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肥満大国メキシコの成分表示法がついに施行されたことについて

メキシコ在住のだいぜんです。

先週末、嬉しいニュースをふとTwitterで見かけました。

メキシコで販売されている食品一部から徐々に成分表示を写真のように表示しろと言う法令が可決されていたのですが、先週末からやっと実施されています。

成分表示は元々ありましたが、このような形ではありませんでした。嬉しいのは非常に視覚的。誰が見ても「砂糖過多」なんだとかがわかる。そしてそれを持ってレジに行く罪悪感。

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こんなサイトまで立ち上がっています。

今回は私が考えるこの法律の意義とユニセフに載っていたこの法律に関する記事を見つけたので、その要約をしたいと思います。


なぜ今、成分表示が重要なのか

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先にデータだけ見せておくと、2020年7月27日時点のコロナウイルス感染者数の患者の疾患率を表しています。(毎日更新されます)
感染者の上記の%の人が(左から)「高血圧」「肥満」「糖尿病」「ニコチン中毒」といった疾患持ちの人なんです。

なぜ、このデータが必要か?感染者の中から相対的に、こういった疾患を持っている人が多い、かかりやすいと言うことを示しています。

このデータから私が言いたいのは、
健康維持がいかに重要か ということです。

あくまで私の推測ですが、政府としてこれ以上感染者数を増やしたくない、しかしメキシコは世界でもトップクラスの肥満大国。いかにして肥満を減らすことができるのか。
そこで日頃食べるものから変えてもらえばいい、と言うことになるわけです。購入のプロセスから、視覚的に「私は砂糖たっぷり入ってるから美味しいけど、体にすごく悪いよ!」と言うメッセージを食品自体に発信させるに至りました。

国として、健康を国家政策を打ち出さないと、いよいよヤバイなと言う状況まで来ていると思われます。


私的に素晴らしいな、と思うのが
超視覚的
キャッチーな言葉 を採用していると言うこと。

小池都知事や安倍さんじゃないけど、保健省から「Etiquetados Claros Ya!」(いますぐにラベル表示を!)とこの法律・キャンペーンの中身がわかるようになっています。


世界はどうメキシコを見ているか?

ここでユニセフが出している記事を紹介する。

2020年2月5日、メキシコ政府により承認可決された食品飲料表示法について、UNICEFは世界で最も優れた表示法になるだろうと示唆。
国連児童基金は、このメキシコ政府の方針が、肥満の原因となる過剰な栄養素になっていることを消費者に提示し、情報が明確でシンプルであることから、子供たちの健康維持に大いに寄与すると考える。

メキシコユニセフ代表クリスチャン・スコッグは以下のように語る、「メキシコが承認したこのラベルは、国際的な経験と最新の科学的根拠を反映させている。そのため肥満に苦しんでいる他の国に対して見本になるだろう」。

カロリー、糖分、ナトリウム、飽和脂肪酸、トランス脂肪といったこれらの警告ラベルは、汎米保健機構(OPS)の栄養プロファイルに基づいて作成されているため、データとして信憑性は高い。また子供が摂取するのは推奨しない成分、カフェインや甘味料など、が含まれていることも当然ラベル表示がされる。

スコッグ氏は「食品・飲料への表示に関するNOM051(メキシコ公式規格)の修正承認は、肥満と戦うための第1ステップである。この新しい表示を迅速に、適切に導入できるように、様々な団体の協力が必要になるだろう。これは肥満への戦いで、メキシコの将来の健康のために、これは我々の責任である。」と述べている。

肥満はメキシコで2016年ごろから深刻になっており、特に最年少人口にその危機は襲いかかっている。国民健康・栄養調査ENSANUT2018の調査によると、5歳から11歳の子どもの35.6%12歳から18歳は38.4%が太りすぎ、肥満であることがわかった。

