大臣スタンプ
仕事というやつはスタンプで決まる。
どのような素敵な事も、国の利益になろうとも承認がなければゴミ同然。
どこの会社も国もそうだろう。
私も国の大臣として15年以上も判子を押し続けている。
経済、農業、政治に物流、全て私の判がなければ民は動くことはできない。
実際、長年この仕事をしていると王よりも国を動かしている実感がある。
簡単な仕事だと思うだろうがそんな事はない。それこそ最初のうちはミスもあった。
間違えて判を押してしまって気がつかなければ大惨事になるところだったのさ。
それがどうだ、今は見間違えるほどの仕事ぶりだ。
全ての書類の内容を把握し、判子を押すスピードを計算して手早く、なおかつミスなく進められている。
最初は100件程度の処理が、今では1000件の書類を処理している。
すごいと思わないかい、私は世界一の働き者だ。
だが、私も老いには勝てなくてね、私は後日引退して若い子が新しく大臣になる。
今私の隣で書類の処理を手伝ってくれている。真面目で誠実で飲み込みも早い。
このひたむきさ、私の若い頃を思い出す。
おや、順調かと思いきや彼がミスをしたようだ。どれどれ、ほぉ、どうやら判子を押し間違えたらしい。
私も昔よくやったよ。ちょうどいい、引退する前に彼に教えておく事があった。
判子を押し間違えたら、書類は捨ててしまえばいい。そうすれば誰も気づかないし、気付こうともしないさ。承認がなければ、ただのゴミなのだから。
記事もデザインも作ると喉も乾くし腹も減ります。 皆様ぜひご支援よろしくお願いします!