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日本漫画の梁山泊「トキワ荘マンガミュージアム」に行って来た!

今回はついに日本漫画の梁山泊「トキワ荘マンガミュージアム」に行って参りましたのでその模様をお届けいたします。


アクセスですが
東京の西武池袋線「椎名町駅」から向かいました。
(都営大江戸線「落合南長崎駅」からも行けます)
改札を抜けますとすぐにマンガの聖地として案内板が出ておりトキワ荘の存在が街をあげての取り組みだという事がゴリゴリに伝わってきます。

トキワ荘の案内ポスター

それこそ至る所に「トキワ荘」関連のポスターや案内板があって町中がトキワ荘ゆかりの地としての町作りがされているのが非常に好感が持てます。
ファンならマジで激熱。

パンフレットも散策マップになっていて「トキワ荘」にまつわるスポットが一目で分かりますしこの町自体がもう完全にトキワ荘中心の町作りになっているんです。

椎名町駅にある散策マップ案内板

…そして驚くべきは当時の雰囲気が残っているような景色です。
閑静な住宅街といいますか昭和の街並みを感じさせる佇まいで
とても池袋の隣の駅とは思えない景色が広がっているんです。

良い意味で都会の喧騒を吹っ飛ばしてくれる空気感、とても心地いいです。
公園もあって、のどかで何屋さんか分からないお店もあって、そしてそのお店にもトキワ荘のポスターが貼ってあって、めちゃくちゃ地域密着って感じのいい雰囲気が感じられました。

道中「くみんひろば」にトキワ荘ゆかりのモニュメントがあったりトキワ荘ゆかりの地としての看板、案内板が数か所に設置されていて見ているだけでめちゃくちゃ楽しいです。
(実際に街中には数か所あるようで全部見て回ると相当時間かかります)

このようにトキワ荘の廻りには、たくさん見どころがあるんですがとても全部はご紹介できません。
ですからここでは、ここはぜひ押さえておきたい所、ご紹介します。


「トキワ荘マンガステーション」
ここはとんでもなく素晴らしいところでした。

一見すると見落としてしまいそうなしれ~っとした外観

トキワ荘関連の書籍約6000冊が自由に読める施設という建付けですが
この所蔵レベルがハンパじゃありません。

何冊置いてあるからスゴイとかそんなマンガ喫茶的なレベルじゃなく
希少性がマジでケタ違い。もはや資料レベルのラインナップです(笑)
ボクがこれまでに見た手塚治虫書籍に関してのラインナップで言えば
過去一です。見たことない本並んでます。
マジですごいところです。ココは。

あまりの凄さに、ここのお母さんにお話し聞いてみたんです。
そしたら、ここの所蔵物って元豊島区長さんが寄贈したものだそうで
その区長さんがガチの手塚ファンだったそうなんですって。
なるほど、そういうことね。
だから置いてあるものもハンパない!
お母さんも笑いながら「困ったもんだよね~」なんていいながら自慢気に
お話しされていたのがめちゃくちゃ温かさと愛情を感じました。

さすがガチ勢。レベルも器量もハンパないですね。
色んな意味で往年の手塚ファンの凄みを感じさせてくれました。
マンガ黎明期の頃からのガチファンともなれば、
そりゃあ我々のような素人じゃあ到底太刀打ちできません。
改めて本棚を眺めてみますとやはり置いてあるもののレベルがハンパない。
ファンならヨダレもんの希少本ばかりがこれでもかと並んでますからね。
ただただ心奪われる時をぜひここへ来て過ごして欲しいと思います。
(ぜひ動画でこのスケールをご確認くださいませ)

永井豪が描いた魔神ガロン

…でそんな区長さんの事が気になったので
この区長さんの事ちょっと調べてみましたら…
なんと、2023年の2月にお亡くなりになったそうなんですね。
ほんと、つい最近の事なんですよ。

しかも2月9日ですよ。2月9日!  
え?
ファンの方ならお気づきの事と思いますが
奇しくも手塚先生がお亡くなりになった日と同じ2月9日なのであります。
これは運命的なものを感じざるを得ません。

区長さんが最後に残してくれたもの、、、
それは「トキワ荘」関連の素晴らしい作品群…
手塚作品だけでなく藤子不二雄先生、石ノ森章太郎先生ほか
トキワ荘ゆかりの先生方の貴重な作品や資料がズラリ。
普通のオタクレベルじゃマジで返り討ちに合うくらいのレベルの所蔵品を
ぜひ生で、見て、触れて、感じてみて欲しいです。
マジで一見の価値ありですよ。

そして続いては「昭和レトロ館」
ここは昭和の歴史・文化を次世代に継承する施設だそうで、ボクが伺ったときは「これも学習マンガだ!展」という展示をやっておりまして、これもとても面白い展示でしたので改めて別記事でご紹介しようと思います。

つい最近できた昭和レトロ館(パンフレットにも載っていない)

