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「まんが道」は手塚治虫抜きには語れない!
今回はまんが家のバイブル
藤子不二雄A先生の傑作「まんが道」をお届けいたします。
おいおい…
手塚治虫専門チャンネルがなぜ「まんが道」なのかとお思いでしょう。
でもね、
「まんが道」って手塚治虫なんですよ。
手塚治虫を語る上で「まんが道」は絶対に外せないコンテンツなのであります。特に手塚治虫の名前は知っているけど、どんな人なのかあまり知らないという方にはぜひ見ておいて欲しい作品でもあります。
なぜそう言い切れるのかも含め今回は「まんが道」の魅力をお届けいたしますのでぜひ最後までご覧ください。
それでは本編いってみましょう。
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さぁまず「まんが道」がどんな作品なのか見ていきましょう。
今更…ご存じかと思いますが、
あの「ドラえもん」の作者藤子不二雄先生の自伝的漫画作品であります。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57680518/picture_pc_19e2e35e4c864fe92eb7f1ac2e433b17.jpg)
といっても藤子不二雄先生とは、2人の作家の共作ネームでありまして
一人は藤子・F・不二雄先生、
そしてもう一人は藤子不二雄A先生であります。
そのA先生の方の代表作がこの「まんが道」なのであります。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57680530/picture_pc_1ef72ca4a40149bdcf77457122b00e5c.jpg?width=800)
ホントに今更ながらの常識的な事なんですけども、もしかしたら今の若い方たちはそれすらも知らないかもと思いましてご説明させていただきました。
漫画を語る世代からするともはや当たり前の事でありますが、
ここを知っておかないと「まんが道」の面白さが堪能できませんので
ここはもう鉄板でお願いしますね。
さてそんな『まんが道』ですが…
1970年に『週刊少年チャンピオン』で毎週2ページという短いページ数で
連載が始まりまして、一旦完結した後、
『週刊少年キング』→『藤子不二雄ランド』と
連載が引き継がれて一時終了します。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57680618/picture_pc_5a497502624a0c356137de837466c2d3.jpg)
さらにその続編として『ビッグコミックオリジナル増刊号』にて
「まんが道」のタイトルを外して連載された
『愛…しりそめし頃に…』と続き2013年についに完結した、
あしかけ43年に及ぶ超大作自伝マンガであります。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57680661/picture_pc_70f7aba2466c97e6ffc1ab3bb11149d8.jpg?width=800)
藤子不二雄A先生と藤子・F・不二雄先生のふたりをモデルとした自伝的作品でありマンガ業界を描いた一大金字塔作品でもあり
マンガ家を目指す者でこの作品を読んでいない者はいない
知らない者はいないであろうと思われるもはや通過儀礼的作品であります。
これまでに手塚先生も
「がちゃぼい一代記」や「紙の砦」「ゴッドファーザーの息子」など
半自伝的、漫画家を志す作品を残してきておりますが
それでもなぜ「まんが道」が別格かと言えば、
それはやはり戦後の人気漫画作品やマンガ家達が実名で登場し
加えて当時のエポックメイキング的な出来事がリアルに進行し
戦後の漫画史を極上のエンタメとして見せつけてくれることにあります
そしてなにより若き青年たちの漫画にすべての情熱をかけた
青春物語が激熱!!
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57680799/picture_pc_066fb09721e58272f220a7b2224efbd8.jpg)
ここが他の漫画と一線を画す決定的な違いです。
とにかく熱い!熱すぎ!
見ているだけで漫画を描きたくなるくらい熱い!
紹介しているこっちが熱くなっちゃうくらい熱々の
青春群像劇がたまりません!
戦後という揺れる時代に未来に何の保証もない「漫画」という世界に
まさに裸一貫、素っ裸で突っ込むワケですよ。
満賀(A先生)は新聞社に就職していて、なおそれを辞めて、上京して、
マンガ家を目指すんです。
今のような漫画家というお仕事が確立されていない時代にです。
むしろそんなお仕事なんてとバカにされている時代にです。
そんな無謀とも言えるドラマが最高に激熱で心躍っちゃうんです。
日本版「スタンドバイミー」的な青春群像劇が果てしなく面白い!
とにかく熱い!
