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noteのスキが腐ってる
noteに限らずSNSってそういうもんなんだろうけど書かずにはいられない。
先日noteに読書感想文を投稿した。
私が最も敬愛する作家ダンセイニ卿の「芸術論」の感想文だ。
記事を公開する前はこの記事にはスキがつかないと思っていた。
ところが意外、6件のスキを貰った。
noteのすみっこで細々と息を吸っている私にとって、0が6は大事件だ。
当然、スキした人がどんな人かは気になる。
もしかして、私が思い込んでいるより、私の魂の作家ダンセイニ卿の読者は多いのではないか。
この人は貴重な得がたい同好の士なのではないか。
インターネット万歳、SNS最高!
そして相手のプロフと記事を確認して、ははあ、となって納得した。
6人中4人が小説書きだった。
どう考えてもダンセイニ卿を知っていそうもない。いやなんなら私の記事を読んだかどうかもわりと怪しい。
なんのことはない。読書感想文の書き手を自分の小説の潜在的な読者とみなして宣伝のためにスキしていたというわけだ。
そもそもダンセイニ卿の芸術論は書店流通なし300部限定の同人出版本だ。
しかも不人気で在庫が掃けるまでに数年を要している。
読了したのは全世界で100人もいないのではないかとさえ思っている。
そこから私の零細記事を見て、さらにスキしてくれる人、とふるいにかけられると考えれば0になるという私の予想はそう的外れなものでもあるまい。
まあ、感情論といえばそうなのだが、要するにちょっと裏切られた気分になったということだ。
仲間かと思ってうきうきで相手のところに飛んだら宣伝だったのだから。
これ誰かがノウハウとして広めたんだろうか。
せっかく頑張って書いて全世界に向けて公開したのだからより多くの人の目に留まってほしい、そのために努力するというのは痛いほどにわかるのだけれども。
明らかに自分の記事を読まないで爆撃みたいにスキされても嬉しくないよ。
さて、話しとしてはここで終わってもいいのだけども、せっかくだから今回スキくれた人の記事をちゃんと読んでスキしてみようと思う。
きみたち感想がほしいんでしょ? だったらたまには真面目に読んで感想を書いてみるのもいいでしょう。
もしこの6人のなかに私の記事を最後までちゃんと読んでスキしてくれた人がいたら、決めつけてしまってごめんなさい。
1人目
兎耳コロさん
ダンセイニ卿を知ってる確率0%。
ちゃんと読むと宣言しておいてしょっぱなからごめん、NFTとかAIとか女子とか虚飾にまみれたプロフィールで、記事を読む気にどうしてもなれなかった。
私は書き手と作品は切り離して考えたいタイプなのだけれど、だめだった。
なんか上手いことやっているようなので私ごときが読まなくてもいいでしょう。私とは違う世界で頑張ってください。
2人目
桑島明大(あっきー)さん 7/28文学フリマ香川出店
フリマ出店とあり、またプロフに「2023香川菊池寛賞奨励賞、四国新聞読者文芸年間最優秀賞、2022伊豆文学賞優秀賞など」ともあることから、少なくともまとまった数の作品を仕上げているのは間違いなさそう。
ダンセイニ卿を知っている可能性が体感40%ぐらいある。
記事の先頭にあるこちらを拝読した。
『大いなる一瞬のための70万時間』【短編小説】
主人公の僕が場末の酒場で哲学的な老人と問答を交わす短編作品。
ポイントは2つありそう。
1つめ。
「死が確実だからこそ、我々の情緒は確実なのです」
作者にとってはなにかしらの確信をもって発せられたと思われる台詞。
残念ながら私にはよくわからなかった。
2つめ。
対話を打ち切って去る僕。
老人は主人公によりソクラテスと仮に命名されている。
ソクラテスといえば対話であり、この短編が最後にあえて対話を打ち切ることで何かを表現したかったのは確かなところだろう。
ではなぜこのオチが私に響かなかったのか。
その、最も重要なはずの対話が自然なやりとりでないからだ。
とても別人格の2人が対話をしているようには感じられず、作者が決められた話の流れに沿って台詞を言わせているようにしか読めなかった。
まとめとしては、表現したいことがハイレベルすぎて凡愚には理解しきれなかった、ということにしておく。
3人目
aoiさん
苦悩人、らしい。読まれる記事を求めて苦悩してそう。
ダンセイニ卿を知ってる可能性10%。
拝読した記事はこちら。
正論は、なぜ響かないの?
