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手塚治虫が影響を受けた「名作原作」を一挙紹介します。

今回は手塚治虫が描いた「名作原作漫画」をお届けいたします。

実は手塚先生はオリジナルだけではなく原作付きのマンガをいくつか描いておられます。

有名なものでは、ゲーテ「ファウスト」
ドストエフスキー「罪と罰」など名作小説のマンガ化をしております。
今回は手塚治虫公式サイトを参考にどのような作品を手掛けまた影響を受けてきたのかを探っていきたいと思いますのでぜひ最後までお付き合いください。



それでは本編行ってみましょう。

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原作2

原作3


まず今回参考にしますのは「手塚治虫公式サイト」の「名作原作欄」に記載されている作品をざっと9作品追いかけてみようと思います。


「せむしの仔馬」

こちらはロシアの童話で日本の翻訳によっては「イワンと仔馬」になっている場合もあります。
このアニメを手塚先生は狂ったように見たと語っており100回近く見たと言うほど異常なほどに惚れ込んだ作品です。
これの小説もアニメもバレエも大好きで
「当時のボクに強烈なパンチを喰らわせるくらいの影響を与えた」
多感な学生時代に自身の価値観が変わるくらいの衝撃を受けています。

ゲーテの「ファウスト」を漫画化したときもこの手法を使っておりますし
本作の脇役の火の鳥があの手塚治虫の名作「火の鳥」のルーツになっていますし晩年のアニメ「青いブリンク」もこの作品をアレンジしたものであります。

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あまり知られておりませんがこの「せむしの仔馬」は手塚治虫に多大なる影響を与えた作品ですね。



「丹下左膳」

これは名前くらいは知っている方も日本人なら多いと思います
片眼方腕の剣士「丹下左膳」が活躍する時代小説で1930年代に映画化されて
一躍昭和初期を代表する時代劇のヒーローになった一人ですね。

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この作品のキッカケは編集者から漫画化の依頼があったそうですが
手塚先生はあまり乗り気じゃなかったそうです。
「丹下左膳」のあとがきでは「宮本武蔵にしてくれれば良かった」と愚痴っているくらいですからね。
小説や戯曲などを漫画化することはあってもシナリオが元々あって漫画化することは非常に珍しいことなのですが、これは根っからの受けたらやってしまうという職人気質でやっちゃったそうです(笑)
その時の模様がこの「あとがき」にめちゃくちゃ細かく書いてあるんですけど、これがちっちゃい字でびっしり書いてるんです。
もうとんでもなきくらいに書き込んであります。
この講談社発行の「手塚治虫漫画全集」は先生本人による「あとがき」がひとつの目玉でもあるのですが本作は「漫画全集」の中でも最も長いあとがきになっておりむしろ本編より必見です(笑)


「罪と罰」

トルストイと並ぶロシア文学を代表する世界的巨匠ドストエフスキーの代表作ですね。
これは別記事がありますのでじっくり見て欲しいんですが本作は
手塚治虫の情熱が弾け飛んでいる超絶な実験作になっています。
実験とはいえそのクオリティはめちゃくちゃ高く、当時における手塚治虫の技量がいかにズバ抜けた存在であったかが伺える作品になっています。
一般流通ではなく赤本といういういわゆるアンダーグラウンドで生まれた
奇跡の作品ですのでぜひお手に取ってご覧頂ければと思います。
ラストはとにかく必見ですのでぜひ!



「ファウスト」

ご存じドイツを代表する文豪ゲーテの傑作ですね。
こちらも別記事があるのでそちらを参考にして頂きたいのですが
手塚先生は猛烈にこの作品に惚れこみ生涯に三度も漫画化しております。
同じ作品を三回ですよ。
好きとは言え普通じゃないですよね。
それほどまでに虜になった魅力は何だったのか?
ぜひその魅力を作品から感じ取って頂ければと思います。



「ベニスの商人」

シェイクスピアの有名な戯曲
手塚先生は学生時代に演劇部に所属していた影響もあってドストエフスキー「罪と罰」と並んでこの「ベニスの商人」も大好きです
シェイクスピアの題材としては「七色いんこ」にも出てきますし
バンパイヤの悪役ロックの元ネタはシェイクスピアの「マクベス」からだし
シェイクスピア関連の作品を結構多く描いております。
そこで「手塚治虫シェイクスピア漫画館」というシェイクスピアの名作を題材にして手塚先生が描いた作品を一同に集めた一冊が出ております。
こちらも見れば手塚治虫がどのように影響を受けそしてアレンジされているか分かりやすく解説されておりますので興味があればチェックしてみてください

