子供を勉強好きにする授業
今回は「子供を勉強好きにする授業」について書きましょうか。世の中の大半の子供達は天才や秀才になれますが、それには面白い授業が必要です。
例えば『クラリネットを壊しちゃった』と言う童謡があります。この歌が立派な教材となります。
最初は「ド・レ・ミ」が出ないのが、後半には「全部の音が出ない」と状況が悪化する。お父さんに買ってもらったのに、バレたら怒られるからどーしよう…….と言う歌詞です。多分学校で皆さんも歌ったでしょう。
子供心に「壊しすぎだろ!」と呆れたのですが、僕が推奨するのは「何故クラリネットの故障が悪化したのか?」原因をみんなで真剣に調べる授業です。
先ずは「クラリネットを振り回している」ケースが考えられます。オモチャの様にブンブン振り回せば、そりゃあ故障します。
ところが本人は「とっても大事にしていた」と証言しています。保管状況の現地調査が必要ですが、ここは本人の証言が正しいものとして、他の可能性を探ります。
浮上するのが「演奏に夢中になってぶつける」ケースです。目を瞑って演奏に没頭すれば、ぶつけた事に気付かない可能性は充分に考えられます。ここは演奏している様子を映像でチェックしたい所です。
さて、本人が普通に演奏をしていた場合には、どの様な可能性が考えられるでしょうか。
そもそもクラリネットとはどの様な楽器かを調べてみます。すると、グラナディラと言う非常に硬い木で造られる木管楽器だと解ります。そして、クラリネットに多い故障として「木管のひび割れ」が挙がっています。これはクラリネットが冷えた状態で37℃近い息を吹き掛ける結果、温度差で木管にひびが入ると言うトラブルです。
フランスが最も寒くなる季節は日本と同じ1~2月で最低気温は2℃。だいたい東京と同じくらいの気温の様です。この子の証言から、クラリネットはこの子の部屋で大切に保管されていたと推察されます。そして徐々に故障が悪化したのであれば、「寒い部屋にあったクラリネットに熱い息を吹き掛けた為に、木管がひび割れした」と言う原因が最も有力となります。
つまり、本来はクラリネットを買い与える時に、父親は「正しい保管方法」を教えるべきだった。そして、子供部屋に暖房設備を設置すべきだった。それを怠ったと言う事は、クラリネットの故障は「父親の責任」と判断されます。
そして気になるのは、すべての音が出なくなったクラリネットは既に木管部分が大きくひび割れている為に、修理するよりも新しく買い直した方が良いとなります。何年前に買ったのかによりますが、保証期間内であればメーカーに連絡して新品と交換して貰えるかを交渉すべきです。
クラリネットの相場は10万~20万円とかなり高額ですが、安い物は1万5千円程。恐らく子供用として1万円台の品だったと推察されます。「壊れた」とカミングアウトされた父親が果たして買い直すかと言うと、子供部屋に暖房が無い状況から考えて正直難しいです。それを判っているから「どーしよう」と困っている訳なので。
ではまったく絶望的かと言うと、そうではありません。この子は続けて「オ パッキャマラド~」と何やら呪文を唱えています。実はこれはフランスの古い歌で「歩め、仲間よ」と言う意味です。つまり、壊れた事を知った父親は「息子よ、前に進め」と励ますのです。きっとクラリネットが直る方法を一緒に考えてくれるでしょう。
ここから学べるのは、「悩み事は一人で抱え込まずに、相談した方が良い」と言うとても大切な事です。
ここまで子供達が考察を重ねて自分で調べる事が、本当に勉強が好きになる授業です。
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