スズメの巣 第3話
第3話 うちだけじゃないからね
あいさつ回りから1週間後。
定例ミーティングが行われた。
あいさつ回りの各チームの報告をしあった。
愛田と金洗は2つの団体に訪問した。
1つ目は、全日本麻雀連盟。
代表は、プロ歴60年、麻雀界のレジェンド。豪田 剛。
1代でこの団体を築き上げた。ベテランとルーキーを積極的に対局させ相互の勉強として打たせているそうだ。
リーグ・ザ・スクエアの実践も行えるように1チーム4名の男女混合で1年間のタイトル戦も新設された。
金洗も所属しているそうだ。
豪田いわく、実戦がやはり大切と語り選考は実践も入れるべきとアドバイスを頂いたらしい。
2つ目は、雀士協会だ。
代表は、麻田将吉で、プロ棋士としても活躍中だ。
麻田が、ゴルフのようにツアーで最強を決めればいいじゃないか。と考えたことからリーグ戦はなく、アマチュアでもツアーで優勝5回をあげると推薦プロとなり、プロ雀士に認定されることもある。
個性が分かれる5団体だが、麻雀への熱は誰にも負けないと意気込んでいる。
報告を終え、橋口は発した。
「挨拶も終えたところですし、早速チーム編成について考えましょう。」
愛田は「ドラフト会議で8チームが参入する。かつ、もしかしたら選手も入れ替えがあると思われる。予め候補は、絞っといてもいいんじゃないか。」
橋口は「そうですね。各団体男女5人ずつ絞っときましょうか。」
金洗は提案した。
「ベテランと若手が一緒に戦えるチームのほうが強いと思うんです。世代別に絞っとくのはどうですか?」
「そうだね。各世代1人ずつ選抜しましょうか。」
「そうだな。もし良かったら俺が集めたリーグ・ザ・スクエアの選手及びスタッフのデータを使ってみるか?鳳さんはアドバイスをお願いします。」
「かなり情報量あるからね。実際戦ったこともある人もいるし何とかなるかぁ。」
チーム選手だけでなく、監督の情報も網羅されていた。
ましてや、来期参入チームの情報もあった。
すごすぎる。こんなに愛が深いんだ。橋口は感心した。
「こんな細かくよくできましたね。」
「趣味で集めていたんだが、役立つかな?」
「十分すぎるでしょ。」
「すごすぎます。」
オフィスがオーという声に包まれた。
橋口はふと気付いた。
「そういえばチーム名とかどうしますか?」
「たしかに。他のチームが決まってるのにねぇ。」
「私アイデアがあるんですけど・・・。」
「なんだ。金洗。」
「JOYシカタンスってどうですか。」
金洗は笑顔で言ったが、その他3人はあまりいいリアクションではなかった。
「○○しか勝たんってあるじゃないですか!それを用いたんですけど。」
「そのアイデアはいいよなぁ。ただねぇ・・・。」
「ちょっとそのまますぎないか?」
うーんと迷っていた。
橋口がスマホを検索してピンときた。
「こんなのどうですか?JOY V-deersとか。しかを動物の鹿と考えてdeerとして考えたんですけど。」
すると3人から「いいじゃん!すごいねぇ。」
「うん。そうしたら違和感はないな。」
「いいねぇ」と納得したようだった。
「では、チーム名はJOY V-deersでよろしいでしょうか。」
「異議なし」と3人がそろった。
さて脱線はしたが、誰を候補にするか。
「候補者についてはドラフト会議終了後に、全員公表するつもりです。」
「そうだな。見える化は大切だな。」
「一応10年区切りぐらいにはなりませんか?それで4世代と特別枠を設ける感じでいいと思うんだけど」
「確かにねぇ そのほうがいいと思うなぁ」
また迷ってしまった。
「3人でとりあえず候補を書いてもらっていいですか。私はまだわからないので・・・。できれば3世代+特別枠ぐらいに分けてもらえれば」
「よし分かった。直感がつながる場合もあるしな。」
「もしあれだったら、タイトルも書いといてもらってもいいですか?」
「じゃあ僕は振興会、雀士協会を書くか。」
「俺は、電現と競技を書き出してみよう。金洗は全日本を頼む。」
「分かりました。任せてください!」
ホワイトボードに名前が書かれていく。
その間に、橋口は選考方法を考えていた。
正当に評価できる方法は何だろう。もしかしたらあの方法ならいけるかも!
メモを取り始めた。
メモを書き終えたところで、金洗が呼んだ。
「うーみんできたよ~。」
「オッケー。これはすごい。」
ホワイトボードには男女40人の名前が書かれていた。
「各団体3世代と特別枠にはなったがそれぞれ書くことが出来たぞ。」
「すごく迷ったけどねぇ。」
「ありがとうございました。助かります。」
そう言って頭を下げた。
「私も選考方法について考えてみました。出場した大会の成績をポイント化するんです。」
「どういうこと?うーみん?」
「例えば、優勝したら100ポイント加算するとか、2回戦進出もしくは卓内トップしたら5ポイント加算するとするの。すると、今年乗ってる人もわかるし判断材料になりやすいわけ。本当は1年間としたいのだけど、今シーズンは6月いっぱいまでの短期決戦で判断したいと思ってる。」
「なるほど。そうしたら今年乗ってるかわかるな。」
「だけど、橋口さぁ開催されない現タイトルホルダーはどうなるよ。不公平じゃないか?」鳳が訪ねた。
「その開催されない期間の王者についてはあらかじめ加算はしておきます。アドバンテージと言いますか。」
「なるほど。過去だけじゃなく今を見るってわけかぁ。」
「それなら分かりやすいね!」
「ではそのように進めていきます。」
橋口は、ふうと一息ついた。
第4話へ続く。
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