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同調圧力という悪魔とどう向き合うか

今日、タレントの光浦靖子さんの随筆を読んだ。光浦さんの言葉、とても勇気があるし聡明で素敵だと思った。

いま、世の中を包む恐れや不安

一般化しすぎるのも良くないとは思うけど、
今、日本は心にも金銭的にも余裕がなく、不安でギスギスして焦っている状態の人がとても多い気がする。

私も失敗に関する過度の恐れや不安について、自分なりに感じたり考えた事がある。

会社で出会った、恐れや不安に取り憑かれた人々

例えば以前の私の直属の上司は、関係が上手くいっていた時は「俺たち2人は価値観が同じだから」を連発していたし、上手くいかなくなって以降は「行き違い自体、絶対起こったらあかん事やから」を連発していた。

またある後輩は、指示した事をやらない事を注意しただけで「あなたと働きたくない」と反抗し、上長に私を担当から外すように進言したりした。注意も一度や2度ではないし、パワハラのガイドラインも把握した上で、心理学の技法の「Iメッセージ」で伝え、当時の自分として、他にやれる事はあったのかと考えても分からない位、少なくとも持ち時間の中でやれる事は、全てやった。

ただ一つ強く感じたのは、もしかすると後輩は、「万が一、一度でも注意されたら全ては『ゲームオーバー』だ」と認識していたのかもしれないと思うと、あの過剰なまでの攻撃性もそれなりに納得はいくし、以降何をやっても完全に無視で彼の心には全く何も届かなかった事も、そう言う見方をしていたとしたらあのリアクションも仕方ないとも思えてくる。

過程としての行き違いやミス

私の感覚では、行き違いや間違い、多少の価値観の違いについて「例え行き違いや思い通りにならないことがあっても、謝って対応するとか、一往復で伝わらないなら二往復三往復と会話を重ねて最終的に目的を達成出来たらそれで良い。だから過程としての行き違いやミス、捉え方や価値観の違いは避けられるに越した事はないけど、起きてしまったら仕方ないもの」として認識している。(もちろん、法や命に関わらなければ。そして、取り返しがつかないような逆鱗が存在する事も、もちろん認識はしている。)

けれど、もしかするとそれは、私が海外旅行に行くのが好きだし、旅先で珍道中に遭うのも危険でなければ、むしろそれなりに楽しめるタイプだからそう思うだけなのかもしれない。

価値観は本来違うもの。だからこそ、恐れず伝えあいたい

良きにせよ悪しきにせよ我々日本人は、普段大きな価値観の差を体感する機会はあまりないけれど、本来相手が旅先で出会う外国人でも同じ会社の日本人でも、多かれ少なかれ個々人で価値観が違うのは当たり前で、だからこそ、気持ちや考えを言語化し、傷つけない形や範囲で伝えあう事が大事だと私は思っている。

その為にも私は本を読むし、語彙力や表現力に対しとても興味がある。また一方で国籍問わず感情を言語化するに足りる知性に欠け、会話の代わりにいきなりキレたり暴力や権力で表現してしまうタイプの人と関わることを苦手としている。

世渡り上手気分と引換えに、窮屈な生き方になってない?

そんな私は、上司や後輩のように、「一度注意されたら相手を社会的に抹殺しないと気が済まない」とか「一度でも行き違いが起こったら、一生信頼関係は修復不可能」という生き方はどんなに窮屈で恐怖だろう、と思わずにはいられない。例えそれが一般的には権力者やいわゆる「長い物」に目をつけられるリスクを避ける為の世渡り上手な生き方だったとしても。

だから、私は「あれ?もしや伝わってない?」「これってどういう事?」と思うと、ついついサラッと確認や素朴な疑問として、世間話のように聞いてしまう事がある。それは私が童顔の女性なこともあって相手がたまたま許してくれているだけなのかもしれないけれど、私の経験上、聞けばむしろ意外と「よくぞ聞いてくれた!」という感じで話してくれる人の方が多い印象さえある。勿論その事に対し、上司が良い印象を持っていない事は分かるのだけれど、話が行き違ったままそのまま先に進むことの方が私としてはよほどリスクだと思うから。

同調圧力という悪魔

本来一人一人価値観が違うのは当たり前のはずなのに、言葉を交わす事で解釈の違いが露呈する事を恐れ、縮こまりながら腹の探り合いをし、疑心暗鬼の結果、行き違っていく。「会話をすることで解釈や価値観の違いが露呈すること」をまるで恐ろしい悪魔のように捉えている何か。それこそまさに同調圧力だと私は思う。

退職し、全てを無くした今の私は、正直めちゃくちゃ怖い。でもいままで社内でがんじがらめになってきた同調圧力を気にしなくて良い清々しさもある。

随筆を通して感じた光浦さんの不器用ながらも前向きに同調圧力とも向き合いながらスモールステップで進もうとする意思に私はとても好感が持てたし、聡明だと思ったし、何より勇気を貰った気がした。光浦さん、ありがとう。

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