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【企業に学ぶ】帝国データバンク史料館へ

<ご隠居が行く!~落語deざわざわ:番外編~>

今回は、大真面目な大人の社会科見学に“ざわざわ”の面々と共に、ご隠居も同行しました。もちろん、若い衆もお供します。

※【落語deざわざわ】とは、現代のさまざまな諸問題を古典落語の演目にこじつけて論じるコンテンツです。基本的に「若い衆(わかいし)」と「横丁のご隠居さん」との会話スタイルで展開(例外もあります)します。気軽な読み物(時々深いかも)としてお楽しみください。

若い衆:
ねぇねぇご隠居~。『落語deざわざわ』って、まだ2回しかやってませんよね。『化け物使い』と『長屋の花見』・・・早くもネタが尽きちゃった、ってことすか?

横丁のご隠居:
お前さん、何が言いたいんじゃ? 2回もやれば番外編やってもよかろうに。わしゃぁ忙しいんじゃ、これから出かけるとこじゃて。

若い衆:
そんなこと言ってぇ! 逃げるつもりなんでしょう。

横丁のご隠居:
馬鹿言ってんじゃぁないよ。これから“ざわざわ”の連中と一緒に、“帝国データバンク史料館”へ行くんじゃよ。以前“ざわざわ”の連中がお世話になったクロネコヤマトミュージアムの白鳥さんも一緒じゃよ。

若い衆:
何すか、その“帝国データバンク史料館”って。つか“ざわざわ”って何すか。

横丁のご隠居:
ん~。今日初めて行くもんでな、予習したんじゃが、公式webサイトによれば
「信用調査業と株式会社帝国データバンクの歴史をご紹介する企業博物館です。」
とな。いろんな資料やら映像やらでな、信用調査や信用調査会社の歴史を紐解けるんじゃ。
ってか、いつも世話になってる“ざわざわ”の連中を知らんのか?

若い衆:
へぇ~。その信用調査って何すか? 教えてくださいよぉ。また何かの駄洒落じゃぁないでしょうね。志ん陽・・・とか言っちゃって。

横丁のご隠居:
ん? そりゃぁわしも思いつかなんだ。渋いの、お前さん。
信用調査とはな、簡単に言えば、取引を行う相手企業に対してだな、支払い能力やら金銭的な信用度合いに関する情報やらを調査することじゃぁ。
って、“ざわざわ”の連中についてはスルーか・・・
さて、出かけるぞ。

若い衆:
えぇ~。あっしも連れてってくださいよぅ。何だか面白そうじゃぁないすかぁ!

横丁のご隠居:
しょうもない奴じゃのぉ。やかましゅうするんじゃぁないぞ。おとなしくしとれよ。

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若い衆:
あれぇ、ここは尾張殿の上屋敷っすね。

横丁のご隠居:
よく分かったの。もっとも今は、尾張殿の上屋敷は防衛省になっとるがの。帝国データバンク史料館は道を挟んで向かい側じゃ。
さ、とっとと行くぞ。

ざわーズ:
ご隠居〜! あれ、若い衆も一緒ですか。

福田さん:
皆さんお揃いですね。本日ご案内を務めます、帝国データバンク史料館学芸員の福田です。よろしくお願いいたします。
さ、早速ですが9階へどうぞ。

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若い衆:
へぇ〜。なんだかカッコいいすね。このガラス張りの部屋は何すか?

福田さん:
創業者の執務室をイメージした空間になっておりまして、扁額の『至誠努力(しせいどりょく)』というのは弊社の経営信条のひとつで、創業者後藤武夫の直筆になっております。
また、前面のガラスはホログラムスクリーンになっておりまして、帝国データバンク124年の歩みを90秒でお楽しみいただけます。

若い衆:
なんだかすごいですね!

横丁のご隠居:
ほぉ〜、なかなかの書じゃの。

福田さん:
ありがとうございます。
それでは参りましょう。こちらのフロアを一周していただきますと、帝国データバンクと信用調査業の歴史が追えるような展示になっております。

横丁のご隠居:
さてさて、まずはっと・・・信用調査業の起源はなんと1810年とな。家斉公の頃じゃな。この手紙がその証なんじゃな。

若い衆:
日本での興りは御一新のあとなんすね。

横丁のご隠居:
そのようじゃの〜。

若い衆:
へぇ〜。新しいお札のお方もいますよ!