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(ベニスの商人収録)


「ぼくのそんごくう」

これも名作の原作なんですかね(笑)
まぁ手塚版「西遊記」なので言われればそうなんですけど
個人的には名作原作と言うより、もう手塚漫画の作品のひとつとして成立しちゃってますよね。
もはや「西遊記」って設定だけ引っ張ってきてあとは各々がアレンジって
パターンの方が多いような気がしますけどね
ドラゴンボールも設定は「西遊記」ですもんね。
本作も手塚節全開でなんと毎号巻頭カラーで全98回、8年間も連載が続いた初期の代表作となりました。

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「やまなし」

これは宮沢賢治の短編童話「やまなし」のことですね
小学生の時に習ったかと思いますあの「クラムボンは笑ったよ」でおなじみのアレです。

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クラムボンってなんやねん。って思いましたよね。
内容はさっぱり覚えていないけど「クラムボン」って名前だけは覚えてる。
そして結局クラムボンの正体は誰も分からないんですよね。

それはともかく手塚先生は本編を描くにあたって
実験的な表現を行っております。それはページを上段と下段に分け、上と下でそれぞれ別の物語が進行するという構成を取っています。
上段では「やまなし」を子ども達が舞台でお芝居として上演する物語が展開しそして下段では、今まさにその村で起きている出来事が描かれています。
上段と下段が微妙にシンクロしながら展開していくストーリーは新感覚の演劇みたいな感じがします。

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(「やまなし」「月世界の人間」収録)


「百物語」

こちらはゲーテ「ファウスト」を大胆にも時代劇にアレンジした
手塚治虫2作目のリメイク作品です。

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こちらも別記事参考にしてほしいのですが、
個人的にはめちゃくちゃ好きです。
ストーリー、テンポ、キャラクター、テーマ性そしてクライマックスと
ほぼ完璧と言える作品に仕上がっています。名作のマンガ化というより
オリジナルでも十分通用するアレンジだしこれ単体で手塚治虫の
圧倒的パワーを感じられますのでぜひご覧になってみてください。


「リンリンちゃん」

これ名作原作の部類入れちゃいますか(笑)
これ単なる「ぼくのそんごくう」のスピンオフですから「名作原作」って括りじゃないと思うんですけど…
このタグ付けちょっとおかしいと思うんですけどね。

(リンリンちゃん収録)



さて、、公式サイトではここで終わりになっておりますが
ちょっとボクの思いつくもの追加しておきましょうか。

まずグリム童話の「森の四剣士」
これは1948年作で事実上手塚治虫の初めての原作付きマンガと言われています。こちら2011年発刊の「手塚治虫初期名作 完全復刻BOX1」にも収録されております


あとロスタンの「シラノ・ド・ベルジュラック」
手塚先生はこれを「世界文学全集のなかでも、感動がいまも残っている作品」として絶賛しておりこれを漫画化したものが「快傑シラノ」というタイトルで連載しています。
この「シラノ・ド・ベルジュラック」もめちゃくちゃ好きな作品でブラックジャックでも出てきてたし…。
ちょっと忘れましたけど結構他の作品で出てきています。


あと
H・G・ウェルズのSF小説「月世界最初の人間」をマンガ化した
「月世界の人間」

タイトルなし

(「やまなし」「月世界の人間」収録)


ディズニーで言えば初期の頃「ピノキオ」「バンビ」「キングコング」を漫画化していました。



原作のマンガ化ではないですがベルンハルト・ケラーマンの「トンネル」なんかはモロにモデルとして影響を受け「地底国の怪人」という作品を描いています。この「トンネル」もめちゃくちゃ影響受けてますね


以上この辺にしておきましょう。
映画、小説、文学、哲学、宗教とあらゆるものからインスパイヤを受け
作品に落とし込んで来た手塚先生、これらを探してみると結構出てくると思いますので今回の記事が好評でしたら次回「手塚先生が好きなSF映画」とか「好きな音楽」とかも
やってみようかなと思いますのでぜひコメント頂ければと思います。

最後までご覧くださりありがとうございます。




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