虚無の町

この町には何にもない。

コンビニも、カラオケも、ファミレスもない。

変哲もない一本道、交番、スーパーくらいだ。

犬は無駄に吠えるし、神社の鐘はよく響く。

刺激もなけりゃ夢なんて抱けない。

何も知らず都会に憧れて皆んな町を去る。

帰ってきたやつもいないし、連絡もしてない。

俺だってそうだ。

こんな牢屋みたいな場所から早く去りたい。

こんなにつまらない人生を望むはずがない。

輝くネオン街を見たい。

綺麗なお姉さんを見たい。

小洒落たデザートに、カッコいい服も欲しい。

いつも自分を縛り付ける、この町が大嫌いだ。

だから早く。

今度こそ、次こそはと思い始めて、もう60年だ。

最後に見たのは、白い天井だった。


記事もデザインも作ると喉も乾くし腹も減ります。 皆様ぜひご支援よろしくお願いします!