もうね漫画家とか関係なく
「夢」を目指す全ての人に読んで欲しい傑作です。
今の若い方が読んでも絶対ハマると思いますよ。マジで。
特に40代以上の方なら100%ハマります。
40代以上の方で「まんが道」読んでないって勿体なさすぎ!
間違いなく青春の扉がこじ開けられると思いますので未読の方はぜひ読んで欲しいと思います!
そんな「まんが道」において
後の児童漫画界の巨匠となる藤子不二雄先生が
漫画にのめり込むキッカケとなる
「人生を変える一冊の本」に出会うことになります。
それが…
戦後漫画の革命的名作、手塚治虫の「新宝島」であります
昭和20年、戦争の焼け跡が各地で残る日本全国の若者に
漫画の同時多発テロを引き起こさせるほどの
インパクトを与え、この国の漫画が変わった瞬間であります。
この「新宝島」の計り知れない衝撃については別記事もありますので
ぜひご覧になってみてください。
そして「新宝島」の影響をモロに直撃した世代がこの藤子不二雄であり
藤子A先生はその時の衝撃をこう語っておられます。
「偶然、高岡の本屋に1冊だけあるのが光って見えて、
2人で読んで大感動した。戦争が終わって2年。
そんな漫画見たこともなかった。映画が大好きだった僕にとって、
それは紙に描かれた映画。これなら自分でもやれると思った」
まさに歩むべき道が決まった運命の出会いを果たすわけです。
「人生を変える出会い」この衝動の原体験が
本作「まんが道」にこれでもかと詰めこまれているんです。
この感動、衝撃は読んだことがある人ならわかるはず。
もう最高に熱いです! アチィです!
そして神様「手塚治虫」との出会い
これは本編においてとてつもなく大きい存在として描かれております。
高校生だった藤子少年が手塚先生に手紙を書き
そして本人から返事をもらうんです。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57861111/picture_pc_46f5cd1a9d33b8eb9ad752c258c97710.jpg?width=800)
そしてあろうことか憧れの神様手塚治虫の宝塚の自宅へ出向き
さらには、会う事ができて
さらにさらには、仕事部屋に通されて「来るべき世界」の生原稿を見せてもらうなどまさに漫画のような展開が続きます。
![画像13](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57862502/picture_pc_3ac2ccc22cd98adeb87a979d512916be.jpeg)
今では完全にあり得ない展開ですけど
個人情報とかそんなのほとんどない時代の当たり前の日常といいましょうか
手塚先生の自宅も公表されていたし、それこそプロ野球名鑑には
王さん長嶋さんなどの住所も平気で載ってましたからね(笑)
まぁすごい時代であります。
そして手塚先生とお近づきになり
トキワ荘では手塚先生の使っていた部屋を譲り受けたり
原稿のお手伝いをしたり
とにかく「まんが道」にとって手塚治虫の存在は別格であり
手塚治虫抜きには成立しないマンガになっております。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57861181/picture_pc_75f697e3621bcc13c91777e2140cedba.png)
ですからある種手塚治虫を神格化してしまうのはしょうがない。
それこそ世間の「手塚治虫=漫画の神様」
…と言うイメージを刷り込んだ張本人は藤子不二雄A先生ですからね(笑)
手塚先生が無茶苦茶な性格をしていたのに神格化されていたのも、
まんが道のおかげといっても決して大袈裟ではないでしょう。
こんなこと言うと怒られますがマジです…(笑)
そもそも天才や変態って常人の理解の及ばない性格であることが多いですから手塚先生の性格が悪いってこととは直結しません。
凄まじいエネルギーを放つ手塚治虫はその影響力の大きさから
廻りを振り回すだけのパワーを持ち合わせていましたし
普通に接して他者と折り合いなんて付けられるはずがないんですもん。
そんな規格外の天才を間近で見てしまったわけですから
神様扱いしてしまうのも無理もありません。
漫画家のバイブルとなった「まんが道」で神様になっているわけですから
それ以降の漫画家さんにとって手塚治虫はもはや伝説
空想上の生き物のように手塚治虫を祀り上げてしまうのも仕方ないことなのかもしれません。
しかし手塚先生死後、素顔の手塚治虫が方々で描かれ出します。
おそらく「もう時効だから語ってもいいだろう」って感じで神様の素顔が徐々に暴露…明らかになっていきます。
その極めつけが、こちら「ブラックジャック創作秘話」
神様とは思えない素の人間「手塚治虫」像が描かれています。
もう我儘で頑固で廻りの人々に迷惑をかけまくるただのおっさんの姿は
とても神様とは思えない人物像であります。
だけど憎めないんです、、、
語る人それぞれが自慢話のように手塚治虫伝説を語っているところが
熱いんです。
ダメ人間エピソードが披露されてもなお、
さらに神格化されるのは手塚先生の人格のなせる業ではないでしょうか
小難しい性格だったかも知れないけど
やはり憎めないいい人だった証拠です。
手塚治虫の人物像を語る記事もいくつか紹介しておきますので
併せてご覧になってみてください。
そして極め付きはこちら
改めてその変態ぶり天才ぶりも伝説ではなく本当だったんだということが明らかになっていく超絶本。その超絶な仕事ぶりはまさに鬼神!
