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方土异同ーー語学学習は、パラレルワールドの自分探し

(946字・この記事を読む所要時間:約2分 ※1分あたり400字で計算)

【方土异同】

ピンイン:fāng tǔ yì tóng
意味:地形や慣習、文化が異なる様。

『語学学習は、パラレルワールドの自分探し』

 

 私は、2人いる。


 このことに気付かされたのは、会社でのある出来事。

 いつものように働いていると、突然中国のお客様から電話が。
 中国の方なので自然と中国語で対応したのだが、通話終了後、顔を上げるとなんと会長が私のことをじぃーっと見つめていた。
 何かやらかしたのかと思ってヒヤヒヤしているとーー

 「おい竹子ぉ!お前、中国語めっちゃ上手だな!!!」
 

 一瞬、頭がフリーズした。
 「ありがとうございます」と答えようとはしたけれど、そもそも私は中国生まれなので中国語は母語そのものだし、謙遜して「まだまだですよ……」と言うのもなんか可笑しい。

 ぐるぐる考えていると、「うん、竹子が中国出身だというのは皆知っている」と上司がフォローを入れてくれた。

 「けれど、中国語を話している時の竹子は人が変わる。
  日本語を話している時と全然違うんだ」

 「そうそう」と会長が隣で相槌を打つ。
 
 「何か別人のように見えるんだよなぁ!」


 ああそうか。

 電話時、そこに座っていたのは「中国人の竹子」だったから。
 「日本人の竹子」ではない、普段見慣れない私の姿が突如現れたから、皆が不思議で新鮮な気持ちになったのだろう。


 なるほど、私は2人いたのだ。


 そういえば、同一人物だとしても話す言語によって何となく雰囲気が異なると感じていたが、それはきっと言語ごとに違う「その人」が存在していたからなのではないか。

 だとしたら、語学学習はひょっとしたら「パラレルワールドの自分探し」なのかもしれない。

 今の世界から分岐し平行して存在する別世界に住む、「他国民の自分」を見つけ出す作業なのだ。


 外国語学習においては「モノマネ」が大事で、単語、文法や発音はもちろん、雰囲気までもそっくりと模倣することが上達の鍵とされているが、これはきっともう一人の自分ーーその言葉を母語とするネイティブとしての自分ーーを引き出す為だろう。


 言語の数だけの自分が存在する。

 そしてその気になれば、どんな自分とだって出会える。


 今後、私も3人4人と増えていくのだろうか。

 韓国人の私。
 ドイツ人の私
 アメリカ人の私。
 インドネシア人の私。
……


 様々な語学学習を極められれば、「体内連合国」でさえ作れそうだ!(笑)

📚色んな「私」を見つけてみよう!






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