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呱呱坠地ーーきちんと「生きている」ことが、一番の誕生日プレゼント

(1024字・この記事を読む所要時間:約3分 ※1分あたり400字で計算)

【呱呱坠地】

ピンイン:gū gū zhuì dì
意味:赤子が産声をあげて生まれてくること。

『きちんと「生きている」ことが、一番誕生日プレゼント』

 ○月○日。

 カレンダーを眺めていると、見慣れた日付が目に入り、今日は自分の誕生日だということに気付かされる。

 「ああ、また一年生きたんだな」


 大人になってからの誕生日は、ほとんど毎年一人ぼっち。
 子供の頃はあんなに特別だと思っていた○月○日という日は、今や365日の一日でしかなくなっている。

 いつものように起き、支度をし、働きに行く。
 日課をこなし、帰路つき、あくびを一つ。

 「せっかくだから」と小さなケーキを買おうかと考えるも、それがかえってわざとらしくてなんか嫌で、結局いつもの夕食を食卓に並べる。


 普段と同じ。
 他の日々と変わりない、人生の通過点。

 「でも、私はまた一年生きたんだな」


 年齢の分だけ使ってきたこの身体と心。
 幼い頃と比べると随分くたびれてきたようだが、それはきっとたくさんのたくさんの物を抱えてきたからだと思う。

 決して健やかに生まれたとは言えないこの肉体は、ちょっとした刺激でもさんざん私を苦しめてきた。
 成長が遅くなかなか他の人と同じことが出来ず、持病の発作は周りを困らせ、それが更に自分を孤立させた。

 「なんでこのような形で生まれたのだろう」と、自分の誕生を恨むことなんてしょっちゅうだった。


 でも今、私は感謝している。
 「生きること」を叶えてくれたこの身体に。


 私の両目は、高く広がる青空、暖かい日差し、愛する人達を見せてくれた。

 ちょこんと顔の真ん中に佇む私の鼻は、コーヒーの香り、干したての布団の柔らかい匂い、ピリリとした真冬の朝の空気で、胸いっぱいの心地よさをくれた。

 勇気を出そうと決めた瞬間、私の両足は夢を叶えるあの時、あの場所へと運んでくれた。両手は休むことなく、未来を創ってきてくれた。

 今日も私の口は目一杯笑う。口元が笑顔になると、世界が輝いてキラキラしてくる。それを私の口は知っているんだ。


 「特別」とは何だろう。

 かつての私にとっては、それはガチャガチャとした音楽、ぐるりと自分を囲む友人、山のようなお菓子だった。

 でも、今の私にとって、「特別」は健康、平和、何気ない日々

 それだけ。


 それだけで、十分過ぎるほど幸せで充実なのだ。

 きちんと「生きている」ことが、一番の誕生日プレゼント。


 そう悟った瞬間、私は自分がまた一つ成長していることに気付き、安らかに夢の世界へと入っていく。


 ハッピーバースデー。

 誕生日を迎える、全ての人々に。


📚命に、喜びを


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