横丁のご隠居:
うんうん。この2社から始まったということじゃな。1892年の商業興信所と1896年の東京興信所な。お札のお方は・・・っと、東京興信所か。

福田さん:
明治維新以降、銀行・手形交換所に次ぐ重要機関として信用調査機関が起ち上げられました。そしてそれらの機関は、信用を興し、経済を円滑に回す意味で興信所と呼ばれました。

若い衆:
帝国データバンクはいつっすか?

横丁のご隠居:
まぁまぁ、騒ぐでない。次を見ていこうか。
お、1900年に帝国データバンクの前身の帝国興信所とあるぞ。

若い衆:
ご隠居! 情報誌も出してたんすね!

横丁のご隠居:
おぉ! そうじゃな。月刊誌に、日報か。手広くやっていたようじゃな。
っと、こちらは・・・ん? 料金表?

若い衆:
あの〜。第1種会員と第2種会員の違いって何ですか?

ざわ〜ズ:
どちらも件数のところが「随意」となってますが。

福田さん:
第1種会員には随時の調査依頼に加えて、情報提供サービスがあったようです。
おそらく現在のモニタリングサービスに近い、取引先などに新規の与信情報が入れば提供する、といったようなものでしょうか。

若い衆・ざわ〜ズ:
その違いが料金に反映されているんですね。

福田さん:
はい。そうなんです。
それでは、次の資料へと参りましょう。

若い衆:
へぇ〜。新規参入がこんなに早く増えていたんすね。

福田さん:
はい。そうなると、人事調査をメインに行う興信所やいわゆる悪徳業者も出てきたようで、興信所の乱立状態となっていきます。

若い衆:
悪徳はいかんっすね! ねっ!
・・・んで、この古い紙はなんすか? 何かいろいろ書いてありますね〜。

福田さん:
はい。こちら地味なんですけれども当館のメイン展示でして、昔の調査報告書です。
今はPDFファイルで30ページくらいが基本になっていますが、当時は用紙10枚ほどと、今よりも項目が少ないです。調査員の言葉がそのまま反映されていて味があるというか・・・
残念ながら戦前の調査報告書はそれほど残っていません。

若い衆:
へぇ〜。貴重な資料なんすね。
ところで、
この本はなんだかすっごく分厚いっすね。

福田さん:
こちらは、大正時代の『帝国銀行会社要録』です。およそ2,000ページといったところでしょうか。
大正元年から毎年出しておりまして、今も『帝国データバンク 会社年鑑』の名称で、まだ紙で発行しております。

こちらは『信用録』でして、『会社要録』は会社情報ですので普通に販売していたんですけれども、こちらは経営者の信用情報がいろは順で掲載されていまして、途中から五十音順になりますが、会員に1年間の貸し出しというスタイルで提供していたものです。
それで、情報が更新されると取り替えていきまして、退会なさる場合には回収しておりました。

若い衆:
そうですか〜。
あれ! この表紙って、もしかして広告っすか?

福田さん:
はい。当時、表紙にも広告を入れていたようです。

ざわ〜ズ:
斬新!

若い衆:
あれぇ、ご隠居! こっちは「金満家」って、なんだかすごい言葉っすね。

福田さん:
これは昭和4年当時の、いわゆる「長者番付」です。『講談倶楽部』という雑誌の付録として、弊社が調査に当たったものです。

横丁のご隠居:
昔っから、日本人は番付が好きだったんじゃな。

若い衆:
おっ! 雑誌も出してたんすね。
にっぽんだましい・・・?

福田さん:
こちらは「にほんこん」と読みます。
出版事業もいろいろとありまして。

若い衆:
へぇ〜。色々あって、なんだかパワフルっすね。
あれ、ご隠居! 『結婚なかだち』って、今の婚活アプリ的な?

横丁のご隠居:
なんじゃ、その婚活アプリとは?
まぁ、よく分からんが、結婚相談所みたいなもんかの・・・
お! 料金が書いてあるのぉ。
1円≒812円と換算してみると・・・
・申込手数料 5円→4,060円
・会見手数料 2円→1,624円
・成婚手数料 25円→20,300円
といったところか。現在のわしらの感覚だと割安感があるの。

福田さん:
はい。需要がありましたので弊社は人事調査も一時手がけていまして、そこから発展させて結婚紹介業も手がけていたのですが、事業としてはほとんど成り立たなかったようです。
ちなみに、人事調査からは1981年に完全撤退しています。

不況時には調査需要は増えると言われますが、好況不況を問わず、経済が大きく動く時に調査需要は増えています。関東大震災や世界恐慌など大不況時には、調査需要も減少しています。

また、弊社の危機として、関東大震災と戦争がありましたが、関東大震災の時には弊社本社ビルが焼失してしまいまして、3年後に建て直して社員一丸となって復興したということもありました。

若い衆:
震災に戦争っすか。まさに激動っすね。

横丁のご隠居:
そうじゃな。高度成長に労使対立か。おぉ、電子化もか! 激動期を乗り越えてきた歴史が良く分かる展示じゃな。

若い衆:
あれ? この新聞広告は何すか?