「昭和レトロ館」を暫く進むと、
さぁようやく見えてきました「トキワ荘公園」
否が応でも目につくカラフルな「トキワ荘へようこそ」の看板
思わず見入ってしまいます。
実は「トキワ荘マンガミュージアム」とはこのトキワ荘公園という公園内にある建物になっておりまして園内にはトキワ荘関連のモニュメントが
いくつも並んでいます。

記念碑や歴史紹介…
公園を取り囲むようにしてポスターや案内版が並んでいました。

こうやって見回してみますと本当に「トキワ荘マンガミュージアム」の存在が、それこそ先ほどご紹介した豊島区長の高野さんの悲願でもあって
借金まみれの街復興のシンボルでもあったそうなんです。
トキワ荘とはただのミュージアムではなく地域の夢
そして町全体がミュージアムというまさにトキワ荘の町
それが「椎名町」なんですね。

この背景には、
当時のトキワ荘出身者の漫画家の皆さんは、とてもご近所さんと仲良くしており子供たちとキャッチボールしたりめちゃくちゃ下町のお付き合いをされていたそうなんですね。
だからご近所さんからすると日本を代表するレジェンド漫画家というより
昔遊んでくれた近所のお兄ちゃん的な存在らしいんです。

そのお兄ちゃんたちの誇りを失わせないための
その象徴としての存在が「トキワ荘」なんですって。
とてもいいエピソードを聞いたんですけど…。
(…だったら最初から解体せずに保存しておけば良かったのに、なんて思っちゃうんですけどこれも財政予算の関係だったのかぁと大人の事情を勘ぐってしまうというのは独り言………………。)

そしていよいよ「トキワ荘ミュージアム」です。

ちょうどボクが行ったときは入館できなかったんです。
…というのも幼稚園、小学低学年の子供たちの貸し切りになっているらしくてその時間は入れなかったんです。

「えええええ?」「くっそ運が悪いなぁ」っても思ったんですけど
(そもそもが予約入館なので確認しなかった自分が悪い…)
ある光景を見てその思いが吹っ飛びました。

それはトキワ荘の前でトキワ荘の担当の方々が
子供たちの前で説明してるんです

「このアパートはね、君たちが大好きなマンガを描いていた偉い先生たちが住んでいたアパートなんだよ」

みたいな感じで。

子供たちにトキワ荘の説明をするスタッフの方々

「このアパートがなかったら
もしかしたらマンガが読めなかったかも知れないんだよ」

「このアパートがあるから今みんなが普通にマンガが読めるんだよ」


それこそ沖縄の修学旅行でひめゆりの塔での戦争体験を伝えるかのような
ゴリゴリの解説していたんです。

マンガの歴史を!しかも幼稚園児(小学低学年生)に!
これはある意味感動しましたね。
めちゃくちゃいい取り組みだと思います。

マンガの素晴らしさだけでなく
こうした歴史を伝え教えていくってめちゃくちゃいいと思いました。
マンガの成り立ち、そして発展の歴史を
教育の一貫、学習の一環として子供たちに伝え体験していくって
まさにマンガの聖地としての正しい活用法なのではと感じました。

いや~いいですね。
こういう活用、貸し切りならどうぞウェルカムの大歓迎であります。

そしていよいよ入館なんですが今回は「まんが道」展ということで
入館者にどれが入っているか分からない缶バッジがもらえました。
ボクは「まんが道」のめちゃくちゃ好きなシーン!
上段右端の熱い背中のこのバッジが入っていました。
もうこれだけで入館した甲斐あります。感動。(シークレットが気になる)

入館者プレゼント

入ってまずは「トキワ荘年表」
改めてこの錚々たる顔ぶれ…なんなんですかマジで。

化け物じみた実力者たちが並びすぎて怖すぎ。
イカつすぎてドン引き。
この破壊的なインパクト、今の若い子たち分かるのかなぁ…

あえて、今の例えで言えば
ワンピースと進撃の巨人とスパイファミリーと呪術廻戦の作者が
同じアパートにいるような…
いや全然違う、、、全然違う、ケタ違いで違う。

大谷翔平とイチローと松井とダルビッシュが同じチームにいるような
いや…もっとすごい
これもすごいんだけどもっとすごいのよ。
あえて今の若い子たちが知っている例えで言いかえると…

蜀の五虎将軍が全員曹操の魏に行ったような
いや違うなぁ…

結論はどう考えても、あまりにも凄すぎて例えようがありません。
とにかく日本漫画の歴史がここに集結していたってことです。
漫画界最大級のレジェンド、豪傑たちがこの場所にひしめき合ってる感じ。
世界のクリエイター、アーティストの歴史を見渡してみても
こんなのミラクル中のミラクルな出来事
あり得ないって事をぜひ肌で感じ取って欲しいです。

そしてトキワ荘内部に入っていきますが
まずトキワ荘のアニキ分、通称テラさんのお部屋。
4畳半という昭和のサイズ感は今でこそ極狭の間取りですがボクも上京したとき4畳半だったんでこの雰囲気とても懐かしく感じました。

そして出ました!
こちらが元手塚先生のお部屋で藤子不二雄先生のお部屋!

