映画感想『PERFECT DAYS』
最高に素敵だった!
登場人物同様、市井を生きる者としてこんな風に日々を描けるヴェンダース監督の才能を改めて感じて嬉しかったなぁ。
同じ様に繰り返されるだけに見える毎日はどの日も必ず過去とは違う。
人生は振り返る事も多いけど新しい今日を見つめる大事さが誰にもきっとある。
この作品を観て来たラスト、平山の車内に流れるニーナ・シモンの 『Feeling Good』にやはり感動はあった。
全編通して選曲は個人的にドンズバ!
パティ・スミス、ルー・リード、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・・・もちろんド定番アニマルズの名曲だって何故か平山の掃除用具がぎっしり詰まった車内に流れると何処かまた違うイメージに聴こえるから不思議だ。
その音楽も含めてだが登場人物たちの背景を深く想像させる描きにワタシはとてものめり込んだ。
特に平山がまるで別世界に住むかの様な実の妹に会うシーンは格段に関係性を想像させる。
自分の想像では恐らく平山の実家は或る程度規模のある会社を経営していて平山はその実家(或いは父親)とは相性が合わず家を捨てる。麻生祐未演じる妹は兄の代わりに実家を継ぎ取締役として経営に携わる。
平山も妹もお互いを嫌いなわけでは無いが価値観の相違は多少ありそうだ。
が、あの平山が妹を抱きしめるシーンは正直映画史に残る素晴らしいワンシーンと言っても過言ではない位に胸が震えた。
あの平山の行動にどれだけの意味と深さが感じられたか。
切ないが何処か安堵があり、そして妹への愛情を示しながら今の道を選択した自分を改めて肯定するシーン。
妹が「これ好きだったでしょ?」と兄に菓子折りを渡す場面がこの兄妹の繋がりを語る上で凄く活きる。
1つ1つのシーンがそれぞれ意味深く、考えさせられるし想いを巡らされる。
ステレオタイプな物の見方や他者との予期せぬ交流を挿し込む事で平山の人生を価値ある物に見せる描き方はとても巧みだ。
若者との何気ない言動にも平山と言う男の側面が幾つも垣間見られ楽しい。
そして平山と出会う事で彼らの世界もまた広がる物語性が好きだ。
台詞を極力削ぎ落とし生きる姿で魅せる手法こそ世界に通ずる1作なんだな。
仕事の種類に拘らず真摯に向き合う姿勢にこそカッコ良さが生まれる。
かなりヴィム・ヴェンダースっぽいと思うんだけど・・・
都内、台東区(押上?だったら墨田区)と渋谷区にあるTHE TOKYO TOILETプロジェクトのトイレ数か所間を平山の車が走り、平山と姪のニコが自転車で走ったりとか決して広くない範囲だがロードムービーの様相を呈している所がちょっと面白いなって感じたんだよね。
そして台東区それもあの日本最古の浅草地下街・・・今でもあのまま残ってたのか!と衝撃しかなかったが懐かしくてちょっと嬉しくなった。
あの地下に一歩足を踏み入れたら「えっ?大丈夫?入っていいの?」と言わんばかりの異空間が待ってる。知らないと勇気いる感じが堪らんのよね。階段降りちゃえば全然大丈夫なんだけどね(笑)
まぁ取り敢えずアタシはあのスナックの常連になりたい。
ママの『天城越え』聴きたいしモロ師岡と呑みたいしあがた森魚のギターで歌いたいよー!
モロ師岡大好きなんだよー(*≧▽≦)bb
ホームレス・田中泯も最高だ!
とにかく役者が好み過ぎた。
役所さんも脱いでるしねww
てか、役所広司と三浦友和の影踏みとか・・・普通無い(笑)
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風呂は入らなくてもトイレに行かない人なんて居ない。
誰しもが多分ホッとする場所。
一番自分な場所だから。
そしてトイレは唯一の平等で誰しもが同じだと感じさせる場所なのだ。
今、気持ち良く使っている公共トイレは誰かが真摯に磨き上げた場所だと思える人間で居たい。
昔、日本のトイレが汚かった頃を知っている者としてね。
それはそうと、カセットテープってそんなに高く買い取ってくれるの?
ウッソ~~~ん!
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