福田さん:
1981年に社名を“帝国興信所”から現在の“帝国データバンク”に変更した際の新聞広告です。興信所からデータベースを扱う総合情報サービスへと転身しました。

若い衆:
へぇ〜。
ところで、この中央の人たちは何すか?

福田さん:
こちら「時の広場」と申しまして、弊社124年の歴史に関わった人物を紹介しているコーナーです。

若い衆:
有名な人ばかりっすね! ご隠居の写真は・・・当然、無いか〜。

横丁のご隠居:
なんじゃそりゃ!

若い衆:
ねぇねぇご隠居〜。ちょっと戻ってもいいすか?
あのテレビみたいなの・・・スルーしちゃってません?

横丁のご隠居:
テレビみたいなんじゃなく、VR(バーチャル・リアリティ)展示じゃ!
すまんの、福田さん。

福田さん:
あ、いえいえ。
こちらは、2007年に導入した、当時最新のVRです。

若い衆:
あの〜。職務規定とかさまざまな資料も面白いし、色んな角度から本社ビルを見れたりなんか、とっても面白いんですが・・・
この赤穂浪士は何すか?

福田さん:
はい。これは余談なのですが、創業者が忠臣蔵が大好きだったので、それで、赤穂浪士の月命日に泉岳寺に毎月通っていたようです。
他にも弊社には、忠臣蔵関連のエピソードが結構残っています。

若い衆:
へぇ〜。
忠臣蔵って、主君浅野内匠頭の敵討ちをしたお侍さんたちの話っすよね。

横丁のご隠居:
まぁ、そうじゃな。
この話が好きな人は大勢いるしな、毎年12月4日には泉岳寺で赤穂義士祭も行われておるぞ。
お前さんも行ってみるか?

若い衆:
そう言えば、浅野内匠頭の命日ってホワイトデーっすよね〜。
柳家喬太郎師匠が「日本人なら3月14日はホワイトデーじゃなくて、泉岳寺へお参りでしょ!」って、落語の中で言ってましたよ!

横丁のご隠居:
しかしな、旧暦と新暦で日付は変わってくるからなぁ。どうしたもんかの。
って、お前さん、そこ?!
福田さんが説明してくれとるのは、主君の話じゃぁなく、浪士たちの話じゃ!

若い衆:
まぁいいじゃぁないっすか。
でもね、ご隠居〜。
他にもじっくり見たい資料がたくさんありますよ〜。

横丁のご隠居:
今日はもう時間じゃ!
改めて、ここから予約してお初っちゃんと一緒に来たらどうじゃ。
数ヶ月で入れ替わる企画展もあるでな。気付かんかったかな?

若い衆:
お初っちゃん、こういうのに興味あるかな〜。

横丁のご隠居:
今の企画展では、新札の人を取り上げとるし、何より自社の歴史をこうやって発信する取り組みはな、コーポレートコミュニケーション活動の大事な側面じゃから、お前さんなんかよりもお初っちゃんの方が「ためになる」って言うに決まっとるわい。
福田さん、今日はなんだかんだとすまなんだの。
こいつがまた来たらよろしく頼むわい。

ざわ〜ズ:
福田さん、ありがとうございました!

福田さん:
よろしければ、また是非ご来館ください。

ーーーーーーーーー

若い衆:
ご隠居〜! 皆の前でお初っちゃんのこと言わなくてもいいじゃぁないすか〜。

横丁のご隠居:
ありゃ、そんなこと言ったかな?
まぁまぁ、帰りにご馳走するからおとなしくしとれ。

若い衆:
わぁい!

横丁のご隠居:
こいつは、ホント単純じゃの・・・

まとめ:前田政昭


この記事について

“ざわざわ”は、ツールの使い方や社内コミュニケーションの最適解を教え合う場ではありません。道具が多少足りなくても、できることはないか?姿勢や考え方のようなものを「実務」と「経営」の両面から語り合い、共有する場です。

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