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受験勉強のルートについて軽くメモ⑥

お世話になります。ドリームラーナーズの石原です。鳥取県倉吉市で進路指導と学習法指導の塾を運営しています。学習指導は中学生・高校生・大人、英語の指導は小学生から対応しています。LINEなどを活用して、遠隔地でも進路指導・学習指導に対応しています。

今日も、下書きレベルの話をタラタラと書き殴っていきます。あとでまとめて1科目ずつ記事にするつもりなのですが、文字にしていないとまとまらないので、垂れ流していきます。前回のリンクも貼っておきます。

数学は苦手の分析要因は④としてメモっていましたが、内容が膨大になったため別記事で独立して書きました。

ここで扱うのは、以下の類型についてです。出す順番が違うのですが、残りの1つ「②そこそこやってきて伸びてない人」は次の記事で扱います。

③分厚い問題集を真面目にやってきたけど、思ったより伸びてない

このパターンに多いのは、とにかく、問題を解くということ「だけ」はひたすらやっている、という場合です。思い出せれば勝ち、そうでなければ負け、ということを繰り返し、定期試験レベルだと多少は勝てるけれど、模試になるとまあまあ負けてくる、取りきれない、ということを繰り返している。要するに、「抽象化」=違うように見えるものの共通項を見つけ出す、とか、「再現性」という概念がすっぽりと頭から抜け落ちてしまっているんです。

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こうした人たちは、やっていることが身になっている(点になっている)友人が近くにいて、それに対抗して自分もやるのですが見様見真似では相手の認知能力まで真似ることは叶わずに、自分だけがあまり伸びずに凹んでいる、という状況も結構多いです。

この状態、結構まずくて、あいつにはできてなぜ俺にはできないのか、というところを、見えている行動レベルのことだけで判断してる(ものを見てる部分や見方が全然違うという可能性を考えてない。まあ自分が、例え一部の項目に関してだけでもメタ的なものの見方をしている自覚がないから仕方がないことであるが)ので、このまま続けても勝ち目がない上に、こじれせると「あいつは天才なんだよ」と愚にもつかない言い訳が始まっていきます。何しろ、最初から人間の種類が違ってると考えたらその力量差は「天賦の差」であり、努力じゃ埋めようもないものと諦められるわけだ。

大学受験レベルの話でここまで大袈裟になれる精神性も大したものではあるが、学校教育や社会のコエガデカイさんのいうことを真に受けて、単純でラディカルな平等主義を受け入れた結果として、差別主義的発想に至ってしまう逆進性があるのは面白いなあと思う。何しろ同じ人間、(見た目上は違っても)差がない、同じ、と言っているわけだだから、同じことをしていても結果が違うのであればそれは「才能の差」である、とか思ってしまうのだろうなと思う。同じことをしていても意識の差や内面の差による成長の差、というものを全く考慮しない極めて甘ったれた発想だと思う。話がそれました。

ただまあ、「やっている」という部分だけは、他の上がらないパターンよりは見込みがあるのは間違い無いので、以下の2点に気をつけて、問題文に現れている、類題と共通した特徴を掴み、解答の手順も多くのものと共通した部分を一般化できるようにして、自分の記憶をコンパクトで統一感のあるものにしていくことができればものになる可能性は高いでしょう。

1.再現性のある手法を練習する

まずは、どんな問題でも(本当に、どんな問題でも)、問題文をよーく読み、「何がどう問われているか」、関数や方程式や図形にどのような「特徴」があるのかを考え、解答例で挙げられている解法が出てくる必然性を説明できるようにする。

この「何がどう問われているか=問いの要求」および「問題に現れる特徴」については、類題についても同様の要求や特徴を見出す必要がある。そのため、類題を使って、

問題の要求を見抜き
②要求に応じた解答を作成する

ということを頭において演習を行う。できる生徒にとっては、当たり前すぎて鼻血が出ると思います。

このタイプの生徒にありがちなのが、①を飛ばしており、「応じた結果としての解答」ばかり覚える、一問一答的な答え方しかできていないことです。

ちなみに、あまりに簡単すぎる基本問題だと、わかってなくても同じことを書けば答えにたどり着いてしまうのが悲しいところなので、基礎ができていないことを、簡単な問題(例えば4STEPやFGの星1だけなど)の数をこなすのを目的にするのはやめた方が良いです。

