徒がちらっと見る中でも、堂々と卒業生として歩いた。そんな中先生などに軽い挨拶を済ませて、「授業はないから自由に見てね~」と先生から言われた。軽すぎないか?と思いつついろいろ回った。

彼女とともに座って高校時代のことを思い出しながら、いろいろ話した。
きのうはなし足りなかったこと。思い出したこと。思い出せばきりがない。
しかしながら、思い出や感傷に浸っている時間はあっという間に過ぎた。

そして校門を出て学校から最寄り駅への帰り道。
彼女は、少し寂しそうな眼をしていた。
「もう、お別れか・・・」そう言うので、彼は「また会えるよ。」そう言った。本当は悲しかったけど本当のことを言ってしまったら彼も泣いてしまいそうだった。
「とりあえず、連絡先を交換しよう。」彼はそう言った。彼はそれだけでも十分だった。
しばらく話しながら歩いていて駅に着いて彼女から「ここで解散しよっか。」そう言った。
「そうだね。それじゃあまたね。気を付けて。」と言って彼は反対側のホームに向かった。

あの帰り道夕焼けを見るのが苦しかったが、どこか清々しい顔を彼と彼女はしていた。

終わり。


皆さまありがとうございました。
目を止めて下さったすべての方に厚く御礼申し上げます。

この小説はいずれその後を描いたスピンオフか第2章となる作品を執筆したいと思います。お楽しみに。

そして、あるものとないものを融合した新しい写真小説をこれからも執筆出来たらなと思ってます!

次回は、小説じゃない何かを更新しようかな?
それではまたー

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