同じ漫画家を目指す男は手塚治虫を敵対視しているんですが
認めたくないけどあまりもの凄さに認めざるを得ない天才の仕事っぷりに何度も白旗を上げてしまうというこれまでになかった視点で描かれた傑作。
とても人間業ではない偉業が続々と描かれている「チェイサー」
こちらも併せてご覧ください。めっちゃ面白いです。
という訳で「まんが道」にとって手塚治虫は切り離せない存在であることが分かって頂けたかと思います。
ちょうど1巻のあすなろ編のラストが手塚先生宅を去るところですから
読んだことがない方はぜひこの1巻だけでも読んでみてください。
抜群に面白いんでね。おすすめです。
手塚治虫抜きにしても純粋にこの「まんが道」は面白いので
その魅力を語る上で外せない要素を3つご紹介しておきますね。
まずは「松葉」ですね。
これはトキワ荘近くにあるラーメン屋さんというか中華料理屋さん?で、
とにかく「松葉」が出てくる。
そして何かあるとラーメンを喰う。
そしてそれが死ぬほど美味しそうという「まんが道」=「松葉」と言っても
決して大袈裟ではないくらい絶対に外せない要素のひとつです。
売れない漫画家たちの胃袋を満たしたトキワ荘メンバーゆかりのラーメン屋
めちゃくちゃ本編でもキーポイントになってきますのでこれは要チェックであります。
ちなみにこの「松葉」現在でも現役で営業されておりますので
機会があればトキワ荘マンガミュージアムとセットで足を運んでみることをおすすめします。
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57861504/picture_pc_06cd7a065709ab874827998f833b8d8c.jpg?width=800)
体験記もありますのでどうぞ。
続いては「ンマーイ」ですね。
これも松葉とセットでもいいんですけど
とにかく「ンマーイ」が美味しそう(笑)
マジで美味しそうでビビる。これほどまでに美味しそうな表現あるだろうか
![画像9](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57862403/picture_pc_eb0adbbd95f64f21bf115489cd9c28c5.jpeg?width=800)
確実にまんが道を読んだ半分以上の人がこの「ンマーイ」言いたくなります(笑)
そして
これ初めて読んだときビビリましたもんね。
50音の「ん」から発音するってどんなん?…って思いません?
もう「ンマーイ」は「まんが道」の流行語大賞になるくらい鉄板のフレーズですのでぜひ覚えておきましょう。
そして最後は「鼻息」の粗さですね。
これも初めてみた時、衝撃でした。
「鼻息粗い」って言葉の表現を
漫画化したらこうなるんだっていう描写。
本当に「鼻息」がフーンって漏れてますからね(笑)
![画像10](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57862420/picture_pc_0f00d7ac3ae5c8600893fc4bb891be8c.jpeg?width=800)
主に映画を見終わったあとに出てくる描写なんですけど
ボクも昔、TVでジャッキーチェンの映画を観終わったあとなんて
こんな感じでしたもんね(笑)
だからめっちゃ分かる。
ジャッキー観た後は我慢できなくなって意味不明の腕立てしたり
逆さに宙づりになって腹筋したり鼻息粗くしてTVに影響されていました。
こういうちょっとした青春描写がたまらなくいいんですよね。
精神揺さぶられます。ほんと。
「まんが道」の鼻息こちらもぜひ注目して読んでみてください。
![画像11](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57862434/picture_pc_f82991dff52d4de299a48837dc997db9.jpeg)
3つ紹介と言いましたけど、オマケで高岡の公園も追加ですね。
序盤の方なんて何かあればすぐ高岡の古城公園に行くんですけど
これがまたいいんです。
とにかく公園描写が熱い!