手塚治虫と藤子不二雄の部屋


まんが道ボードが置いてあって執筆中のお二人の背中が最高、激熱。
再現とはいえ、この僅か4畳半という面積から発せられるキラメキが
眩しすぎてため息が出ます。
まさに日本漫画界のアイコニック
気分が否応なしにぶちあがる最高のモニュメントです。

この後も見どころたくさんあるのですが、
なぜか全館撮影禁止だと思ってまして全然写真撮ってなかったんです。

というわけでご紹介はこちらまで…残念。

ですがボクが行ったときは「まんが道展」が開催しておりましてそちらは撮影OKでしたのでご紹介しておきます。

まんが道展

トキワ荘と言えば「まんが道」
「まんが道」
といえばトキワ荘というべき
トキワ荘にとって「まんが道」はやはり別格の存在であります。

「まんが道」が今の漫画界に与えた影響は果てしなく大きく
それと同じくらいに漫画家の聖地としてトキワ荘の存在を一躍知らしめたのもこの「まんが道」であります。

若き青年たちの青春の舞台としては決して華やかではないボロアパートが
ここまでの眩い輝きを放っているのはやはり
そこに絡まる背景、ストーリーがあってこそであります。
当時マンガ家という職業は将来を保証されているものではなかったにも関わらず、それでも生き抜く覚悟とそれを支えた仲間との友情劇。

そして現代漫画の礎を築く未知の世界への扉を切り開いた先駆者的サクセスストーリーという、文字通り「マンガ」みたいなお話に読者の心を震えさせたものであります。

このようにマジで青春マンガの最高峰でもある「まんが道」
そんなレジェンドマンガを生み出した藤子A先生の直筆原稿の展示、
そして藤子A先生の特徴ともいえる独特の表現方法の解説
これらの醍醐味がたっぷりと展示で楽しめます。

やっぱり生原稿はアチィ!
トキワ荘14号室の壁

そしてトキワ荘解体時にサインした壁、
通称「トキワ荘14号室の壁」の実物展示
これは藤子ファンならずともぜひ見ておきたい逸品です。
ちなみに手塚先生が描いた壁もありますがこちらは写真撮影禁止でしたので残念ながらご紹介できません。

はいというわけで大満足の「トキワ荘」でした。


ふるいち

その他にもこのトキワ荘公園内に「ふるいち」という
トキワ荘マンガミュージアムに隣接したブックカフェなるものがあるんですが、こちらカフェというにはあまりにもこじんまりとしているんですけど
トキワ荘に関連する書籍、古本、雑貨が心躍るくらい充実しています。

見ていてすごい楽しいスポットでした。
グッズが特に充実してまして「松葉」のTシャツなんかもあってかなりマニアック度高めです。

手塚治虫だけでなくトキワ荘関連作品グッズ多数
ここでしか販売していない限定グッズも。


古本のレベルも高くて、販売はしていないんですけど閲覧用として当時の雑誌掲載時の資料なんかもありました。
ここもかなりオススメのスポットであります。


そしてラストは
トキワ荘ファンならずとも超絶に有名な中華屋さん「松葉」
憧れの一杯を食してきました。

この昭和レトロのお手本と言える外観
当時をしのばせる名店であります。

まんが道でおなじみの松葉

お客さんのほとんどがトキワ荘で見かけた人という
ほぼトキワ荘見学とセットになっているレジェンドなお店です(笑)
そんなボクも同じルーティーンワークなんでありますけども…

そしてもちろん喰らうのは「ラーメン」

これが伝説のラーメン!


手塚先生も食した当時の味が今でも味わえるのはすごいことです。
お味は素朴さの極みに達した達観した味わい
さぞ残業したあと、完徹しているときに喰らうと美味しいでしょうね。

もう今やこの飽食の時代に
シラフで現代のラーメンと対決したらさすがに分が悪いですけど
このラーメンの魅力はそんなところにはないんでね、
それこそストーリーで味わうラーメンといったところでしょうか。
トキワ荘に来たなら間違いなくセットで食したい
まさしくトキワ荘グルメの筆頭それが「松葉」のラーメンでありました。

というわけで今回は
「トキワ荘マンガミュージアム」とその周辺をご紹介いたしました。
いかがでしたでしょうか。
実際に足を運んでみて感じたのは「トキワ荘」だけではなく
その周辺にも見どころがたくさんあることでした。
これは実際に足を運んでみないと分からないと思います。
散策マップにも載っていないところもたくさんありましたし、どんどん町自体がトキワ荘ゆかりの地として活性化されていると感じました。
古き良き昭和のニオイを残しながらも
まだまだ伸びしろを感じさせる町「椎名町」
今後の展開が非常に楽しみで個人的にもすごく応援していますし期待もしております。
また機会があれば足を運びたいと思いました。


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