太りすぎ・肥満は、糖尿病、心臓病、メタボにもつながる。また、幼児期や青年期の行動や感情にも影響を与え、感情的な問題や抑うつなどを助長すると言われている。このことで、国民の健康だけでなく、国の生産性に影響を及ぼし、さらには医療システムに対し、非常に高いコストが発生してしまう。

本NOMー051が承認施行されたことを受けて、ユニセフはメキシコ政府、特に保健省がリーダーシップを発揮したことに敬意を示している。

「NOMー051の改訂は、全メキシコ人、特に子どもと青少年の健康福祉に対し前向きの姿勢であることを示している。これで子どもや青少年の健康や食に対する情報を得る権利を支援し、さらに国の将来を担う彼らが発展することで、国の発展自体へとつながる。このリーダーシップ的な姿勢を世界に示していきたい。」とスクーグ氏は締めくくる。

引用:UNICEF”El etiquetado frontal de alimentos y bebidas aprobado en México, “de los mejores del mundo”.


肥満大国、どう変わるか?ジレンマの存在

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グアナファト州レオン市の名物ワカマヤ


メキシコに来て3年を超えた今、私から見たメキシコ人の食への意識を一般論的に書きます。

まずはスーパー。日本とは違い、アメリカのようなシステムで、WallmartやCostsoなど、大型ディスカウントスーパーが多い印象。

アメリカとの唯一の違いは、小さい商店や市場が各街、村に存在するので、毎日市場へ出向き、新鮮な食材を調達すると言う考えはあると思われる。

スーパーの話に戻すと、お菓子にせよ、出来合いのものにせよ、一個一個が大きい。消費者としては、大きさやサイズを変えて、値段も安くして欲しい、と言うのが要望。食べきれないし、多すぎる。

レストランなどの飲食店について。
言うまでもなく、基本的に量が多い。多すぎる。
屋台のタコス屋さんには水が置いていないことも多い。何を飲むのかと言うと、コーラ。悲しくも、タコスとコーラの組み合わせは涙が出るほど最高に美味しい。

さらにコーラや清涼飲料水も水並み、もしくはそれ以下で安い。


健康になりたいと言う意思はないわけじゃない、出来ない理由もある。

たいていの健康食品、シュガーフリー、カロリー控えめ、ましてやオーガニック、ベジタリアンなんて、こういった食品の多くは高い。

結局見ての通り、富裕層だけが健康的な身体になって、「ヘルシーは最高!」とか「肥満は最悪」とか言っていると思ってますが、実際のところ、彼ら富裕層は食に対する選択肢があると考えられます。

今回の方針でいいなと思ったのが、ほとんどの食品に対してこう言ったラベル表示が義務付けられると言うこと。
つまり、消費者が食品を手に取る以前に、食品メーカーが動きを始める、ラベルを剥がしたくてたまらないのです。消費者が不買運動をしなくても、このラベルを見ることでしょくに対する知識が自然と増えていく。自然と購入を躊躇っていく。メーカーはラベルを剥がしにかかる。こう言った動きが見えてきました。

この動きで、オーガニック、ヘルシー食品は確実に庶民の手にも渡るようになります。(オーガニックは手間のコストがあるから疑問ですが、確実に消費者は煩くなるので、増える傾向にある)

まとめ

私はグアテマラで4ヶ月スペイン語の勉強で現地のホストファミリーと生活をしました。その時の経験ですが、当時ホストファミリーは20kg近くの砂糖を毎月消費していました。コーヒーに砂糖を入れる量も半端じゃない。私はもっぱらブラック派なので、砂糖を入れることにいつもツッコミを入れてました、「多すぎやて」って。

「あなたたちが飲んでるのは、コーヒー味の砂糖湯やで!」と言い、次第に砂糖の量は減っていきました。4kgに減ってました。

肥満が悪いと言いたいわけでもありません。過剰摂取がいけないと思います。

この法律で大きく変わるのが2つ
・消費者の意識改革 過剰摂取への抑止
・メーカー改革 健康志向になる

それを期待して、今日もメキシコのスーパーへ足を運びます。それでは。



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