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エッセイ:大ちゃんは○○である51

受けたオーディションの数は数えきれない。
本当にたくさんのオーディションを受けたし、
数えきれないくらい落とされた。
オリジナルビデオ・映画・時代劇・ドラマetc 。
行く前はいつだって自信満々で、
『落ちるわけない』と思って臨むのに
なかなか結果に結びつかない日々。
オーディションの受かり方なんて分からないから
とにかく監督の印象に残ることだけを考えて、試行錯誤の繰り返し。
何十人、何百人と役者を見る中で
あとで振り返った時、「そういえばあの子もう一回呼んでみようか。」
と監督に思い出してもらうにはどうしたらいいのか。
人の第一印象は7秒ほどで決まると何かの本で読んでからは
部屋に入って座るまでが勝負だと思い、奇抜な服を着ていったり
信じられないくらいピッチリした七三分けにしていったり
他の人がかけていないような眼鏡をかけていったり前日にめちゃくちゃな量のニンニクを食べていったり(なんじゃ、それ)
色々なことを試みてみた。
それが正解だったかどうかなんて分からないし、印象を残せたかどうかなんてことも分からないが
ベクトルの向きが違っていたとしても、その時は自分なりに必死だった。
明らかに『おかしいだろ』と自分で自分にツッこんでしまうような時もあるにはあったのだが。
そんな、オーディションに落ち続ける日々ではあったものの
そんな僕にもいよいよというのか、ようやくというのか、初仕事が舞い込んでくることになる。
事務所のスタッフから伝えられたのは、役こそ端役なものの
なんとなんと映画のお仕事だったのだ。
事務所に所属してから半年ほどが過ぎた頃だった。

つづく

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