熱い!
公園に行くだけでこんなに熱くなるマンガって他にないですよ。
![画像12](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57862506/picture_pc_5188f57e0ca377d3e8d8bc28ca5c6952.jpeg?width=800)
これね、ちょっと説明できない魅力があるんで
もう読んでもらうしかないですね。
1巻なんて公園ばっかりですからもう1巻読んじゃってください。
そしたらボクが言ってること分かりますから(笑)
とにかく「まんが道」って青春ドラマなんです。
一途に何かに飲めりこむ姿であったり、共有できる友達と夢を語り合ったり
そして好きな女の子への想いであったり、
誰もが一度は経験するであろう青春の一コマを
真正面から恥ずかしげもなくゴリゴリに描いてくるんですね。
ここに漫画だけじゃない青春人生ドラマが乗っかって
単なるマンガオタクの物語だけじゃない
魅力的なマンガとなって見る者を惹きつけているんだと思います。
そして「まんが道」にハマってしまうもうひとつの魅力に
キャラクターは藤子不二雄タッチなんですけどキャラ以外は劇画、
リアルタッチというアンバランスさがあります。
設定や背景、小道具に至るまで昭和の歴史の資料的価値として
紐解けるんじゃないかと思えるくらい精密に再現されていて非常にリアリティがあるにも拘わらずキャラクターは藤子不二雄おなじみの児童マンガのタッチというアンバランスさ
でもそれがより親しみやすさを加え
非常に奇妙な世界観を醸し出していて異様にハマります(笑)
気づいたら「まんが道」の持つ独特の世界観に没入しちゃってる
不思議な魅力を持ったマンガだと思います。
というわけでまだまだ語りたい「まんが道」ですけど
手塚先生が登場する1巻だけでもぜひ読んで欲しいと思います。
案外「まんが道」で手塚治虫を知った人も多いかもしれないですし
「まんが道」キッカケで手塚治虫に
興味を持つキッカケにもなればと思います。
戦後漫画黎明期における日本漫画発展の歴史を追えるとともに
漫画に飲めり込んだ青春物語、ぜひご覧になってみてください。
さて今回ご紹介した作品はGAMANGA BOOKSの「まんが道」になります。
こちらは当時のカラーページまで再現された決定版で巻末には
著名人たちのコメントが掲載されている仕様になっております。
その他にいろんなバージョンで出版されておりますので
ご自身にあったスタイルで読むのが宜しいかと思います。
キンドルや文庫版が一番手頃なのでおすすめだと思います。
そして1982年に一時未完となった本作の続編として1989年に
「愛…しりそめし頃に…」というタイトルとなり正式な連載が始まっているのですが少年誌から青年誌へ連載の舞台が変わったこともあり、
それまでの少年誌向けの子供っぽいものから、
こちらは青年向けの「まんが道」になっております。
タイトルが違うので戸惑ったり敬遠したり、
はたまた「まんが道」とは気が付かなかった方など
案外読んだことがない方が多い作品ですが
列記とした正統な「まんが道」の続編であります。
大人になった藤子A先生の活躍もぜひご覧頂ければと思います。
そして「愛…しりそめし頃に…」2巻の巻末には特別編として
長く苦楽を共にした相棒、藤子F不二雄先生が亡くなった際に
A先生たっての願いで連載を休止して描かれた
「特別短編」が掲載されております
故・藤子F不二雄先生への溢れ出る想いが爆裂した感動短編
仲間でもあり、ライバルでもあり、
家族以上の存在とも言える最大の友へのメッセージ、
涙なしには語れない至極の短編は鬼熱です
ぜひその目を体験して欲しいと思います。
これを読むだけでも一見に価値ありです。マジで。
他には「まんが道」を読み解く上で参考になるガイドブック
こちらもおすすめです。
![画像14](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57862807/picture_pc_3ede0294f44ce9287d9b6be797a065c6.jpg?width=800)
2022年4月7日
藤子不二雄A先生がお亡くなりになりました。
その時の記事も載せておきます。
![画像15](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/57862848/picture_pc_9f8aac6e9fdd66f75417ee9d4b1c1847.jpeg)
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