見出し画像

🇻🇳旅行記Ep.2 ブン・チャーのトリコ

<前回のお話>

 スマホの写真を振り返って見てみると、ハノイに滞在した5日間、殆ど毎食とあるベトナム料理を食べていた事に気づいた。

 日本人にとって最も聞き馴染みのあるベトナム料理は「フォー」ではないいだろうか。旅行前に買ったガイドブックの「ベトナム料理」の欄にも、大々に紹介されているのはフォーで、脇役と言わんばかりにその料理は隅っこに紹介されていた。だから当然僕も、ベトナムに着いた初日の夕食はフォーを食べるつもりだった。
 
 予定通りノイバイ空港には18時半に着いた。そこからゲストハウスがあるホエンキアム湖周辺までは86番バスで向かった。

 バスの道中ガイドブックを読んでいたら、隣に座っていた人に声を掛けられた。
日本から来たの?
聞けば、そのおじちゃんはハノイ大学で日本語教師をしている方だった。
一人旅かぁ、いいねぇ
『海外に一人旅するのが趣味なんですよ』 
    :
 『ハノイで美味しいご飯屋さん知りませんか?』
そしたら食べいこか

 そんなこんなあって、初日の夕飯はセンセイに案内して頂いたお店で食べた。
お店の中は地元の人が大勢いて大繁盛。テキパキとした愛想の良いおかみさんがお店を切り盛りしていた。プラスチックのおもちゃみたいな椅子に、キャンプで持ち運べるような感じのちゃっちい金属製のテーブル。店内には、床に落ちたおこぼれを探しているワンコ。このローカル感が何ともたまらない。


<ハノイ初夜はここで。店内は地元の人で大賑わいだった。>


 そこで初めて、『ブン・チャー』と出会った。
ブン・チャー。「ブン」は米粉で作ったライスヌードルを意味し、「チャー」は肉団子のような意味を持つ。
 写真左下のスープには人参とパパイヤ、そして炭火で焼かれた豚肉とミニハンバーグみたいなものが入っていた。スープの味は薄味の麺つゆにパパイヤの甘みが混じった感じ。それでいて炭火の香ばしさがある。東南アジア特有のクセのある香辛料などは一切使われてなくて、すごくシンプル。写真右下にあるのがビーフン。文字で表現するのが難しいけど、モチモチした食感で、シラタキ以上ラーメンの麺以下みたいな感じ。このビーフンを、写真中央の野菜と一緒にスープに入れて食べる。これがめちゃくちゃ美味しい。朝から何も食べてない私はあっという間に平らげた。

「センセイ、ありがとう!!」
 

<センセイと食べたブン・チャー>


 翌日起きて、頭の中は「ブンチャー」の5文字に侵されていた。
 すぐに「ハノイ ブンチャー 美味い」と調べた。出てきたHPを開くと、幾つもお店が紹介されていた。シャワーを浴びて、準備を済ませたらすぐホテルの前にバイクタクシーを呼んだ。タイと同様、バイク社会のベトナムでは車では無くバイクのタクシーを用いるのが一般的。おまけに車よりも運賃もだいぶ安い。物価も日本よりだいぶ安く、2、3キロで100円くらいだった。限られた日数で観光する上でバイクタクシーは非常に便利だ。
 次に訪れたブンチャーのお店は「34 Hang Than」。
 ここも地元の人で賑わっていた。ブンチャー専門店で、ブンチャーの他は春巻きみたいな「ネム」と呼ばれるものと、ドリンクだけだった。個人的に、ここのブンチャーが一番美味しかった。初夜に食べたものと写真を比較しても分かる通り、肉が大きく、具沢山だった。味付けも初夜に食べたものと比較していくらか濃厚だった。ハノイに滞在した5日での食事の内、半分はここに通った。それぐらい美味だった。

<34 Hang Thanのブンチャー> 


 ここではもう一店紹介しようと思う。「Bún chả Hương Liên」は、オバマ大統領も訪れた名店。3階(くらい)まである店内の殆どがお客さんで埋まっていた。ここのはあんまりパパイヤが入って無くて肉がメインって感じ。香ばしくて美味しかった。

<ここも肉が大きく具沢山だった>
<壁にはオバマ大統領の写真が飾られていた>

 
 海外旅行においては、いかに自分の口に合うローカルフードを見つけられるかが、旅行の楽しさを大きく左右すると思う。僕はこの事をタイに行った時に痛感した。タイでは中々自分の口に合う食事が見つからず、夜はコンビニでお菓子を買ってそれで食事を済ませたという苦い記憶がある。独特の香りを持つ野菜や香辛料が、僕の舌にはどうしても受け付けなかった。色々なタイの料理を食べていく中で、ガパオライスが美味しい事を知った後は取り憑かれたようにそればっか食べていた。見知らぬ土地で自分に合う食事を見つけ、お腹一杯食べた時の幸福感といったらたまらない。これも旅行の醍醐味の一つだ。勿論、タイやベトナムにも観光客向けのレストランやマクドナルドといったファーストフード店は簡単に見つかる。そっちの方が私達に馴染み深いし、衛生面においてもいくらか安心だ。だが僕は敢えて露店や、地元の人が店内の殆どを占めるようなご飯やさんに行く事をおすすめしたい。その方が現地の文化を肌で感じる事が出来るし、何より安いのである。ここで紹介したブンチャーは、どの店も日本円で300以内に収まる。一方、観光客をターゲットにしたお店は割高で、店内の殆どが欧米人を初めとする観光客によって埋め尽くされている。だから初めて訪れた海外の土地で美味しいローカルフードを食べようと思ったら、地元の人で賑わっているようなお店に行くといい。これは、僕の経験から言える事だ。僕がベトナム旅行を楽しめたのは、初日にブンチャーと出会えた事が本当に大きい。



「センセイ、またブンチャー食べにハノイに行くでね」


<次のお話>


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?