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【新卒・若手社会人向け】あなたの仕事が終わらない理由~コンサル流の作業設計~

本記事の目的

あなたは仕事でこんな体験したことはありませんか?
上司 「〇〇さん、お願いしていた作業、どうなっている?」
貴方 「えっと、すみません、まだ出来てません。」
上司 「まだ、出来てないの?そろそろ必要なんだけど・・・」

または、このような体験もありませんか?
上司 「〇〇さん、お願いしていた作業、どうなっている?」
貴方 「はい、出来てます!」
上司 「この作業、〇〇な目的で必要だったのに、これだと目的に合わないよね。やり直してもらっていい?」

上記は新卒社員や若手社会人の方に起こりがちな事象だと思います。私の周囲でも同様のやり取りを何度も見たことがあります。では、このような事象はなぜ発生するのでしょうか?また、この事象を極力回避してより効率的に仕事を進めるためにはどうすればよいでしょうか?

本記事はそれらに悩む新卒社員や若手社会人の方向けに、コンサルティングファームにおける仕事の進め方(作業設計)の考え方やその方法をまとめています。少しでも仕事を行う上での参考になれば幸いです。

なぜ仕事が終わらないのか?

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そもそも、上記のような事象はなぜ発生するのでしょうか。そこには大きく2つの原因があると考えられます。

1.スキルが足りない
2.作業の進め方が悪い

1.スキルが足りない」ですが、様々なケースで該当すると考えられます。例えば、これまで取り組んで来たことがない作業であれば、概ね作業を行う上でのスキルは不足しています。一方で、スキルの習得には一定程度の時間を要するとも考えられます。よく聞くのが、一つの仕事を習得するまでには、概ね1万時間(5-10年程度)必要と言われています。これを踏まえると、「1.スキルが足りない」は、確かに仕事が終わらない原因なものの、対応してすぐに効果が出るものではないと考えられます。(勿論、それを理由にスキル習得の手を緩めてはいけませんが。また、PPTやExcelの操作スキル等は日頃の修練結果が発揮しやすいので、それは早急に身に着けるようにすべきだと思います。)

一方、「2.作業の進め方が悪い」はどうでしょうか。こちらは、ある程度体系的に作業の進め方(=作業設計)の方法を学ぶことで、明日からでも仕事の中で実践することが可能です。とはいえ、具体的に作業設計とは何か?なぜ作業設計が必要なのか?何を意識すればよいのか?はWebページ等でもあまり整理されていません。

ここでは、そんな作業設計に関して整理していきます。

作業設計とは

そもそも、作業設計とは何でしょうか。僕が考える作業依頼時の流れと作業設計について、下記にまとめました。

作業設計

僕が考える作業設計とは、次の3つです。
1.作業目的確認
2.完成形イメージ化
3.作業工程策定

「1.作業目的確認」とは、作業の依頼目的や背景、いつまでに必要か等を確認する工程です。ここは可能であれば依頼を受けたその場、または、5-10分以内程度に行うべきです。なぜならば、作業目的が異なれば、作成する成果物の方向性も大きく異なります。例えば、「主要なAIベンダーを知りたい」等の依頼を受けた時に、目的がAIベンダーとの協業検討への活用なのか、または、自社内バックオフィス業務への適用なのか、等により、必要となる成果物は異なります。

「2.完成形イメージ化」は、作業目的を鑑みてどのような成果物が必要かをイメージに落とし込む工程です。イメージ化とは、成果物の分量(PPTスライド何枚程度か?)や形式(テキスト、PPT、Excel 等)等を手書きや文章でで整理します。仮に作業目的が依頼者と確認できても、完成形イメージがズレると、作業を丸々やり直しになるリスクが高まります。

3.作業工程策定」は、イメージ化した完成形を作成する上で、如何なる作業が必要になるかを整理し、個別の作業時間等を概算することで、その作業全体にかかる時間を可視化します。例えば、AIベンダーの調査作業の場合、「目的確認→完成形イメージ→調査設計→調査作業→資料化」等の作業に分割できます。この分割された作業毎にどの程度の時間が必要かを概算します。これを行わないと、何が起こるか。1つは作業の抜け漏れが発生し、手戻りが発生しやすくなります。次に、作業工数の見積が不十分なため、当初想定作業時間を超過する恐れがあります。

作業設計を行う上でのポイント

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上記が僕が考える作業設計の全体像であるが、実践する上で如何なる点を考慮すべきか。それを下記に整理しようと思います。

①作業目的確認

作業目的確認のポイントは大きく2つ。

1.目的確認の徹底
2.認識齟齬発生の注意

1.目的確認の徹底」は、当然であるが忘れてしまう事も多い。そのため、まずは作業依頼された際には作業目的を必ず確認するように意識しよう。もし、依頼されたその場で確認できなかった場合には、出来る限り早めに確認しよう。

2.認識齟齬発生の注意」は、非常に重要である。作業目的を依頼者に確認しても、自分の考えと依頼者の考えが微妙に異なっている場合がありうる。特に口頭での伝達の場合は発生しやすい。そのような認識齟齬を回避するために、聞き取った内容をメモに残すや、会話の最後にメモの内容を元に最終確認を行う等を行う事で、認識齟齬発生を回避しよう。

②完成形イメージ化

完成形イメージ化のポイントは大きく2つ。

1.イメージ化徹底
2.依頼者との確認

1.イメージ化徹底」も当然であるが、何となくすぐに作業を開始して実施しない方も一定数いると思う。完成形イメージがないと、無駄な作業が多く発生しやすい。作業を開始する時には、必ず完成形イメージを持とう。僕は、「メモ帳等のテキストで必要な内容を整理」⇒「手書きで完成形イメージを作成」⇒「作業実施」といった流れで作業を行っている。完成形イメージを持つことで必要な作業に集中でき、より効果的に作業を進めることも可能である。

「2.依頼者との確認」は、可能であれば完成形イメージをビジュアル(イラストや文字)で確認した方がよい。口頭の場合、認識にズレが発生しやすい。また、ビジュアルで確認を行うと、依頼者もより具体的なコメントを行いやすいという副次的効果もある。

③作業工程策定

作業工程策定のポイントは大きく2つ。

1.完成形起点での作業工程逆算
2.作業見積方法の習得

1.完成形起点での作業工程逆算」とは、完成形を作るために、作業完了地点から作業開始地点までに発生する作業を逆算で整理することです。これを行うためには、必要な作業を漏れダブりなく抽出すること、作業を構造化しレベル感を統一させることが求められます。

2.作業見積方法の習得」は、一般的に作業時間を見積る方法を学び、その方法を実践することである。私が勧めるのは、2点見積法という見積方法である。2点見積法は、自分が余裕をもって作業を完了させる時間(最長時間)と、自分が一番集中してギリギリ作業が完了しそうな場合の作業時間(最短時間)を用いて作業時間を算出します。最短時間+((最長期間-最短期間)÷2)で算出します。2点見積法は、他の見積法に比べて見積精度・手間の観点からお勧めの方法です。詳細は下記リンクページに整理されています。

本記事のまとめ

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ここまで作業設計の説明を行ってきたが、重要なのはここで説明した型を実践し、自分なりにアレンジ(守破離)し、効率的に作業を進めることである。当然であるが、最初からここで記載した内容が上手くいくことはなく、実践を繰り返す中で徐々に慣れることでスムーズに行うことが可能になる。

明日からの作業を行う上で、ここにまとめた内容が少しでも読者の方の役に立てばうれしいです。

作業設計・仕事術における参考書籍



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