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このシリーズでは繰り返しお伝えしていますが、地方公立高校の生徒が、学校の授業と並行しながらやることを想定しています。

2.公式や論理を効率良く整理する

数学は、高度に抽象化されているため、何種類かに分かれているもののうち、代表的なもの以外を「それ以外」とまとめてしまうことで楽に答案を記憶できます。

あるいは、似たような公式を、結果だけ覚えている状態から、その公式の導出そのもの・定義そのものを整理して覚えるようにするだけで、公式の確認が楽になったり、答案の記述についても正確に素早くできるようになってきます。

できる人からすると、「えっ、やってもできない人ってそんなこともやれてないの?」と思うことかもしれませんが、質問すると、伸び悩んでいるほとんどの人が実際にやれてませんし、そこが差になっている人が多いです。
実際には、この話もできているところとできていないところがあり、その割合がある程度の水準にまで達しないと、模試での点数が跳ねないというのはあると思います。

例えば「場合わけ」は字面を全て覚える必要はありません。

実変数xについて3つの場合わけがあるならば、真ん中の範囲がどこからやってくるのかを、条件や与式から明らかにしてしまえば、それより大きい範囲、小さい範囲は定義域から明らかになるでしょう。

考えるべき範囲が定まれば(大抵は問題に与えられている)、一部の考察が必要な場合(この例なら真ん中の範囲)が分かれば、他の場合は容易に定められるわけです。あとは機械的に解いていくだけです。

繰り返すんですが、これは一例にすぎません。

他の例をあげましょう。0以外の整数というのは全て2つに分けられて、

偶数…2で割り切れる整数
奇数…???整数

と並べられたら、???にはどんな説明が入ると思いますか?

「2で割り切れない」整数となるのですが、この説明が可能なのは、「0以外の整数というのは全て2つに分けられて」という条件があるからですよね。ちょっと頭を働かせれば、字面全てを覚える必要はなく、何によって条件分けがされていて、その中のどういう場合にどんな名前をつけて覚えておけばいいのか、そういうことを覚えればいいわけです。こうすることで覚える量がグッと減って行きますし、思い出しやすくなります。

もう1つだけ例を。

場合の数で登場するPやCをどのように頭に入れていますか? いや、定義通りに覚えているよ、という当たり前のことができている上級者ならいいのですが、そうでない方、PとC区別ついていますか? 似たようなものをどのように頭にしまっていますか? まさか計算だけ覚えていませんか?

私はこう覚えています。別に真似する必要はありません。

n_C_m…「n個からm個、とってくる」
n_P_m…「n個からm個、とってくる。そのあと並べる

当然公式それ自体の形は覚えていますが、この定義も覚えていますから、瞬時に確認できて間違えません。

整理すると

・条件を細かく覚えすぎず、特定の場合とそれ以外と整理して効率よく暗記
・似たような公式は似たような部分の説明=覚え方が同じになるように工夫

これらをやってみましょう。

何も考えずにたくさんやればできるようになる、という幻想を捨てて欲しいが、たくさんやること自体は続けた方が良い

この話をすると、よくある展開として「これからは1つ1つを丁寧にやります!」と元気よく返事をしてそもそもの演習量が激減してしまう、ということです。それではいけません。

演習量自体は落とす必要はありません。大事なことは、それまで手癖や流れ作業でやっていた部分に対して、論理の明確化や、思考や知識の整理を行っていくことであり、それは量を落とさずできることです。

とにかくたくさん演習ができていた、ということであれば、問題を見てそれを思い出すこと自体はできているわけですから、そこに説明を追加するだけです。あるいは、似たような問題、似たような展開・答案をどのように整理して効率よく引き出せるようにするか、という話です。

具体的な演習提案

教科書のような簡潔な説明よりも、1つの分野ごとに丁寧に掘り下げたテキストを並行してやっていくことを推奨します。これまでやっていた網羅型の問題集は類題演習としてやってもらうために残しておいて良いでしょう。無駄にはしません。

具体的にはこういったテキストです。

本日は以上です。

「②そこそこやってきて伸びてない人」は次の記事で扱います


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