私にとっては「韓非子」の説難(ぜいなん)で解決している問題。
はい、次。
4人目
すみなすものはさん
「覚醒バディ」という小説だけが記事になっている。
キンドルで電子書籍としても売っているようだ。
noteで試し読みして続きが気になったら買ってね、ということだろうか。
ダンセイニ卿を知ってる確率3%。
小説を拝読。
スマホに入ってるAIに自我が目覚めて持ち主とコミュニケーションする話。
公開されている35話のうち、25話まで読んだ。
話の進め方が散漫というか適当。
とにかく思いついた話をぶちこんでいるだけのように思えた。
ギブアップしてしまったが文章そのものは読めないこともない。
私は完結していない話しはどうも読む気にならない。
5人目
さちさん
プロフに、元保育士で有吉佐和子文学賞入賞、とある。
今回の6人の中では最もダンセイニ卿を知っている確率が高そうな気がしないでもない人。30%。
固定記事が短編小説になっている。
素直にそちらを拝読した。
「おはよう、私」①(短編連作小説 & 音楽)第1話
全3話を読了。
1話につき1人、3人の日常と心の底に抱えた問題、そこから一歩踏み出すさまを描いた話。
第1話の主人公が手術して妊娠できなくなった会社員。
第2話は育児中の働く女性。
第3話はかわいいものが好みの中学男子。
音楽が同時に公開されていてセットで鑑賞してほしいようだが私は聴いておらず、以下は小説単体での評価となる。
日常と心理描写がリアル。
実際にリアリティがあるかどうかは別として読者にそう感じさせる文章だ。
なかなかよく書けているのだが……題材に興味がない。
40台のおじさんはこの小説の想定する読者から最も遠いところにいるのではないか。
なぜダンセイニ卿の文章世界に浸っているような人間に、見て! とこんな小説を持ってくるのか。
そうねえ、例えば第3話の主人公がロスジェネおじさんだったら多少興味をそそられたかもしれない。
結論としてはミスマッチでしたという他ない。
強いて言えば後天的な性差を超える程の普遍的な内容までは到達していないということだろうか。
6人目
kengpongさん
40作以上のショートショートと短編を記事にしている。
プロフにロスジェネおじさんと自己紹介があり、非常に私の好感度は高い。作者と作品は別物だが。
ダンセイニ卿を知っている確率20%。
さて、40作以上から何をチョイスするべきか。
処女作は作者の全てがつまっているものだ。
というわけで最初に公開している短編を拝読させてもらうことにした。
[短編小説]太廟・メガリス・八重干瀬
石垣島へサンゴ礁を観にいった主人公とその弟が不思議な島へ流れつき恐るべき体験をする話。
三題噺的な手法で作った短編とのこと。
こういうランダムにお題を抽出して話を作るのはプロを目指している人にとっては意味があるだろうが、書きたいから書くアマチュアには意味が薄いのではないかと思わないでもない。
旅の描写が丁寧で島へ上陸するあたりまではまあまあ読ませる。
全体の話しの流れがあまりにもありきたりなのと、化け物が現代人を食ってダメになるのが微妙に納得いかない。
うまいこと逆転する方法を思いつかなかったんじゃないの? という疑惑がぬぐいきれなかった。
もう1作。投稿が新しく三題噺でないものを。
[短編小説] 千畝川のおせんさん
主人公の僕が川の淵で不思議な女性の頼みを引き受け冒険をする話。
石垣島の短編同様道中の描写がよい。
それに加え、主人公の僕の心の動きと成長が読者に自然と受け入れられるよう、丁寧に描写されている。
冒険を経て心が成長し、義母へのわだかまりが昇華されるエンディングは爽やかな読後感を感じさせてくれる。
相変らず話しの運びに起伏や意外性はないが、すべてのお話しがそうでなければならないわけでもない。
処女作よりはこちらが断然好みだ。
以上で6人の方の記事の感想を終える。
しかしあれね、普通に文章が上手くて何らかの賞に入選したことがある人ってそこらじゅうにいるんだね。恐ろしい世の中だ。
スキ爆撃なんて迂遠なことをしなくても、いまはココナラなどのサイトで感想を書いてもらえるサービスが売られている。
そちらを利用されたらどうだろうか。
あるいは私に投げ銭してくれたら書きますよ、感想。ただし一切の忖度はしない。
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